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2008年6月 5日 (木)

第58話 「運用機関の運用能力」

6月4日付のInvestment & Pension Europeによるとスウェーデンの公的年金の一つであるAP3が運用体制を見直し、アルファとベータを分離させた体制にするとのことです。ちょっと専門的な分野になりますが、ベータとは、市場のリターン、リスクを指します。すなわち、日本株式を持てば、日本株式市場のリスクに晒されるわけです(今日の株式市場は上がったとか、下がったというものです)。一方、アルファとは、委託する運用機関の能力に関するものです。例えば、日本株式で投資顧問会社を採用すれば、市場インデックス(例えば、TOPIX)を上回った場合に、それは投資顧問会社のスキルから生じたアルファと呼ぶわけです。従来は、日本株での運用を投資顧問会社に委託するという意味は、日本株のエクスポージャーを持つと同時にスキルから生じるアルファを期待することでした。すなわち、アルファとベータは、一体だったわけです。しかし、最近の世界の傾向としては、アルファを取りに行くのであれば、どの資産で取るかに制限を設けず、スキルのある運用機関に何でも良いから預けるような考え方が出てきています。一番、典型的なのはヘッジファンドです。また、身近でも、日本株と外国株と分けずに、グローバル株式という形態で委託した方がアルファを稼ぎやすいなら、それで預けて、別途決めている日本株と外国株式の比率はインデックスの先物で調整すれば良いという考え方も出ています。これも、ここでいうアルファとベータの分離です。しかし、こうした新しい発想が出てきた背景は、最近、運用機関が期待通りの運用成果を達成していないことが分かってしまったことにあります。だから、顧客も色々と考えなければ、いけなくなったわけです。これは、高額の運用報酬をとっている運用機関の危機です。中途半端な運用能力しかない運用機関は、相当程度淘汰されるのではないかと、業界関係者として非常に心配しております。。

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