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2008年5月

2008年5月31日 (土)

第53話 週末版 「リレーションシップ・インベストメント」

5月30日付けのPensions & Investmentsによると、カナダの公的年金CPPIBがESL Investments、Knight Vinke Asset Management、ValueAct Capitalの3つの運用機関を「リレーションシップ・インベストメント」運用で 採用したと伝えています。リレーションシップ・インベストメントは、基本は上場株式投資ですが、投資する会社の経営陣に接触し、当該株式の長期的パフォーマンス向上について話し合ったり、意見を提案したりする運用手法です。もちろん、闇雲に投資するわけではありませんので、基本はバリュー運用となります。割安な銘柄で、経営や戦略の変化で企業価値を改善できると判断するところの株式保有比率を上げていきます。ちょうど時期的に、日本でも株主総会やそれに関連して外資ファンド(スティールパートナーズのような)が話題になっていますが、リレーション・インベストメントは、話題の外資ファンドよりは、比較的ソフトです。運用会社によって異なりますが、会社を支配するような株式を購入することはしませんし、最初バリュー投資の一環で少し買っても、会社が投資家の意見を聞きそうも無いとすぐに売ってしまいます。また、話題の外資ファンドが一時的に配当を増やすような要求をしたりしますが、リレーションシップ・インベストメントでは、あくまでも長期的な株式パフォーマンスの向上にあります。日本でもあすかアセットマネジメントなどが同様の運用を行っています。日本の投資家も、あまり過激なアクティビスト・ファンドへの投資には抵抗感があると思いますが(特に、村上ファンド事件以降)、このリレーションシップ・インベストメントには、前向きに対応していくことになると考えます。要注目です。。

2008年5月30日 (金)

第52話 「ドイツの不動産市場」

5月28日付けのSpiegel Online(欧州の主要経済ニュースを掲載するオンライン情報サイト)によると、ドイツの不動産市場に投資妙味が大きいと考える投資家が増えているとのことです。ご存じのように、欧米の不動産市場は、過去10年間に大きく上昇し、ただ、最近、下げてきています。しかし、とは言っても、過去10年間に、英国で住宅価格が210%、スペインで190%、オーストリアで168%、米国で104%の上昇を記録しました。一方で、ドイツでは、10年前とほぼ同じ価格で不動産を取得することができるそうです。これには理由があって、90年代初めに、東西ドイツの統合後に、不動産関連の税制優遇があり、すでに不動産ブームが起こり、税制優遇が切れた98年頃からブームが去って、こうした状態になったそうです。しかし、人の判断は相対的なところがあるので、過去10年間上昇していないドイツの不動産は割安だと考える投資家が出てきているわけです。すでに、3年ほど前から、米国のプライベートエクイティや投資銀行が買いを入れ始めてきています。ドイツでは、昨年REIT市場もできましたし、確かに、不動産に投資機会があるようにも思えます。加えて、持ち家率も43%と低く(ベルリンは、12%)、新規の住宅供給戸数も将来の需要に見合うほどではないとの予想もあり、不動産価格にはポジティブな状況のようです。サブプライム問題以降、世界的に不動産市場は軟調ですが、ドイツのような市場があるは、興味深く感じました。今後は、このSpiegel Onlineのニュースもチェックが必要しないいけません。。

2008年5月29日 (木)

第51話 「公的年金の運用改革」

5月28日付けGlobal Pensionsによると、カナダの公的年金であるCPPIB(The Canada Pension Plan Investment Board)が、欧州、英国での投資機会に取りに行くために、ロンドンオフィスを開設すると伝えています。海外オフィス開設は2箇所めで、最初は、2月に香港オフィスを開設しています。CPPIBは、121億カナダドル(約1.3兆円)の資産を持ちます。各オフィスでも投資運用の専門家を配置します。こういう話題が出ると、つい比較したくなるのが、日本の公的年金の運用です。日本では、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が国民年金と厚生年金の積立金約150兆円を運用しています。このカナダ公的年金の100倍です。この巨大資金を約50名のお役人集団が運用しているわけです。加えて、人件費は抑えなければならない、オフィスは神奈川に移転と、とても150兆円も動かしている組織とは思えない状況にあります。最近、経済財政諮問会議で運用改革が議論され、運用対象の多様化とか、基金を分割して運用を競わせるべきだという報告を出しています。一方、厚生労働大臣は前向きな発言をしたら、急に後ろ向きになったり、迷走しています。そもそも、 ここまでの規模になってしまうと、大半は債券で運用するしかないのは、疑問を挟む余地がありません。すると、運用商品の多様化といっても、資産の数%を何か株や債券以外に振り向けるかという程度です。加えて、やっかいなのは、数%と率では小さくても分母が大きいので、下手に投資できません。結論的には、変なことしないで下さいということです。子供用プールにウルトラマンが入ってきて、更に浮き輪で遊ぼうとしているようなものです(すいません、変な例えで)。黙って、債券中心に大人しくしていて下さい。。

2008年5月28日 (水)

第50話 「為替オーバーレー」

5月27日付のInvestment & Pension Europeによると、スイスの年金基金にアンケートを行った結果、為替オーバーレーは、役立たずと思っている基金が多いことが分かったとのことです。為替オーバーレーとは、本来、外国証券に投資して負う為替リスクを全般的に管理して、為替損が出そうな場合には為替ヘッジを多くし、為替益が得られそうな場合には、逆に為替ヘッジを減らすといった運用を行うことです。これにより、投資家は為替をフルヘッジするよりもコストを減らし、リターンを高められる可能性があるというものです。しかし、その後、商品性は変わっていきました。為替のヘッジ比率を変えるだけでは、どうしてもリターン獲得の機会が減るからです。そこで、登場したのが、為替のロング・ショート戦略です。これは、本来の目的から相当離れて、どんな通貨の組み合わせでもよいので、ロングとショートのポジションから為替リターンを得るものです。もう為替ヘッジ目的というは消えています。しかし、例えば、フルヘッジで外国証券に投資し、これを行えば、追加のリターンでヘッジコストを軽減できるかもしれないということで、いくつかの機関投資家が採用しています。

とは言うものの、正直、この種の運用が安定的にうまくいってるとは聞きません。どうしても、キャリー取引のように、高金利通貨をロング、低金利通貨をショートしてしまう傾向があるので、相場が逆方向に動く、どの為替オーバーレー運用機関も運用がうまくいかなくなるのです。結局、このスイスの年金のように、「効果ないな」と見切ってしまう人が多くなるわけです。為替は、購買力平価とか、金利裁定とか、多少は理論的議論がありますが、株式や債券に比べて、学術的議論が遅れていると思います。加えて、介入といったけ剤的損得ではない市場参加者もいるので、ますます難しくなるわけです。だから、なかなか儲からない。しかし、だからこそ、面白いという市場かもしれませんね。。

第49話 「米国株の地位」

 5月26日付けのPensions & Invesytmentsによると、Russell Global Indexに占める米国株の比率は、99年の59%から42%に下がったそうです。一方で、米国外の株式は41%から58%に増え、エマージング株は3.2%から12.4%に増えました。この数字は妥当でしょう。世界の成長ドライバーを見る限り、それはアジアまたは南米といったエマージング諸国であり、先進国では決してありません。しかし、成長率という観点からは正しいとしても、株式市場としての懐の深さ、たとえば、市場規模、企業のガバナンス、ディスクロージャーなど妥当と言えるでしょうか。?成長を買うのが、株式投資ですが、エマージング市場はバブル傾向が一時的に高まっていたのでしょう。90年代後半にもエマージング市場の比率が10数%を超えた辺りから、調整し、5%程度まで急激に落ち込みました。現在のアジア市場の調整にこの経験からすると、納得できます。一方、米国株の比率は、為替の影響もあるかもしれませんが、今後も落ち続けるのではないでしょうか。また、この記事には記述はありませんでしたが、日本の比率も落ち込んでおり、今後も落ち続けると思います。繰り返しになりますが、成長を買うのが、株式投資。今、米国や日本に世界の成長ドライバーとなる力は無いように思います。エマージング市場の整備のスピードにもよりますが、徐々にエマージング市場の世界の株式市場に占める比率は高まっていくと思われますので、外国株式投資をする際には、少しでもエマージング株式を含めることをお勧めします。ただし、トルコとかロシアなどの1国だけに投資するカントリーファンドではなく、南米、アジア、周辺欧州に万遍なく投資するインターナショナル・エマージング株式と呼ばれるファンド(またはETF)に投資する方が良いでしょう。一国だけのリスクは、まだまだ高いですから。。

2008年5月26日 (月)

第48話 「ニッセイ/パトナム 世界代表株ファンド」

5月23日に設定された投信のうち、「ニッセイ/パトナム 世界代表株ファンド」について一言物申す。当該ファンドは、ニッセイアセットが提携先のパトナムに運用委託するファンドです。内容は、日本を除く世界各国の株式から、各業界をリードする「世界代表企業」の株式に投資するというものです。この世界代表企業の定義として、売上高上位で、高い知名力やブランド力を持ち、安定した業績で、中長期的な成長力が期待される企業だそうです。ちょっと、待ってください。そんな企業がありますか?この最初の3つについては世界的な大型優良企業ということで確かにあるでしょう。しかし、4番目の条件まで兼ね備えた会社はどうでしょう。株式市場における成長期待とは、平均を超える成長率のことを言います。並みの成長率では市場リターン程度しかなりませんから。大型で安定した業績を示している株式で、市場平均を超える成長率など期待することは困難です。百歩譲って、そうした会社があったとしても、そうした知名度の高い会社であれば、株価に織り込まれていますし、また、わざわざ高い運用報酬まで払って、投信を買うより、ネット証券で買った方が良いでしょう。加えて、このファンド、米国、欧州、アジアからそうした銘柄を10銘柄づつ選んで、3分の1づつの地域配分で組み入れるとしています。これまた、超驚きの素人戦略。それに、銘柄を選ぶことでリターンを狙おうとしているのか、地域配分でリターンを狙おうとしているか、主目的も不明です。これで、1.47%の信託報酬を取るというのだから、すごい根性です。パトナムについては、以前にも大変厳しい状況にある運用機関であることは書きましたが、こうした商品を作って、日本の個人投資家に売り込むのは止めてほしいです。せめてもの救いは、この投信の設定上限額が100億円なので、おそらく売る方も作る方も、あまり売れないと最初から予想しているように思えるところでしょうか。個人投資家を甘く見てはいけません。。

2008年5月25日 (日)

第47話 週末版 「自分年金をつくろう」

本日の日経ヴェリタスの特集記事で、「自分年金をつくろう」が掲載されていました。すなわち、同社の試算では、夫婦二人で60歳時に蓄えておきたい金額は、3100万円(公的年金、退職金を除く、あくまでも自助努力分)で、これを月額にすると、月10万円が公的年金に上乗せされ、余生を安心して暮らせるというものです。この3100万円を蓄えるためにどうするか、または、この月10万円をどうするかが、掲載されているわけです。リバース・モーゲージや、分散投資など色々と述べられていますが、私が気になったのは、4人のフィナンシャル・プランナーが年代別に自分年金作りのアドバイスをしているところです。たとえば、20代にアドバイスをしている金子祐子さん。この人のアドバイスの中で、「ただ、すべてをおカネで解決するのは難しい。頼れる人脈が重要となる。女性シングルは助けを借りたがらないが、甘え上手になった方がいい。」という部分がありました。金融という観点ではなく、別の意味ですごく気に入ったコメントです。なんだか、自分の人生経験で語っているという感じで、想像させられます。また、その他のFP先生のコメントは、ちょっと??が多い気がします。30-40代にアドバイスを行っている紀平正幸さん。住宅ローンの繰上げ返済で期間短縮型よりも返済額軽減型を推奨しているように読めます。毎月の返済額が減った分を貯蓄に回して、セーフティーネットにすべきというものです。しかし、個人的には反対です。金利圧縮効果が期間短縮型の方が大きいと認めておきながら、精神的な安全の方を取るのは、経済合理性としておかしいと感じます。新生銀行の住宅ローンなら繰上げ返済額の範囲内で借り入れもできるので、本当に短期的な資金が必要になった場合には、その方がいいと思います。また、50代にアドバイスを行っている木戸一郎さん。企業年金連合会の基本資産配分を真似たら5%ほどのリターンが期待できると述べています。あまりに安直なアドバイスでめまいがしてきますが。まあ、分散投資の重要性を強調していると好意的に解釈しておきます。まあ、日曜日の読み物としては、まあまあですか。。

2008年5月24日 (土)

第46話 週末版 「責任投資」

5月23日付けのInvestment & Pension Europe(IPE)によると、主に年金向け資産運用コンサルティングを提供するマーサー社が、全ての運用機関を評価する際に、環境、社会性、ガバナンス(ESG)の要因をどのように運用において考慮しているかを含めると発表したと掲載しています。以前に社会的責任投資(SRI)でも言及したことがありますが、本件は、より一般化した話です。すなわち、たとえば、株式運用機関が運用するファンドについて、今までは個別銘柄の主に業績についてどう分析しているかとか、ポートフォリオの構築をどうしているか、リスク管理をどうしているか、そして会社の体制、人材などを評価の主基準にしていたものを、これに加えて、環境への取り組み、社会への貢献(雇用の平等、その他、ガバナンス(企業統治)などで、その個別企業がきちんとした対応を取っているかを銘柄選定の基準にどのように取り入れているかを、運用機関評価の基準に取り入れようというものです。従って、社会的責任投資とか環境ファンドのようなテーマ性が薄れ、”どの運用機関だって、銘柄選定のときに、こうしたESGの要素ぐらい考えなければいけないでしょ”という発想に基づいています。これは、ある程度良い傾向だと思います。これによって、運用機関のパフォーマンスのブレは、個別企業の突然のスキャンダル等で影響されること可能性が低まり、より安定したものになるでしょう。逆に、合理的には、ブレが減った分、期待リターンも減ります。少し無茶をする企業の株式を買うからこそ、高いリターンが達成されることもあります。みんな優等生銘柄では、やんちゃの芽を摘んで、面白くないポートフォリオに成り下がってしまいます。総論賛成、各論反対のような感じです。。

2008年5月23日 (金)

第45話 「勝ち組のブラックロック」

5月22日付けのPensions & Investmentsによると、テキサス州政府退職金制度がBlackRock(ブラックロック)社に147億ドルの国内債券運用を委託したそうです。この金額は全体の88%で以前は100%自家運用で債券投資を行っていたものを、昨年12%を株式に移し、残りを自家運用からブラックロックに委託したようです。しかし、ブラックロックは、サブプライム問題以降、資産を伸ばしています。先般も、UBSのサブプライム関連商品150億ドルの受け皿となるファンドの運用を委託されました。また、ブラックロックは、昔からリスク管理システムに定評があり、昨今のサブプライム以降のリスク管理重視の傾向から、ブラックロックにリスク管理を委託する投資家も増えています。まさしくサブプライム問題の光と影。日本でも日経新聞の報道では、民営化されたゆうちょ銀行がクレジット債券の運用でブラックロックの採用を検討しているとのこと。う~ん、勝ち馬に乗るべきか?確かに日本のブラックロック(メリルリンチ・インベスターズを買収したのが今のブラックロックなので、メリルの印象が強いが)の投信をチェックしましょうか、週末は。。

2008年5月22日 (木)

第44話 「大手より新興の運用機関が良い?」

5月19日に発表された米大手金融ソフトウェア開発会社、パートラック・フィナンシャル・ソリューションズ傘下の調査会社が実施した調査によると、資産規模別の分析で、2007年の平均リターンは1億ドル以下の小型ヘッジファンドが11.74%、1-5億ドルの中型が10.27%、5億ドル以上の大型が10.22%でした。また、設立年数別の分析でも概ね同様の結果で、2007年の平均リターンは、2年未満のファンドは15.02%、2-4年が9.45%、4年以上が12.84%でした。このように、新興の運用機関が運用する資産規模が小さいファンドの方が、大手の大型のファンドのリターンを上回っています。ヘッジファンドに限らず、新興の運用機関を選好する傾向が出てきています。カルスターズ(カリフォルニア州職員退職年金基金)は、リーディング・エッジ・インベストメント・アドバーザースというゲートキーパーに、債券で新興の運用機関を組み合わせた投資(ファンド・オブ・ファンズ)を依頼したと5月12日付けのPensions & Investmentsは伝えています。やはり、大手になると運用において小回りが利かなくなりますし、どちらかというと安定志向に走ります。その点、新興の運用機関の方が、運用成果で勝負しようという積極性が強いので、こうした結果が出るのかもしれません。日本では、こうした新興の運用機関が少なく、残念ですが、実績が少なくとも、優秀な新興の運用機関に注目していくことが重要です。。

2008年5月21日 (水)

第43話 「運用機関のリストラ Part 2」

第39話でベアースターンズ・アセットマジメントの話題を掲載しましたが、その続報として、5月20日付けPensions & Investmentsによると、JP Morganに買収されるにあたり、ベアースターンズ・アセットマネジメントの450名の従業員のうち、JP Morganに移れるのはたった60名であることが分かりました。残りの390名は、今後、6月、9月、12月末で順次退職となることから、現在、日中にニューヨークのマンハッタンで職探しに出ているそうです。しかし、一寸先は闇です。サブプライム問題が出るまでは、高額な年収で謳歌していた人が今は日中に職探し。GW特別版でも書きましたが、日本でも例外ではありません。投資銀行のリストラは進んでいますし、営業職を中心にフィデリティ投信などもリストラを行っており、多くの従業員が会社を去っていると聞きます。そもそも運用会社のリストラは、証券会社に比べて、反応が鈍いものです。なぜなら、運用会社はアセットに応じた収入があるので、突然に収入が激減するわけではありません。しかし、ボディーブローのようにじわじわと効いてくるので、逆に反転するのも時間がかかります。今年は、投信がさっぱり売れていません。ボディーブローの前兆です。現時点では多くの運用機関が新規採用を止めていますが、今度は人員削減に手をつけることになるでしょう。収入が増えない中、経費削減がもっとも利益達成には近道だからです。2ちゃんねるの「金融」のページには、運用機関に関する書き込みを多いですが、昨今の風潮から不当なリストラに関する書き込みが増えています。こうした書き込みを鵜呑みにすることはできませんが、世の中で運用のプロと呼ばれ、報酬を得ている会社として、いかがなものかと感じます。こうした会社の運用する投信は、私なら即、解約ですけど。。

2008年5月20日 (火)

第42話 「大学教授と運用業界」

5月19日付けのPensions & Investmentsによると、マサチューセッツ工科大学(MIT)のコサリ学部長が7月1日付けでバークレーズ・グローバル・インベスターズ(BGI)に入社し、マネージング・ディレクターに就任すると報じています。米国では、こうしたアカデミックな世界と資産運用業界の人材交流は珍しいことではありません。金融工学という言葉が生まれるぐらい、アカデミックな世界は、実務に耐えうる理論を研究しています。一方、日本でこうした話を聞くでしょうか?運用業界から大学教授、講師になる人は多々いますが、その逆をほとんど聞いたことがありません。かつて、業界の辛口ご意見番であった寺田 徳氏が言ったいましたが、「日本の金融関連の教授が海外で認められるような論文をどれぐらい出しているだろうか」と。確かに、金融業界でセミナー等に呼ばれる教授はいますが、自身の理論というよりも海外で研究された内容の紹介が大半です。これでは、運用業界に転進など、夢のまた夢でしょう。いつまで経っても日本の金融業界が発展しないのは、こうした産学共同が進まないことも理由かもしれません。もちろん、これは金融に限った話ではありませんが。やはり、大学の先生の業界でも、やっかみが大変らしく、下手にマスコミ的に有名なると、「あいつはアカデミックな世界から遠ざかった」と白い目で見られると関係者から聞いたことがあります。あ~、日本とは、つまらない国ですね。。

2008年5月19日 (月)

第41話 「日経新聞と市場動向」

日経新聞一面の左サイドに現在「日本人とおカネ」という特集記事が掲載されています。すでに第3部と昨年より長くこのテーマで続いています。また、33面の家計欄では、「金融商品比べて選ぶ」とか「マネーこの人に聞く‐松本 大氏」も掲載されています。別に偏っていると言っているではありませんが、日経新聞は、株式市場や経済が低迷してくると、よく「大丈夫です」キャンペーン的な記事を掲載します。そもそも、日経新聞の読者は、やはり投資とか相場とかに興味がある人が中心なので、市場等が低迷してくると販売部数が減少します。そのため、販売部数てこ入れのための記事をよく書きます。例えば、日経新聞は確定拠出型年金(DC)の普及に熱心です。年金を個人で運用するDCが普及すると日経新聞を購読する人が増えるという発想です(これは日経の記者の方に聞いた話です)。逆に、相場が活況になると少々はしゃぎすぎになることもあります。新しいマネー雑誌や新聞を発行したり、東京12チャンネルのマネー系番組を新たに始めたりといった具合です。しかし、大体、日経新聞の動きは遅行指数である場合が多いです。こうした新雑誌や新番組が出ると、相場はすでにピークを過ぎています。逆にいうと、悲観と考え、色々と前向きな記事を書いている現状は、すでに相場が底を打っているということかもしれません。日経金融新聞、日経公社債情報の廃刊など、日経新聞を取り巻く環境は厳しいですが、自己都合ではない記事を期待したいものです。。

2008年5月18日 (日)

第40話 週末版 「おらが町の投信プロジェクト」

この話題を取り上げるのは、3回目です。最初は、さわかみ投信が「おらが町の投信プロジェクト」を立ち上げた話題として、そして2回目は、そのうちの1つである「浪速おふくろ投信」について取り上げました。この話題は、意外とマニアの関心が高く、この話題を取り上げて以降、アクセス数が徐々に増えてきています。別に3匹目のどじょうというわけではありませんが、本日の日経新聞13面に「独立系直販投信根付くか」という記事が出ていました(私の方が取り上げるのが早かったのは、ちょっと優越感ですが)。記事は比較的好意的になっていて、①販売手数料がゼロ、②信託報酬が現時点ではやや高めだが、純資産残高に応じて割引りがある、③流行や販社の意向にとらわれず、長期投資の理念を持つ、などを挙げています。「日本の投信を変え、個人投資家本位の運用を提供する」という理念には賛成しますが、正直、このやり方が個人顧客本位とは思えません。やはり、さわかみ投信の販売ルートに単に成り下がったものではないでしょうか。同じく日経新聞15面に「初めての資産運用⑤ 分散投資はなぜ大切か?」という記事がありました。ここでは、長期投資には資産配分がより有効で、それを実現するためには、コストを考慮してETFを活用することを提案しています。大賛成です。これこそ、個人投資家本位ではないでしょうか。おらが町の投信プロジェクトに参加されている運用会社さんも、もっと勉強して、資産配分を考えた商品を提供すべきです。どこの投信を選ぶかよりも、資産配分を慎重に決定することが将来の運用実績に大きな影響を与えるからです。コストもさわかみ投信よりETFの方が安く、その分、顧客に還元できるじゃないですか。主にETFに投資し、資産配分で勝負する投信、それこそ私の考える個人投資家本位の運用商品です。。

2008年5月17日 (土)

第39話 週末版「ベアースターンズ」

5月16日付けのPensions & Investmentsによると、JPモルガンは、先ごろ買収を決めたベアースターズの運用会社「ベアースターンズ・アセット・マネジメント」の解体プロセスに入ったと報じています。そして、わずか一部をグループのJPモルガン・アセット・マネジメントに吸収する考えのようです。まあ、分かっている話とはいえ、非買収側の立場は弱いものです。日本にも、神谷町の城山トラストタワー内にベアースターンズ証券があります。アセット・マネジメントは、法人格はありませんが、部門としては存在するそうです。詳細は知りませんが、そのうちに、神谷町のオフィスもなくなり、大半の従業員は去ることになることでしょう。しかし、面白いことに、ベアースターンズ証券のHPにを見ると、2009年度卒業予定者に対する新卒採用の募集がまだ掲載されていますが。http://www.bearstearns.co.jp/

こうしたレイオフは、今年に入り、金融業界、特に投資銀行(証券会社)で継続的に実施されています。しかし、意外にレイオフされる人もサバサバしており、思うほど悲壮感を持っていないような感じがします。その理由としては、①退職時のパッケージ(割増退職金など)が用意されていること、②過去、多額のボーナスをもらっていること、が挙げられますが、特に後者は大きいでしょう。噂では、ベアースターンズでも昨年以前までは多い人でボーナスでビルが買えたそうですから。そういう話を聞くと、下手な心配はまったく必要ないですし、逆に自業自得と思ってしまうます。私だけでしょうか?

2008年5月16日 (金)

第38話 「経営者の報酬」

5月15日付け Pensions & Investmentsによると、人事コンサルティング会社のマーサー社が、米国における2007年のCEOの年収に関する調査結果を発表しました。それによると、2007年のCEOの年収は、前年比18.9%減少したとのことです。しかし、しかし、減少したとはいえ、超大企業のCEOの平均的な年収は約14億円、大企業で約9億円、中企業で5億円になっています。マーサーの定義では、超大企業とは、売り上げ4兆円以上ですが、日本のトップ企業は、その程度の売り上げを超えていますが、その社長にとっては、14億円なんて夢のまた夢の年収水準です。米国の株主は、企業の実績に応じて、報酬が支払われるなら、この金額は問題ないと考えているようです。実際、年収の3分の2は、現金ではなく、株式等による長期インセンティブプランで占められています。すなわち、CEOの儲けと株主の儲けがリンクしているわけですから、株主にとっても問題ないということなのでしょう。日本では、現金での報酬が主流ですから、ここまで多額の報酬につながらないわけで、日本のトップ企業でも米国流のインセンティブプランの割合をより多くすべきなのだと思います。そうすれば、CEO(社長)職の専門性が向上することになります。日本の一流のプロ野球選手が大リーグに行ってしまうように、報酬に上限が見えてしまうと成長は自然と止まってしまいます。銘柄選定では、こうした経営者の報酬制度も確認して下さい。。

2008年5月15日 (木)

第37話 「高まるインフレ期待」

5月14日付けのPensions & Investmentsに、メリルリンチが実施した世界ファンドマネジャー向けアンケートの5月の結果が発表されていました。それによる、191の投資プロフェッショナルの18%が世界はすでにリセッションに入っていると応えていますが、これは前月の24%よりも低下しています。加えて、今後1年以内にリセッションに入ると予想している人も、前月の40%から今月は29%に大きく低下しています。すなわち、景気に対する見通しが楽観的に改善していることを示しています。一方で、今後、世界的にインフレが上昇すると応えている人が前月の7%から一気に25%に上昇しました。世界のプロフェッショナルは、景気よりもインフレに警戒感を強めていることが分かります。インフレ予想の結果として、債券金利が上昇すると予想する人が、前月の55%から80%まで上昇しています。こういうアンケートは、逆張り指標になることもあるので、気をつけないといけないとい意見もあるかもしれませんが、こうした傾向を踏まえて、今後の投資方針を考えた方が良いのではないでしょうか。一つには、”債券より株式”の投資ウェイトを高めること。そして、”インフレ対応”の投資を行うこと。これは以前にも書きましたが、コモディティ投資などはその候補になります。インフレ連動債もそろそろ良いのではないでしょうか。ご参考にして下さい。。

2008年5月14日 (水)

第36話 「新生銀行とあおぞら銀行」

本日の日経新聞夕刊(他、日経ネット)において、新生銀行が八城会長の復帰を報じていました。新生銀行は、旧日本長期信用銀行が国有化され、投資ファンドであるリップルウッドに売却されて生まれた銀行です。八城会長は、新生銀行の初代のトップとして今の新生銀行のビジネスモデルを確立された方です。しかし、最近は、消費者金融会社の買収で損失を計上したり、サブプライムでも損失を出した結果、業績が相当悪化していました。今更、八城会長が陣頭指揮を執って何かをするというわけではないでしょうが、カリスマ性(あるのかないのか知りませんが)のようなものに期待して建て直しを図るつもりなのかもしれません。同じく、国有化され、投資ファンドであるサーベラスに売却されたあおぞら銀行も低迷しています。ここは、新生銀行以上に内容が悪くなっています。新生銀行が普通銀行として、個人ビジネスに大きな一手を打ちましたが、あおぞら銀行は個人に行くのか、法人に行くのか何も決まらないまま、ここ数年進んでいます。もちろん、最初にソフトバンクに買われたのが、つまずきの始まりではありましたが。この2行に共通するのは、投資ファンドに買われ、経営者がそのファンドから派遣されていることです。投資ファンドも雇われ経営者も短期的な利益(すなわち、株式の再上場による利益)を狙っていましたから、再上場までが勝負のような雰囲気が出来てしまいます。加えて、こうした雇われ外人経営者が更に、短期志向の外人部門長を採用してきて、銀行内は、まさしく進駐軍に侵略された戦後日本のような状態になっているわけです。そうなると会社の文化自体が短期志向になり、直属外人上司へのゴマすりの横行など、無茶苦茶になり、銀行のお堅いイメージとはかけ離れた存在になってしまったわけです。加えて、国有化の過程で、優良な資産も減ってしまっていますから、収益源が限られ、結果として運用によって収益を上げようとしたのが、サブプライムの損失に繋がったわけです。あおぞら銀行の場合は、一説には、農中からきた会長が、外人から主導権を奪おうとクーデターを起こしたが失敗し、わずか1年で追われることとなったと言う人もいます。その真偽は別として、そうしたガタガタした状態で、信用商売の象徴である銀行が成り立つわけがありません、常識的には。私も、新生銀行は便利なので、よく使っていましたが、自論に基づき、数万円しか預金を置いていません(もちろん、私の考えに基づく行動で、他人に勧めるものではありません、念のため)。今回の金融不況は、こうした銀行の前途に暗い影を落とすかもしれません。。

2008年5月13日 (火)

第35話 「長生きリスクと企業年金」

5月12日付の Investment & Pension Europe(IPE)による、英国で企業年金の買取り市場が拡大していると伝えています。その規模は、22億ポンド、約4400億円になっています。企業年金の買取りは、日本ではほとんど聞かないビジネスです。皆さんの会社にも企業独自の年金制度があると思います。これは、企業が掛け金を積んで、ある算定式に基づき、将来、決まった額の年金を支払うものですが、最近、これが世界的に企業経営問題となっています。世界的に会計制度が変わって、積み立てている資産と将来払わなければいけない年金の額(現在価値に割り引く)を比べて、資産が少なかった場合には、企業は費用として認識しなければいけなくなったのです。その結果、昨年のように株式市場が下落すると、企業の業績は悪化することになるわけです。実際に、日本の企業でもそうした費用増を見込んで業績見通しを下方修正したところもあります。このように、企業にとって年金制度を持ち続けることは、大きな経営リスクなわけです。加えて、先進国では、平均寿命が延びてきています。長生きすればするほど、企業年金は年金を払い続けなければなりません(終身年金の場合)。すなわち、長生きは、企業年金にとってコスト増のおおきなリスクになるわけです。

こうした環境の中、英国では、保険会社やその専門会社に自社の年金制度を買い取ってもらって、将来の資産運用や長生きのリスクを肩代わりしてもらうという動きがあるわけです。これで、企業の決算に年金は影響しなくなります。保険会社等が一時払い年金を企業に売ることでこうした肩代わりができるわけですが、最近、ひょんなことから伸びてきています。サブプライム問題で信用リスクが高まり、社債の金利が上昇したのです。その結果、一時払い年金の値段を計算する際に使用する割引金利が上昇し、企業にとっては保険の値段が値下がりするという結果になりました。企業はここがチャンスとばかりに企業年金をこの保険に入れ替えているわけです。なんとも経済合理性に沿った話ですが、そもそも、企業経営にとって、本業以外のリスクをとるべきではないということなのでしょうか?従業員の年金ぐらい面倒みても良いとは思いますが。企業も長生きしなければいけませんし、仕方ないかもしれません。なんとも心寂しい結末です。。

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2008年5月12日 (月)

第34話 「まだまだ続く運用機関の苦悩」

5月9日付 Pensions & Investmentsによるとカルパース(カリフォルニア州職員退職年金基金)が70億ドル(約7000億円)の年金資金について、現在、外部の運用機関に委託しているのは解約し、自前の運用部門で運用することを決めたと報じています。これにより、BGI(バークレーズ・グローバル・インベスターズ)が13億ドル(約1300億円)など合計7社の株式運用機関と6社の債券運用機関が受託資産を減らすこととなりました。しかし、さすがカルパースですね、やることが大胆です(もちろん、そう言っても、資産全体の3%程度ですが)。カルパースは以前から運用機関の運用能力と運用報酬の関係に疑問を持っていたことは事実です。昨年にあった議論では、カルパースが外国株式運用を委託している運用機関に対して、固定報酬を廃止し、成功報酬(運用結果が良かった場合のみ運用報酬を払う)ことについて提案したことがあります。運用機関にとってはこれは死活問題です。固定報酬が減れば、固定費用が賄えない、例えば、アナリストなど抱えられないことになります。この議論が最終的にどう決着したかは知りませんが、今回の決定がどうもその延長線上にあるように思えてなりません。私も、運用機関が運用報酬に見合う運用成果を達成しているか、非常に疑問です。能力の無いものお金を払いたくないというのは、万国共通です。特に、日本の投資信託ですが、どうしてほとんどの投信の信託報酬は大体1.5%前後なのでしょうか?どういう原価計算しているのでしょうか?聞いたことがありません。あのグロソブも何兆円の資産があっても1.25%の報酬が取られます。一体何人で運用しているのでしょうか?1000人ぐらいですか?こういう理屈に合わない運用報酬を取り続け、運用成果が逆に伴わないと、解約という運用機関の苦悩は継続することでしょう。。

2008年5月11日 (日)

第33話 週末版 「バフェット流の投資」

本日の日経ヴェリタスの一面に「バフェット投資の極意」という記事が4面に渡って掲載されておりました。ウォーレン・バフェット(77歳)は、誰でも知っている著名な投資家ですし、億万長者です。同氏の運用は、投資会社、バークシャー・ハザウェイで行われており、純資産で見た65年から2007年までの年平均利回りは21%になると掲載されています。ただし、保有している銘柄は、非常に有名な優良株で、コカ・コーラやクラフトフーズなどです。このウォレーン・バフェットの師匠は、ベンジャミン・グレアムである。この人はバリュー投資の元祖のような方で、著書「賢明なる投資家」でその極意を説明しています。しかし、その内容は、ある意味非常にシンプルで、言い方は悪いですが、”つまらない投資”の勧めのような内容です。すなわち、投資家がするべき事は、安定しており、財務体質が良い会社を見つけ出し、その価値よりも割安な価格(この割安部分が、”安全マージン”と呼ばれる部分)で購入し、長期保有するというものです。そのために、財務諸表をじっくり分析し、それを見極める。別に将来の業績を予想する必要などない、としています。そうすると、組み入れる銘柄は自然と、こうした有名な優良株になってしまうわけです。日本株なら日立だとか、誰でも買いそうな銘柄になると思われます。従って、よく「バフェット流の投資」を学ぶとか言った話を聞きますが、ことさらに「バフェット流」を学ぶほどの内容はありません。どちらかというと「バフェット流の投資を実行できるか?」が重要です。分かってはいるができない、守れない。そういう投資方法が、バフェット流だと考えますが、皆さんはできますか?

2008年5月10日 (土)

第32話 週末版 「クレジット・デフォルト・スワップ」

昨晩のニューヨーク株式市場の下げに関する市場コメントでは、AIGが78億ドルもの赤字決算を発表したことを主な理由にしています。多額のクレジット・デフォルト・スワップにでの評価損が赤字の要因だそうです。しかし、サブ・プライム問題が峠を越えたと思ったら、今度は、クレジット・デフォルト・スワップが出てきました。これは、以前から問題視されていたわけではありますが。クレジット・デフォルト・スワップとは、いわゆる企業等の信用リスクをヘッジするための保険です。A社の発行する債券を買う一方で、手数料を払ってクレジット・デフォルト・スワップを組めば、仮にA社が将来返済不能になっても、保証されるわけです。この保険商品は、基本的に相対取引ですから、例えば、AIGが相手方になって、クレジット・デフォルト・スワップを売れば、手数料収入がAIGに入りますが、デフォルト率が上昇すれば、損を被ることとなります。このマーケット45兆ドル以上あると言われていますが、実際には更に拡大しているようです。昨年から問題となっているレバレッジの典型的な商品で、あれだけサブプライムでレバレッジが問題視されていたのに、クレジット・デフォルト・スワップだけはレバレッジを伴って拡大してきたと言われています。ちなみに、私は、これを保険商品と呼びました。間違いありません、まさしく保険なのです。しかし、金融業界では保険と呼びません。なぜなら、保険と呼ぶと保険の規制の枠内に入り、クレジット・デフォルト・スワップを売る会社は、その金額に応じて、資本金を積まないといけないからです。しかし、現在、保険の規制外なので、そういうルールがありません。従って、現在問題となっているのは、保険商品であるクレジット・デフォルト・スワップの破綻です。保険を買ってつもりが払われない、まさしく日本で経験した千代田生命や東京生命のようなことが起きるかもしれないのです。一難去ってまた一難。クレジット・デフォルト・スワップは、サブプライム問題を大幅に上回る爆弾かもしれません。。

2008年5月 9日 (金)

第31話 「外資系運用機関を紹介する日本の金融機関の責任」

第26話 「外資系運用機関に対する幻想」で、フランスのクレディ・アグリコールがりそなホールディングに出資する話があり、それを契機に、運用機関としてあまり有名でもないクレディ・アグリコールの商品をりそなを通じて日本の個人投資家に紹介するのは、いかがなものか、という問題提議をしました。覚えてますか?それに関連して、5月7日付けInvestment & Pension Europe(IPE)によると、フランスの公的年金であるFRRが、クレディ・アグリコールに委託していたユーロゾーン中小型株式運用の解約を決めたと報じています。理由は、パフォーマンスが不冴えなためです(英語では、poor performance。こっちの方がきつい表現のような気がします)。FRRは、345億ユーロの資産を運用する大型年金です。また、クレディ・アグリコールとしては自国の大型公的年金から三下り半を叩きつけられたわけで、ショックでしょう。日本人的感覚では、公的な年金は、自国の運用機関を優遇するだろうと考えるので、そういう意味でも余程パフォーマンスが悪かったのでしょう。自国でこういう評判の運用機関を日本では、フランスの有数な運用機関という内容で紹介するのでしょうか。非常にバカバカしく、加えて日本の個人投資家に不幸なことです。多くの金融機関が外資系運用機関の商品を紹介していますが、彼らはどれだけ正確に運用商品の評価を行っているのでしょう。りそなように、大株主だからなどという理由で選ぶようなことがあれば、個人投資家に対する背信行為と言われても仕方ないでしょう。中立性とまでは言いませんが、自国の公的年金からもパフォーマンスが理由で解約されるような運用機関は避けるべきでしょう。それが、最低限の責任では。。

2008年5月 8日 (木)

第30話 「円キャリートレード」

本日の日経新聞夕刊の「目からうろこの投資術」という欄で、伝説のトレーダーの藤巻健史さんが、「円キャリートレードの解消が円高ドル安の原因と言われるが、円キャリートレードなど存在しない。自分がJPモルガン銀行の支店長だった時にヘッジファンドに円を貸したことはない」など書いていました。なんだか、”おいおい、老いぼれたか”と言いたくなるような内容でした。昔は、藤巻さんの”プロパガンダ”を読んで、こんな面白いことを書く人がいるのかと思ったものでしたが、時の経つのは、早いものです。藤巻さんは、本当に円の資金を借りて、それをドルに換えることが円キャリートレードだと思っているのでしょうか?実際の取引は、円の先物予約(フォワード取引)で行われていることは、ほとんどの人が知っている話ですよね。フォワードは、将来日付で決済する為替取引で、例えば、3ヶ月後に、円を売って、ドルを買うといったものです。この場合、約定する為替レートは、3ヶ月の円ドルフォワードレートを使用し、スポットレートと2カ国間の金利差で計算上、決定されます。従って、フォワードでドルを買うと、円資金を借りて、ドルを買うのと同じ効果になり、通常こういう取引を引き受ける銀行にとっても、円資金を貸して、ドル資金の預金を受け入れたようになるわけです。ヘッジファンドを含む為替取引を行う機関投資家は、このフォワード取引で為替ポジションと作ります。この場合、金利の低い国の投資家から見ると、どうしても高金利通貨をロングにする傾向があります。なぜなら、黙っていても金利差が収入になるし、相場感が当たれば、ダブルで運用成果を上げ易いのです。逆に高金利通貨のショートポジションは見通しと逆に動くと金利差と為替の動きでダブルで損になる可能性があるので、相当見通しに確信がないと取りにくいポジションです。だからこそ、サブプライムショックまでの為替相場は、最も居心地が良い(すなわち、高金利通貨が強く、ロングしていればダブルで儲かった)時期だったわけです。その解消で、円高になったとすれば、非常に納得のいく話で、藤巻さんの言っている根拠が全く良く分かりません。彼は、円安論者なので、ポジショントークでそういうことを言い出したのでしょうか?であれば、伝説のトレーダーもへぼトレーダーもあまり差がないということですか。。

2008年5月 7日 (水)

第29話 「今更ですが、サブプライム問題」

5月6日付Pensions & Investmentsによると第1四半期に大幅な赤字を計上したUBSが、BlackRockにサブプライム関連商品150億ドル売却すると伝えている。アナリストの見方では、昨年8月の混乱の前には200億ドルの価値があった資産とのことです。しかし、ちょっと待って下さい。これでは、25%しかサブプライム商品が減価していないことになります。本当ですか?Makit社のホームページでABXの価格を見ると少なくとも半分以下には下落していると思いますが。いずれにせよ、以前にも書いたようにUBSの苦悩は続きそうです。一方で、BlackRockはハゲタカぶりを発揮してますね。PIMCOも似たような動きをしています。ディストレスト系アセットバック証券の投資妙味が大きいと投資家に販売を行っています。まさしく、ハゲタカの勝ち組です。こうした勝ち組につくのは重要です。。

2008年5月 6日 (火)

第28話 「損切りルールは是か?私の意見」

前回問題提議した「損切りルールは是か?」について、更に考えます。そもそもこの発想は、投資元本を守りたいという願望から来ています。しかし、株式投資だけで元本を守ることは短期的(これがポイントですが)には困難なので、株式と現金の2資産によるバランス型運用を行おうというものです。このバランス型運用の配分比率を頻繁に変えるのが、”小刻みな売買”という意味なのです。従って、株式投資の議論ではなく、この記事はバランス型運用が下げ局面では有効ですよと行っているだけなのです。だから、この記事は変だと述べているわけです。バランス型運用なら、以前にも書いたように、株式と現金だけではなく、債券や外国証券を含めた方が有効に元本を守ることができるでしょう。ただ、長期の投資資金であれば、本来的にはバイアンドホールドが良いと思います。今回のような下げの影響を少なくしたいなら、利益の成長速度を大幅に越える銘柄への投資を避けるべきです。株価と経常利益を表すトレンドを比較するのは有効です。現物株投資はゼロサムではありません。企業の成長で全員が儲かる可能性があるのです。成長企業で買い時さえ大きく間違えなければ、悲惨なことにはならないでしょう。一方、債券投資では、景気サイクルで価格が循環的に動くので、私は小刻み売買推奨派です。ご参考まで。。

2008年5月 5日 (月)

第27話 「損切りルールは是か?」

本日の日経新聞に「株安でどう動いたか」というアンケート調査結果が掲載されていました。それによると、昨年7月から今年3月までの株価下落局面でプラスの成果を残せたのは全体の13%しかいなかったそうです。また、そのプラスの人の勝因としては、損切りルールを守ることと、小刻みな売買を行うことだっとそうです。この間日経平均は31%下落したので、多く個人投資家はこういう勝ち組の経験を真似しようと思うのでしょうね。しかし、それは間違いです。買いしかできない投資家だとすれば、その間の運用成果がマイナスであることを悔やむ必要は全くありません。そもそもこういう議論を行う場合に決めておかないといけないことは、どういう性格の資金を何年ぐらいの投資期間で投資するのかいうことです。損切りルールや小刻みな売買は、非常に短期志向の投機性の強い資金と言えます。一方で割安株投資で中長期的には買い場という議論は全く異なる種類の議論と言えます。たいがい、人の目を引きたい新聞記者はこうした間違った方向に人をわざと導こうとします。では、正しい議論とは何か、私がどう考えるかは、次回表明したいと思います。。

2008年5月 4日 (日)

第26話 週末版 「外資運用機関に対する幻想」

本日の朝日新聞によると、フランスの金融機関クレディ・アグリコールが国有化されている「りそなホールディング」に最大5%出資することを提案したと掲載されています。りそなの大株主は日本政府である状態は変わりませんが、公的資金を少しでも早く返すという主旨にあっているので、今後進展する可能性が高いようです。クレディ・アグリコールにとってもすでに発展してきた投信販売の関係や新たに設立した生命保険会社の商品の販売拠点としてりそな銀行を期待しているようです。私企業間の関係ですから、特にこのディールに文句はありませんが、非常に面白いなと感じます。クレディ・アグリコールは、日本で言えば農林中金のような銀行です。商品を顧客に販売する販売会社として有名で、決して運用会社として有名ではありません。そういう銀行も、このようなニュースと一緒に日本の銀行で商品を販売すれば、良い会社かと個人は錯覚するかもしれません。そして、高い報酬と悪い運用成果は個人が背負わないといけません。日本の銀行が中に入り、よく見せる、あたかも運用商品のマネーロンダリングのようです。皆さん、横文字の会社で、日本の会社がそこの商品を売っていても、全て良い会社ではありませんよ。お忘れなく。。

2008年5月 3日 (土)

第25話 週末版 「公的年金の運用」

本日付の日経新聞5面に政府の資産運用という特集記事で、年金積立金管理運用独立行政法人、いわゆるGPIFの資産運用について、批判的な内容が掲載されています。90兆円を扱いながら、運用対象の多様化・高度化がされていないので、逸失利益が02年度からの4年間で36兆円以上あったと経済財政諮問会議のワーキンググループで試算結果が発表されました。これはカナダの公的年金の資産配分と同じだったらという比較ですが、非常に乱暴でご都合主義の意見です。このカナダの株式比率は65%と非常に高く、以前バランス型運用について論じたようにリスクを過度に取ることになります。加えて、カナダと日本では金利水準やインフレ水準も異なり、資産配分を横並びで比較すること自体がおかしいのです。金融の専門家も入っていると思いますが、こんな人達に我々の大事な年金の議論を任せて良いのでしょうか。。

2008年5月 2日 (金)

第24話 「苦悩のパトナム・インベストメント」

昨日に続き老舗の運用機関が苦労しているお話です。5月1日付Pensions & Investments誌によると、米国の証券会社エドワード・ジョーンズ社が、50年以上の付き合いのあるパトナム・インベストメントの投信(ミューチュアル・ファンド)を自社の推奨ファンドから外すと決定しました。決定理由は、主にパフォーマンスの悪化によるものとのことですが。このエドワード・ジョーンズ社というのは、米国で店舗数で最大の証券会社ということで、9000以上の店舗と1万人以上のファイナンシャル・アドバイザーを抱える由緒ある証券会社です。ここの方針は、個人顧客を訪問し、対面で説明を行い、投信を中心に長期的な資産形成を勧めるものです。従って、運用会社側も、長期でファンドを保有してくれるということで、ここの推奨ファンドに選ばれることは非常に名誉なことと思っているわけです。面白いことに、エドワード・ジョーンズ社は、多くのファンドを取り扱ってはいますが、販売の90%程度を10社弱の特定の運用会社の商品で固めています。これは長期投資の方針で、自分達との信頼が構築された運用会社のみを扱うというものと思われます。だからこそ、パトナム・インベストメント社も50年の付き合いがあったのでしょうし、今回の決定は非常ショックだったに違いありません。パトナム社は、米国ミューチアルファンド運用会社大手ですが、2003年に投信スキャンダルがあり、1億ドル以上の罰金を払いました。その後も、投信残高の減少、ファンドマネジャーの離職、運用パフォーマンスの悪化、親会社の変更など、運用機関が悪くなる教科書的な歴史を辿ってきました。運用パフォーマンスとこうした会社の事情は表裏一体ですので、良い運用会社とはどういう会社かを学ぶ良い反面教師と言えるでしょう。。

2008年5月 1日 (木)

第23話 「また、解約。苦悩のUBS」

4月28日付 Investment & Pension Europe(IPE)によると、英国の鉱山労働者の年金基金が、13億ポンドの世界株式運用を委託しているUBSグローバルアセットマネジメントを解約し、新しく2社の運用機関を採用したと報じています。この金額は、当該年金の10%弱の資産であることから、大きな資産を任されていて、解約されたことになります。UBSグローバルアセットについては、第3話「タクティカル・アセット・アロケーション」の時、パフォーマンスが悪く解約されたことをお伝えしました。今回は2回目ということになります。当該年金が今回解約したのはUBSのみです。しかし、UBSグローバルアセットがどうしてこういう解約の嵐にさらされているのでしょうか。色々の商品を扱っているので、一概には言えませんが、UBSグローバルアセットは、90年代終わりに配当割引モデルで有名な米国のブリンソン・パートナーズ社を買収した会社です。従って、定量的な運用モデルとアナリストによる収益予想を加味した非常にバランスの取れた運用を行い、世界的にも評判の高い運用機関だったと言えます。しかし、一方で、定量モデルとアナリストによる調査という2つの面で質の高さを求められますから、少しでもバランスを崩すとパフォーマンスは悪化する可能性が高くなります。そういう意味では、非常に玄人好みされる一方で、運用結果が時に悪化し、顧客の評判には差が出やすい運用会社だったと言えます。加えて、親会社のUBSがサブプライム問題でドタバタしており、とても安定した運用を行える環境とは言い難い状況にあったのでしょう、パフォーマンスは、嘘をつきません。悪化の理由は振り返ってみると意外に単純な理由だったりします。日本の年金業界でも、業界紙が毎年暮れに運用機関の人気ランキングのようなことを行っていますが、UBSグローバルアセットの落ち込みは著しいものがあります。UBSの苦悩は、まだまだ続きそうです。。

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