« 第49話 「米国株の地位」 | トップページ | 第51話 「公的年金の運用改革」 »

2008年5月28日 (水)

第50話 「為替オーバーレー」

5月27日付のInvestment & Pension Europeによると、スイスの年金基金にアンケートを行った結果、為替オーバーレーは、役立たずと思っている基金が多いことが分かったとのことです。為替オーバーレーとは、本来、外国証券に投資して負う為替リスクを全般的に管理して、為替損が出そうな場合には為替ヘッジを多くし、為替益が得られそうな場合には、逆に為替ヘッジを減らすといった運用を行うことです。これにより、投資家は為替をフルヘッジするよりもコストを減らし、リターンを高められる可能性があるというものです。しかし、その後、商品性は変わっていきました。為替のヘッジ比率を変えるだけでは、どうしてもリターン獲得の機会が減るからです。そこで、登場したのが、為替のロング・ショート戦略です。これは、本来の目的から相当離れて、どんな通貨の組み合わせでもよいので、ロングとショートのポジションから為替リターンを得るものです。もう為替ヘッジ目的というは消えています。しかし、例えば、フルヘッジで外国証券に投資し、これを行えば、追加のリターンでヘッジコストを軽減できるかもしれないということで、いくつかの機関投資家が採用しています。

とは言うものの、正直、この種の運用が安定的にうまくいってるとは聞きません。どうしても、キャリー取引のように、高金利通貨をロング、低金利通貨をショートしてしまう傾向があるので、相場が逆方向に動く、どの為替オーバーレー運用機関も運用がうまくいかなくなるのです。結局、このスイスの年金のように、「効果ないな」と見切ってしまう人が多くなるわけです。為替は、購買力平価とか、金利裁定とか、多少は理論的議論がありますが、株式や債券に比べて、学術的議論が遅れていると思います。加えて、介入といったけ剤的損得ではない市場参加者もいるので、ますます難しくなるわけです。だから、なかなか儲からない。しかし、だからこそ、面白いという市場かもしれませんね。。

« 第49話 「米国株の地位」 | トップページ | 第51話 「公的年金の運用改革」 »

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/512329/41352624

この記事へのトラックバック一覧です: 第50話 「為替オーバーレー」:

« 第49話 「米国株の地位」 | トップページ | 第51話 「公的年金の運用改革」 »

最近のトラックバック

無料ブログはココログ