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2008年7月16日 (水)

第99話 「相対リターンと絶対リターン」

7月15日付のInvestment & Pension Europe(IPE)によると、クレディ・アグリコール傘下で米国バージニアに拠点がある運用会社Emerging Markets Management(EMM)が運用するエマージング株式運用で欧州顧客から大量の解約が出ているそうです。同社の運用は、絶対値ベースでは、二桁を維持しており、2006年は27%、2007年は26.7%を達成しています。しかし、これでも資金流出が発生しているのは、絶対値によるリターンではなく、市場インデックスと比較した相対リターンが原因となっています。EMMの運用結果は、2006年で5.2%、2007年で12.7%、MSCI Emerging Market Indexを下回りました。特に、昨年の12.7%の市場インデックスに対する劣後が印象悪く、解約の引き金となったようです。この市場インデックスに負けた原因に、中国株とインド株にあります。EMMは、両国の株式市場は割高として、市場インデックスに含まれる比率よりも非常に少なくしたために、負けてしまったわけです。しかし、今年は、この両株式市場とも大幅に下落しているので、今年に入って、EMMは、市場インデックスを上回るリターンを達成しています。

この話は、年金などの機関投資家の世界です。機関投資家は、市場インデックス(ベンチマークと呼びます)に勝ったか、負けたかを競うわけですが、最近のように大幅に指数が上下する場合には、このインデックスに勝った負けたの評価が歪む場合があります。従って、市場が静かな時は良いのですが、こういう局面で短期的な成果を見て判断すると、このように一時的に間違った判断を下すリスクがあるわけです。一方、個人は絶対リターン中心ですから、二桁の結果を出していれば、EMMを解約しようとは思わないでしょう。これも片手落ちな議論で、やはり他社の運用成果なども個人でもチェックした方が良いと思います。現在、市場の変動性が非常に高まっていますので、こうした運用機関の評価は、プロ、アマ問わず、慎重である必要があります。しかし、クレディ・アグリコールは、以前もこのブログで書きましたが、運用業界では評判が良くないですね。

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