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2008年6月11日 (水)

第64話 「不動産に投資する意味」

6月10日付けのGlobal Pensionsによるカルパース(カリフォルニア州公務員退職年金基金)が投資していたカリフォルニアの大手不動産開発業者のランドソース・コミュニティーズ・デベロップメントが、連邦破産法第11条の適用を申請したと報じています。カルパースは、投資パートナーのマクファーレン・パートナーズを通じて行っていました。カルパースは、9億ドルを投資していましたが、全体の資産額が2,454億ドルですから、全体の0.5%のみ投資割合であり、影響は軽微だとカルパースはコメントしています。今回の破綻は、まさしく、米国不動産市況の低迷と信用収縮から起きたものです。特に、同社は、カリフォルニア南部に開発前の広大な土地を抱えていたことで、不動産価格の下落の影響を受けたようです。しかし、天下のカルパースでもこういう失敗もあるのですね。まあ、0.5%ですから、仕方ないと言えば、仕方ないですが。しかし、不動産投資全体で見ると、更なる影響があると想像されますので、今後、カルパースの運用状況がどうなるか注目されます。こうした不動産不況は、日本でも90年代のバブル崩壊で辛い経験をしてきたわけですが、また、こういう事が起きると、改めて、不動産投資の意味を考えるべきではないでしょうか?不動産投資は、昔から年金や生保のポートフォリオにはなくてはならないものでした。その理由としては、①インフレヘッジ、②高リターン、③他の資産との低相関と低ボラティリティ、などです。インフレヘッジについては、確かにそういう面はありますが、いわゆる消費者物価に対するヘッジでは、今一つ連動性が乏しいと言わざるを得ません。欧米でも物価連動債をインフレヘッジには使用するケースが増えています。次に、高リターンについては、市場サイクルの影響を大きく受けるので、一概には言えないでしょう。最後に、低相関、低ボラティリティですが、不動産への直接投資の場合、不動産価格の鑑定評価がある定期的(四半期とか年1回とか)しか行われませんので、ボラティリティが見た目、下がった見えます。ただし、最近は上場REITがありますので、実質的なボラティリティが見た目よりも高いことは想定できます。また、同じような理由から、他の資産との相関も低くなるので、分散投資の意味が高いということですが、多少割り引いて考える必要があります。このように、不動産への投資は、独立した資産クラスとしては、どうも強い必然性が無いというのが私の結論です。流動性も重大な問題ですし、市場タイミングも重要だとすると、REITや不動産株(三菱地所のような)で十分だと考えます。本件は、世間の意見は分かれるとは思いますが。

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