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2008年5月13日 (火)

第35話 「長生きリスクと企業年金」

5月12日付の Investment & Pension Europe(IPE)による、英国で企業年金の買取り市場が拡大していると伝えています。その規模は、22億ポンド、約4400億円になっています。企業年金の買取りは、日本ではほとんど聞かないビジネスです。皆さんの会社にも企業独自の年金制度があると思います。これは、企業が掛け金を積んで、ある算定式に基づき、将来、決まった額の年金を支払うものですが、最近、これが世界的に企業経営問題となっています。世界的に会計制度が変わって、積み立てている資産と将来払わなければいけない年金の額(現在価値に割り引く)を比べて、資産が少なかった場合には、企業は費用として認識しなければいけなくなったのです。その結果、昨年のように株式市場が下落すると、企業の業績は悪化することになるわけです。実際に、日本の企業でもそうした費用増を見込んで業績見通しを下方修正したところもあります。このように、企業にとって年金制度を持ち続けることは、大きな経営リスクなわけです。加えて、先進国では、平均寿命が延びてきています。長生きすればするほど、企業年金は年金を払い続けなければなりません(終身年金の場合)。すなわち、長生きは、企業年金にとってコスト増のおおきなリスクになるわけです。

こうした環境の中、英国では、保険会社やその専門会社に自社の年金制度を買い取ってもらって、将来の資産運用や長生きのリスクを肩代わりしてもらうという動きがあるわけです。これで、企業の決算に年金は影響しなくなります。保険会社等が一時払い年金を企業に売ることでこうした肩代わりができるわけですが、最近、ひょんなことから伸びてきています。サブプライム問題で信用リスクが高まり、社債の金利が上昇したのです。その結果、一時払い年金の値段を計算する際に使用する割引金利が上昇し、企業にとっては保険の値段が値下がりするという結果になりました。企業はここがチャンスとばかりに企業年金をこの保険に入れ替えているわけです。なんとも経済合理性に沿った話ですが、そもそも、企業経営にとって、本業以外のリスクをとるべきではないということなのでしょうか?従業員の年金ぐらい面倒みても良いとは思いますが。企業も長生きしなければいけませんし、仕方ないかもしれません。なんとも心寂しい結末です。。

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昨日からココをみるとフリーズしていますけど・・

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