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2008年7月

2008年7月31日 (木)

第114話 「世界的に蔓延する住宅価格の下落

7月31日付けのブルンバーグ・ニュースによると、米国に続いて、オーストラリアでも、100年に1度の住宅不況が忍び寄っているようです。住宅価格に詳しいレジデックス社によると、住宅価格は6月、オーストラリアの主要都市すべてで下がったそうで、こうした状況は、大恐慌の直前以来、初めてだとのコメントを寄せています。モルガンスタンレーのストラテジストによると、2010年までに30%下落すると予想しています。また、別のニュースで、英住宅金融4位のネーションワイド・ビルディング・ソサイエティが31日発表した7月の同国の住宅価格は、前年比で約 20年ぶりの大幅下落となったそうです。発表によると、7月の英住宅平均価格は前年同月比8.1%低下したとのことです。このように米国での混乱に注目が集まっていますが、米国以外でも住宅不況となり、その結果、不良債権の増加と銀行の体力低下が引き起こされそうです。特に話題となっているのは、アングロサクソンの国々です。彼らは、こうした住宅バブルを謳歌し、信用創造を膨らませすぎたわけです。そういった点からも、今後、海外のうち、アングロサクソンの国々に投資するのは要注意です。言い換えれば、投資しない方が良いかもしれません。また、アングロサクソンの国々に本社を持つ会社にお勤めの方も要注意です。今日の朝日新聞にも外資系金融のリストラの記事が出てましたが、あのような状況は年末に向け、悪化しそうです。海外投資であれば、アングロサクソン以外にしましょう。

2008年7月30日 (水)

第113話 「PIMCOによる債券ETF」

7月29日付けのPensions & Investmentsによると、世界的な債券運用会社のピムコ(PIMCO)がETF設定に向けて、SECに許可を求める計画と報じています。最初のファンドは、パッシブ型の債券ファンドの可能性が高いようです。本プログでも、ETFビジネスの可能性を示唆してきましたが、日本でもこうした債券ETFの提供があっても良いのではないでしょうか。株式、金だけでは、分散されたポートフォリオはできません。加えて、債券投資は、私の実体験でも、個人では投資しづらいのが現状です。しかし、一方で、昨今の株式市場の変動性の増大に伴い、債券金利も、日中で大きく動くようになりました。特に、国債の入札や重要な経済指標があるときは、特に大きく変動します。すると、現在のように、公募投信で引値の一本値でしか投資できないのは、投資機会の損失でもあります。株式ETFと同タイミングで投資するにも、債券ETFがないと不便です。運用機関の皆様、是非とも、債券ETFを日本でも作ってください。別に円債だけではなく、外債を含めてものも歓迎です。債券の良さは、市場取引よりも相対中心なので、日本時間でも外債価格が変動し、ETFの良さが活かせるのです。よろしくご検討のほど、お願いします。

2008年7月29日 (火)

第112話 「死期にかける投資」

7月23日のブルンバーグニュースによると、米国最大の葬儀・墓地会社であるサービス・コープ社(NY証券取引所上場)に対して、ヘッジファンドが、ベビーブーマーの死亡率の高まりに賭けて、同社株の保有を増やしていると報じています。このヘッジファンドは、SAC CapitalとAQR Capitalです。2006年の8.1%の死亡率から、2020年には9.3%、2040年には10.9%に上昇するとの予想があります。ベビーブーマーとは、1946年から1964年に生まれた世代で、7800万人の人口となっているとのこと。これこそ死期に賭けた投資ですね。死亡率が予想に反して、高まらなければ失敗、最も死亡率が高まれば成功といった具合です。また、これとは異なりますが、”ライフセトルメント”という投資も、死期に賭けた商品です。これは、生命保険の2次売買市場で、死亡時の保険金を死亡前に時価で買い取ってもらい、買い取った人は、当事者の死亡時に代わって死亡保険金が受け取れることになります。当初の推定余命よりも早く死亡すれば利回りは上昇しますが、逆に長生きされると利回りが低下します。オルタナティブ投資と言ってしまえば、かっこいいですが、人間の死期にまで投資機会を求めるような、そんな世の中なわけです。すごいです。でも、少し考えさせられますが。

2008年7月28日 (月)

第111話 「農業関連が今後のコモディティの中心」

7月24日付けのGlobal Pensionsによると、米国のマネージド・ファンド・アソシエーション(MFA)が、最近の農作物価格の高騰は、機関投資家が悪者ではないと結論付けました。逆に、流動性を提供し、市場の変動性を抑える役割を果たしており、価格の上昇は、ファンダメンタルと需要と供給の結果、生じたものだと主張しています。最近の原油先物市場への規制の動きを同じく、農作物価格でも機関投資家によるマネー・ゲームが原因だと主張する風潮があります。そうした中で、MFAはこうした声明を発表したのでしょうが、言っていることは至極当たり前のことを言っているだけです。農作物は、原油に比べて、おそらく今後の長いテーマになると考えられます。単に、インフレヘッジとして、穀物相場に入るだけではなく、農作物を供給する面でも、今後、大きなビジネスチャンスがあるようです。代替エネルギーへの動きは変わらないので、供給増への期待は世界的に広がっています。投機の印象が強い原油に比較し、農作物はもっと高い次元の投資として注目されてきており、かつ今後も発展すると思います。ちなみに、指数開発会社のMSCIは、"The MSCI Agriculture & Food chain Indices"を発表しました。機関投資家の注目が高いことの一つの証明かもしれません。

2008年7月27日 (日)

第110話 「流動化するアナリスト」

本日の日経ヴェリタス52面に「證券業界ー人気ランキング上位の面々、相次ぐ退社」という記事がありました。外資系證券会社を中心にサブプライム問題の影響からリストラが進み、著名アナリストでも退社を余儀なくされているという内容です。モルガン、クレディ、日興シティを退社し、独立、ファンドへの移籍またはドイツ證券など拡大している会社への転職が進んでいるとのことです。業界では更なるリストラも噂されており、厳しさが増しているようです。しかし、そもそも、こうした著名アナリストは付加価値を生んでいるのでしょうか?高給だけを求めて付加価値を生んでいないなら、その人口が減ってもやむを得ないでしょう。大型株では市場の効率性も向上しており、著名とつくほどのアナリストの必要性は低いと思います。混乱期だからこそ、金融業界は過去の高給神話を打破することを考えてほしいものです。

2008年7月26日 (土)

第109話 「運用機関の業績」

7月24、25日のPensions & Investmentsに、いくつかの運用機関の第2四半期の業績が報じられています。勝ち組、負け組とまちまちですが、ポイントとして、運用残高では単純に判断できないということです。投資家は、先行き不透明感から、リスク資産のファンドを解約し、同じ会社の運用するマネーマーケットファンドに移しています。そのため、見た目では、運用資産の減り方がマイルドになっているからです。従って、収益がどうなっているかがポイントです。レッグメイソンは、第1四半期に続いて、大幅な赤字です。日本でもシティの運用会社がレッグメイソンに名前を変えましたからご存じだと思います。これは相当厳しい状態で、リストラも進み、それに伴い運用も悪化すると思います。対照的に、ジャナスは好調です。1年前に比べ、27%増益です。こうした点も見て、運用会社を選ぶべきだと考えます。

2008年7月25日 (金)

第108話 「グローバルETFオープン」

昨日(7月24日)の日経新聞に紹介されていましたが、国際投信投資顧問が「グローバルETFオープン」という新しい投信を9月に設定します(募集は、8月7日から)。これが、バークレーズ・グローバル・インベスターズのisharesというETFのシリーズを活用して、複数資産に分散投資する投信です。株、債券以外にもコモディティなど、isharesとして設定されているETFが投資対象になります。これは、私が、このブログでずっと提唱してきた内容を投信として実現したものです。もちろん、このブログを見ていらっしゃるかどうか知りませんが、非常に好ましい傾向です。ETFは、パッシブ運用であり、運用報酬も低めに設定されています。また、海外ETFは、正直なところ、個人にはまだまだ投資しづらい投資対象なので、こうして機関投資家がファンドとして、投資してくれれば、個人には非常に使いやすいと言えます。現在、市場の変動性は非常に高まっています。反発してきた株式市場も、今日は、グローバルに調整しています(もちろん、上がったり、下がったりが相場なのですが)。そうした中では、ベータリスクの分散によって、変動性を抑え、かつ投資手段としてはコストを抑えるのが必要となるわけです。このグローバルETFオープンの運用の詳細は現時点で分かりませんので、手放しで推奨するわけにはいきませんが、少なくともコンセプトは賛成です。ただし、売れるか?と言われると、あまり売れないような気もします。良いものが、必ずしも売れるわけではないというのは、どんな商品にも言えます。

2008年7月24日 (木)

第107話 「運用会社の買収」

7月23日付けのPensions & Investmentsに運用会社買収に関する2つのニュースと日本生命によるラッセル・インベストメントへの5%出資のニュースが掲載されていました。最初の2件の買収話ですが、一つは、アフィリエイティド・マネジャーズ・グループ(AMG)が、ガネット・ウェルシュ・コトラーという地方債などの債券た小型株に強みのある運用会社とハーディング・ロブナーというグローバル株式に強みのある運用会社の2つのブティックを買収したというニュースです。AMGは、こうしたブティックを傘下に持つ運用会社の持ち株会社です。過去、UAMという会社も運用会社の持ち株会社として成長していました。もう一つは、英国のフォーリン&コロニアルが、REIT・アセット・マネジメントという会社を買収し、自社の不動産運用部門と一緒にしたことです。これも不動産運用部門の強化を狙ったブティック運用会社の買収です。以前にも書きましたが、今後の運用会社成功の鍵は、総合デパートではなく、ブティック的な特徴を得ることです。そういう意味でも、この動きは、そうした考えをサポートしています。一方、日本生命によるラッセル・インベストメントへの5%出資にどのような戦略があるのでしょうか?規模にせよ、出資対象企業にせよ、全く中途半端で、資金の効率的活用とは思えません。相互会社形態だと外部からのチェック機能が働かないので、こうした非効率な資金活用が許されるのでしょうが、これでは単なる金持ちの道楽という80年代後半と同じ言わざるを得ません。

2008年7月23日 (水)

第106話 「ダイナミック・アセット・アロケーション」

7月22日付けのGlobal Pensionsによると、英国の年金基金では、「ダイナミック・アセット・アロケーション・ファンド」が人気となっていると、ベアリング・アセット・マネジメントの情報として伝えています。株式の変動率が高まる一方で、その変動を抑えつつ、リターンを上げたいとのニーズが強く、顧客は、マルチアセット・ポートフォリオに加え、ベアリングの資産配分能力に興味を持っているとベアリングの人は言っています。ここでの「ダイナミック・アセット・アロケーション(DAA)」をどういう意味で使っているかは、今一つはっきりしていません。通常、DAAは、ポートフォリオ・インシュアランス的な手法を指すことが多いと考えます。当該記事も、変動性を抑えて、アップサイドを狙うような意味で記載されているので、そうかもしれません。加えて、マルチアセット・ポートフォリオがポイントと思います。これは、現在、グローバルな傾向です。新しい資産クラスや従来の資産クラスのサブクラスなど、とにかく投資可能な商品対象を広げて、広範なアセットアロケーションを行なおういうものです。ただ、これに更にDAAが機能するのかは、疑問ではありますが、最近のトレンドとは合致したニュースだと思います(ベアリングの資産配分能力までは責任持てませんが)。英国年金は、昔からバランス型ファンドを好む傾向なのですが、一方で、新しい商品、例えば、オルタナティブには慎重姿勢を示してきました。そういうことを考えると、世界市場の変動性が後押しして、運用自体が世界的に変わってきたのではないでしょうか。

2008年7月22日 (火)

第105話 「カリフォルニア州の公的年金の運用成果」

7月21日付けのGlobal Pensionsによると、2つのカリフォルニア州の公的年金が6月末時点での過去1年間の運用実績を発表しました。まず、カルパース、カリフォルニア州職員退職年金基金は、▲2.4%となりました。一方、もう一つのカルスターズ、カリフォルニア州教職員退職年金基金は、▲3.7%となりました。株式市場の下落から、両有名年金も逃げられなかったということです。それでも、カルパースでは、PE、債券および新しく導入したインフレ連動資産がプラスに寄与したとのことです。カルスターズも、5つの資産クラスのうち、3つはプラスだったが、全体ではマイナスになったとのことです。さて、日本の公的年金はどうでしょうか?世界最大の年金ファンドであるGPIF、年金積立金管理運用独立行政法人の6月末の収益率は、まだ、発表されておりません。カルパースと同時期に合わせて、昨年7月から今年6月までのGPIFの運用結果を予想します。最初の3四半期は実績が発表されていますので、最後の1四半期のみ、インデックスデータを用いると、過去1年間で▲7.15%となります。もちろん、これを単純にカルパース等と比較することはできません。ドル安の恩恵を受けた国と円高のマイナスを被った国では異なりますので。しかし、一方で、日本は対ユーロで、円安ですし、GPIFの為替エクスポージャーも22%程度です。ちょっと、悪すぎるような気がしますね。もちろん、このマイナスの大半は、今年の1-3月期に発生したものですが、それにしても、GPIFも債券100%にするか(私は、こちら側の考えですが)、分割して、カルパースのように資産クラスをもっと分散するか(私は、反対ですが)、どちらかが、必要だと思います。繰り返しですが、ちょっとひどいですね。。

2008年7月21日 (月)

第104話 「ヘッジファンドへの資金流入の落ち込み」

7月18日付のPensions & Investmentsは、ヘッジファンド・リサーチの調査によると今年上半期のヘッジファンドへの資金流入額が、290億ドルと昨年同期間の1,180億ドルの流入額の4分の1に減少したと伝えています。また、今年第2四半期の流入額125億ドルは、2005年第4四半期以降での最低となったとも伝えています。しかし、Pensions & Investmentsの調査によると、確かに減ってきてはいるものの、機関投資家によるヘッジファンドに関する採用のための調査活動や実際の採用は、第2四半期に増え始めているとも伝えています。こうした動きは十分に予想されるものです。ヘッジファンドは、基本、絶対リターン追及の商品ですから、パフォーマンスの悪化に伴い、解約は必然とも言えます。78話でも述べましたが、パフォーマンスは引き続き苦労しているようです。全体的な動きを捉えることは難しいですが、参考として、RBC Hedge 250 Indexを見ると、直近で7月のパフォーマンスは、▲1%程度のようです。相変わらず、マクロ戦略やCTAは好調ですが、その他は不調な戦略が多いようです。株式系の戦略は厳しい状況にあります。キャッシュポジションも高まっているようですから、今年は、大幅に改善することは困難でしょう。しかし、ITバブル崩壊以降、ヘッジファンドは、機関投資家の世界で明確な位置づけを確立しました。ヘッジファンド無しにアセットアロケーションを考えることは、まず無いと言っても、過言ではないでしょう。従って、資金流入の落ち込みと同時に解約の増大で、一旦、市場がメタボリックな部分がなくなれば、ヘッジファンドの未来は明るいのではないでしょうか。日本の機関投資家も、来年以降から、徐々にヘッジファンドへの投資を再開ないしは増やしていくものと期待されます。個人の世界にも、ヘッジファンド商品の提供がより検討されるものと予想しました。

2008年7月20日 (日)

第103話 「ベンジャミン・グレアム」

本日付の日経ヴェリタス65面に、井出正介先生が、賢者に学ぶ株式投資として、ベンジャミン・グレアムを紹介しています。バリュー投資の祖であり、ウォーレン・バフェットの師でもあります。その中あで個人投資家向けグレアム5大ルールとして、安全性基準5つと割安基準5つが紹介されています。「安全基準の一つと割安基準の一つを同時満たす銘柄があれば、本当のお買い得」ということで、現状の日本株について当てはめています。その結果、東証1部平均で、益利回り、配当利回りと長期国債利回りの関係で、グレアムの基準を大きく満たすほど、割安だということです。したがって、ROEが平均以上でPERが平均以下の優良大企業を選択すれば、グレアム的バリュー株として長期投資に耐えうるとしています。確かに、そうだと思います。益利回りは、6%近くと非常に割安な水準だと私も思います。しかし、バリュー株の難しいところは、投資タイミングです。今は、もしかしたら、10年に一度、30年に一度、または50年に1度の買場かもしれませんが、バリュー投資の場合、いつフェアーバリューに戻るかが分かりません。「孫の代まで、保有しておこう」というのであれば、今は、買いじゃないかと思います。しかし、10年でも長期と考えている人にとっては、バリュー投資も一種の博打かもしれません。また、バリュー・トラップという言葉があるように、万年割安株というもあります。こうなると我慢比べです。日本株は、インフレに強いと一般的に言われていますが、実際の株式市場を見ると、6月の下げ以降、日本株の下げは、外国株(為替ヘッジなし)を下回っています。割安だからパフォーマンスが良いわけでは必ずしもありません。そこが難しいところです。割安でもホームカレンシー・バイアスを捨てて、日本株を減らし、外国株を増やした方が良いと個人的には思います。

2008年7月19日 (土)

第102話 「プロが弱気?」

7月17日付けのGlobal Pensionsによると、メリルリンチで直近のアンケートで、プロのファンドマネジャーがアセットアロケーション戦略において弱気になっていることが分かりました。リスク資産に対する興味は、3月以降、最低に落ち込み、40%のファンドマネジャーが株式をアンダーウェイトにしているそうです。また、53%のファンドマネジャーが、現金ポジションを高めていると回答しており、これは、メリルがアンケートを取り出してから最高水準とのことです。一方、過去はインフレ懸念が大きな問題でしたがら、25%以上のファンドマネジャーが今後12ヶ月以内にインフレは沈静化するとも意見が変わってきました。しかし、プロのファンドマネジャーがここまで弱気になるのは、過去経験したことがないことが世の中で起こっているのでしょうか?いや、常に、新しいことが起こっていて、歴史が繰り返されることはないのですから、そこまで弱気にならなくても。逆張り指数というものがありますが、これは、極端に振れないとあまり信頼できる指標とはなりません。今回は、極端に振れているのでないでしょうか?現金比率が高いとの話は、ヘッジファンド業界でも聞きます。現金比率が高いのに、これ以上売る人はいるでしょうか?米国での空売り規制も入り、はったりの売りも少なくなります。”相場は上がる”とは、言い切れませんが、”相場は意外と下がらない”ぐらいは、言えると思いますが。

2008年7月18日 (金)

第101話 「勝ち組運用機関の続き」

7月17日付のPensions & Investmentsによると、ブラックロック社が第2四半期の業績を発表し、運用資産が前四半期に比べ+5%、1年前に比べて+16%増加したと伝えています。このブログの第45話でブラックロックを勝ち組と評しましたが、まさしく、その内容を裏付けする業績発表となりました。昨日の記念すべき100話でも述べましたが、債券やエマージングに強いことは、今後の資産運用業務で重要です。あのボロボロのUBSでさえ、最近、野村証券で販売した「UBS ブラジルレアル債ファンド」という投信が1,000億円ほどの資金を集めました。ブラジルの現地通貨建て債券ファンドですので、勝ち組要件を満たしています(残念ながら、UBS グローバルアセットは、総合型運用機関で株式等が不調です。そこが、勝ち組要件に合いません)。もちろん、こうした状態は偏っているとも思わなくないですが、客観的な情勢から判断すると、この状況は当面続くことになりそうです。一方で、パフォーマンス悪化などで、運用資産を減らし、利益も悪化している運用機関も出てきていますので、そうした運用機関は逆スパイラル(収益悪化→リストラやボーナス減少→モチベーション低下→パフォーマンス悪化→運用資産減少→収益悪化)に入ってしまうので、運用機関やファンドの選定には十分に気をつけてください。

2008年7月17日 (木)

第100話 「勝ち組運用機関への道」

記念すべき100話です。4月にスタートして、どこまで続けられるかと思いましたが、100回続きました。アクセス数もぼちぼち増えてきていますが、是非、他の人にもこのブログを広めて下さい。100話めの本日は、金融不安が一時的かもしれませんが、落ち着いて、株式市場も世界的に上昇しました。このまま安定してくれると有り難いのですが。

さて、7月17日のブルンバーグニュースによると、ロンドン株式市場に上場されている運用会社、アシュモア・グループの株価が20%上昇したそうです。アシュモアは、エマージング株式、エマージング債券(ドル建て、現地通貨建て)、PEなどで著名な運用機関で、日本でも日興アセットマネジメントから、「日興・アシュモア・グローイング・マルチストラテジー・ファンド」を出しています。株価上昇の引き金は、過去1年間で19%運用資産が増加したことです。また、同じく上場している債券投資特化型運用機関もブルーベイ・アセットマネジメントも上昇しました。ここも、過去3ヶ月間で運用資産が12%上昇したそうです(ただし、1ヶ月前には株価急落も経験してますが)。ここで勝ち組運用機関の特徴としては、①債券に強み、②エマージング通貨に強み、③総合型ではなく、ブティック型運用機関、という3つがあるようです。世界的に株価が低迷し、かつ会計上の理由や年金受給者の増加で、ますます、こうした特徴を持った運用機関に資金が移動しているように思われます。今後は、こうした運用にはっきりした特徴を持つ運用機関のみが、アクティブ運用で勝ち残っていき、一方、大型の運用機関は、中途半端に自前のアクティブ運用に拘っていると衰退する可能性があります。こうしたブティック型を買収し、自社グループの商品として販売するか、自前の運用を縮小し、販売会社のように、他社運用も含めて顧客に提供するような新たなビジネスモデルに移行できないと、勝ち組から負け組に転落するかもしれません。

2008年7月16日 (水)

第99話 「相対リターンと絶対リターン」

7月15日付のInvestment & Pension Europe(IPE)によると、クレディ・アグリコール傘下で米国バージニアに拠点がある運用会社Emerging Markets Management(EMM)が運用するエマージング株式運用で欧州顧客から大量の解約が出ているそうです。同社の運用は、絶対値ベースでは、二桁を維持しており、2006年は27%、2007年は26.7%を達成しています。しかし、これでも資金流出が発生しているのは、絶対値によるリターンではなく、市場インデックスと比較した相対リターンが原因となっています。EMMの運用結果は、2006年で5.2%、2007年で12.7%、MSCI Emerging Market Indexを下回りました。特に、昨年の12.7%の市場インデックスに対する劣後が印象悪く、解約の引き金となったようです。この市場インデックスに負けた原因に、中国株とインド株にあります。EMMは、両国の株式市場は割高として、市場インデックスに含まれる比率よりも非常に少なくしたために、負けてしまったわけです。しかし、今年は、この両株式市場とも大幅に下落しているので、今年に入って、EMMは、市場インデックスを上回るリターンを達成しています。

この話は、年金などの機関投資家の世界です。機関投資家は、市場インデックス(ベンチマークと呼びます)に勝ったか、負けたかを競うわけですが、最近のように大幅に指数が上下する場合には、このインデックスに勝った負けたの評価が歪む場合があります。従って、市場が静かな時は良いのですが、こういう局面で短期的な成果を見て判断すると、このように一時的に間違った判断を下すリスクがあるわけです。一方、個人は絶対リターン中心ですから、二桁の結果を出していれば、EMMを解約しようとは思わないでしょう。これも片手落ちな議論で、やはり他社の運用成果なども個人でもチェックした方が良いと思います。現在、市場の変動性が非常に高まっていますので、こうした運用機関の評価は、プロ、アマ問わず、慎重である必要があります。しかし、クレディ・アグリコールは、以前もこのブログで書きましたが、運用業界では評判が良くないですね。

2008年7月15日 (火)

第98話 「モーゲージ証券の買いタイミング」

最近、投資タイミングに関連するネタを取り上げるのが多くなっていますが、マーケットが大きく下げているので、仕方ないかもしれません。7月14日付けのGlobal Pensionsによると、ING Real Estateのリサーチ&ストラテジー グローバルヘッドのティム・ベルマン氏のコメントとして、多くの年金基金は、中長期的には、投資タイミングだと考えるモーゲージ・バック・セキュリティー(以下、モーゲージ証券)への投資について、まだ、現時点では避けて、現金比率を高めておくことが好ましいと考えているようです。大幅に下げたモーゲージ証券について、短期的な値下がりリスクがあっても、年金は短期投資ではないので、中長期的に今がチャンスとベルマン氏は言っています。特に、米国、欧州の商業用モーゲージ証券のミス・プライシングは狙い目とも言っています。ピムコの人も、絶対に投資チャンスはあるのだが、それを掴むには、相当なスキルがいるとも語っています。

確かに、証券化商品の価格は、売り手が非常に多いので、叩き売られた価格で買うことができるかもしれません。しかし、以前のように格付け機関の格付けを信用することはできないので、裏にあるローンの内容や物件の内容まで細かく分析できないと、叩き売り価格かどうかの判断も困難でしょう。そういう意味では、プロのスキルが必要かと思います。一方で、今年の初めには、いくつかのプロ達が、こうした証券化商品(ディストレストの証券化商品)に投資するファンドを立ち上げましたが、すでに厳しい状況に追い込まれているファンドもあります。となると、プロ中のプロに委託しないと、このチャンスを捉えられないということになります。そこまでの確率なら、この買いタイミングは、見逃しても良いのかもしれません。

2008年7月14日 (月)

第97話 「ユーロ高の終焉」

7月14日付けブルンバーグ・ニュースによると、世界最大の債券運用機関であるPIMCOのビル・グロス氏(”グロース”と書く方もいらっしゃいますが)は、1999年のユーロ導入以来、初めてユーロに弱気になったと語っています。ブルンバーグ・ニュースに書かれている様々な解説(グロス氏が言っている解説ではありませんが)としては、欧州景気の低迷は、米国以上と予想され、先般利上げしたECBは、利下げに転じざるを得ないだろうとしています。購買力平価で見ても、ユーロは、ドルに対して、30%程度割高であり、25-30%の割高は相場の転換点になっているとのことです。いわゆるビックマック指数(マクドナルドのビックマックの価格比で為替レートを評価したもの)でも、欧州は米国に対して22%割高と出ています。この見通しに対しては、同感です。もちろん、金利格差が広がっているときは、短期的な相場もそちらにひっぱられますが、相場の行き過ぎは、購買力平価に対して大幅に乖離した時に発生します。米国は利上げ説(私は、賛同しませんが)が有力で、欧州が利下げとなると、金利面からユーロを支える材料がなくなります。すると、この割高感が注目されることとなります。皆さんも、個人的な感想として、欧州旅行の割高さを感じていることでしょう。ロンドンの地下鉄の初乗り料金が1000円というのも、メディアでよく取り上げられています。個人のFX取引でもユーロ買いのポジションがまだ多いと思いますので、徐々に減らしていくことも、考え始めた方が良いかもしれません。

2008年7月13日 (日)

第96話 「株式の長期投資は正しいか」

本日の日経ヴェリタス20面に、「株式の長期投資は正しいか」という特集が掲載されていました。さわかみ投信の沢上社長とフィナンシャルプランナーの深田晶恵さんが各々の意見を述べています。当然ですが、沢上社長は、長期投資の肯定派です。安い時に大型株を買って、10年の経てば倍になるという考えです。一方、深田さんは、長期投資といっても、ほったらかしではダメだと言っています。こうした議論が始まるのは当然だと思います。個人投資家の中には、株は長期投資という言葉を信じて、損をしている人が多いのではないでしょうか。そのため、テクニカル分析などの短期取引に憧れを抱く人も多いわけです。長期投資の是非に関する論争について私の意見を言えば、結局は、「相場が大きく上がるタイミングが分からないので、常にポジションを持っていましょう」、ということだと思います。例えば、日経平均株価(配当は無視します)の過去10年(6月末現在)を見ると、15830円から13481円と通算▲14.8%の下落でした。10年持っても、マイナスという結果です。この▲14.8%をプラス月とマイナス月に分けて通算すると、プラスが+216.7%、マイナスが▲231.5%でした。プラス月だけに注目すると、120か月のうち、66か月がプラスとマイナスを月の回数を上回りました。しかし、回数は上回っても、幅は、マイナス月を下回ったわけです。この通算上昇幅の+216.7%の約3分の2が、66か月の上昇月のうち、単月で5%以上上昇した26か月で達成されています。すなわち、この26か月を逃すと更に通算結果が悪化していたことになります。

このように、長期投資神話は、結局、マーケットタイミングは当たらないという神話と同じとも言えるわけです。長期投資否定派の多くは、短期での投資タイミングが当たることをある程度信じている人が多いので、この論争は、絶対に平行線なままなわけです。しかし、長期だろうが、短期だろうが、成長しない国の株式市場で議論をしても空しい結果となります。日本株式は、10年や20年待っても、ダメだったわけで、この市場で長期投資を言われても説得力がありません。一方、新興国であれば、長期でも短期でも魅力があると思います。成長する国に投資する、これが、長期、短期の議論よりも重要な投資の極意と考えます。

2008年7月12日 (土)

第95話 「ファニーメイとフレディマックの影響」

7月11日付のロイターニュースによると、ファニーメイとフレディマックの株価下落により、いkつかの有名な投資ファンドに重大な損失が発生したようだと伝えています。挙げられた会社としては、レッグメイソン、キャピタル、アライアンス・バーンスティン、フィデリティが運用する米国株ファンドです。レッグメイソンとアライアンスの株式は上場されており、金曜日(7月11日)に、それぞれ▲7.9%と▲4.2%、下落しました。こうした下落は、運用会社としての評判を落としますし、また、ファンド時価の下落による運用収入の減少にもつながります。ちなみに、レッグメイソン傘下には、あのグロソブの運用助言を行っている債券運用で有名なWestern Assetがあります。同社もクレジット債券でファンドパフォーマンスが悪化しています。今回の米国発の金融不況は、商業銀行、投資銀行に留まらず、このように資産運用会社にも影響してきています。不況が非常に幅広く金融業界に広がっているようです。また、昨日、別の”マック”という名前の付いた金融機関が破たんしました。インディマックという住宅専門金融機関で、7月11日で破たん処理に入り、預金等は預金保険機構に継承されました。米国で2番目に大きな業務停止された金融機関とのことです。本当に、大統領選挙を前倒ししてでも、早く明確な政策を打ち出さないと大変だな~と思っているのは、私だけでしょうか。

2008年7月11日 (金)

第94話 「ファニーメイ、フレディマックの国有化」

7月11日の日本時間に複数のメディアで報じられたように、米国の住宅金融機関のファニーメイとフレディーマックについて、国有化が検討されているとのことです。両者の株価は暴落していますが、今晩(7月11日)の米国市場でも大きく下げて始まっているようです。また、昨晩(7月10日)には、モーゲージ証券取引の大手であるリーマンについて、PIMCOなどの運用機関がリーマンとの取引を控えるような噂が出て、一時株価が20%程度下落しました。こうした米国金融危機について、国有化、救済合併、特融などの政策が次々と政府から出されるものと考えます。まさしく、こうした事態は、日本で97年~99年にかけて、経験してきたことです。その当時の日本は、住専処理に米国のS&L処理を参考するということをしてきました。しかし、その後の、山一や長銀の破綻からりそな銀行への公的資金投入までの処理は、まさしく未知の世界であり、日本が先例を作ってきたわけです。その間、日本は、マイナス金利を容認し、金融システムの回復に多大なる犠牲を払ってきましたが、その成果として2003年以降の株高の恩恵を受けました。米国は、道半ばとは言えません。ベアーの破綻は、日本での山一や北拓。ファニーメイとフレディーマックが、長銀と日債銀。しかし、米国ではまだそのステージは検討段階です。その当時流行ったバランスシート不況が、米国に蔓延していることから、景気減速は深刻になると言わざるを得ません。売られすぎ指標続出の株価が上昇しないのは、その証拠でしょう。希望としては、ぐずぐずした日本と違い、米国のスピードでしょうか。次期大統領が見えてくる頃には、金融機関処理の方向性を示し、市場が好感することを祈ります。頑張れ、アメリカ。

2008年7月10日 (木)

第93話 「女性の老後資金」

7月10日付けのGlobal Pensionsによると、コンサルティング会社のヒューイットの調べで、米国の女性は、老後に標準的な生活水準を維持するためには、男性よりもより資金を貯めないといけないことが分かりました。ヒューイットの予測では、米国男性がは、退職前の最終給与の123%を必要とするが、女性は、平均で最終給与の130%をすると発表しています。この主な理由は、男性に比べ、寿命が長いこと、給与が低いこと、貯蓄性向が低いことを挙げています。従って、401(K)への拠出を高めるとか、拠出期間を長期化するとか、できるだけ引き出すのを遅らせるなどが、必要と言っています。確かに、日本でも同じような傾向があります。もちろん、米国で最終給与の130%必要というのが高いような気もしますが。この値は、リプレイスメント率というそうで、日本の年金水準の議論でもよく、「勤労所得のX%の所得を保障する」などの表現が使われているのと同じ意味合いです(この時には、100%未満の数字ですが)。米国では、公的年金に対して企業年金や個人年金の比率が高いので、自分で多くを貯めて行いといけないのでしょう。日本でも、女性の老後資金は重要な問題です。相続などで、十分な蓄えがあればいいですが、そうした人は恵まれている一部の人でしょう。投資セミナーなどに参加する人も若年層では、女性の比率が高いような気がします。こうした危機感を感じている表れかもしれません。ブランド品よりも老後資金、そのためにも、正しい金融知識を教える場がもっと必要かもしれません。それは、決して、FXセミナーなどではありませんが。

2008年7月 9日 (水)

第92話 「ジョン・テンプルトンの死」

7月8日付けのPensions & Investmentsによると、著名なファンドマネジャーであるジョン。テンプルトン氏が、95歳でお亡くなりになられたそうです。同氏は、1954年に、John Templeton Growth Fundを設立しました。当時、米国での投資の常識は、ウォール街内での投資、すなわち、自国株(米国株)だけに投資することでした。しかし、同氏は、日本株など、ウォール街を越えて、投資を行ったことから、国際分散投資のパイオニアと呼ばれています。ジョン・テンプルトン氏の主な投資理念は、1、世界中を探す、2、マーケットは常に変化する、3、実利を目指して投資する、4、偏見をもたない、5、すべてを知ることはできない、6、価値ある掘り出し物を見つけ出す、7、悲観で買い楽観で売る、8、大衆の後追いをしない、9、人気株を避ける、10、過去の誤りに学ぶ、です。

なんと、的を得て投資理念でしょうか。もちろん、多くの人が類似をことを言っていますが、その昔に、こうした投資概念を確立していたならば、凄いことです。このブログでも米国で国際分散投資が更に進むだろうことや、米国での空売りが増え、相場反転の可能性が高まっていることを指摘しましたが、この投資理念を思いながら、改めて考えると、現在の市場について、また、違った見え方がしてくるような感じがします。現在に至るまで、金融工学は大きく発展しましたが、ベースとなる投資の基本は、不変だと考えます。

2008年7月 8日 (火)

第91話 「相場反転のタイミング」

7月7日付けのPensions & Investmentsによると、JP モルガン・チェースのチーフ株式ストラテジストのトーマス・リー氏が顧客向けレポートにおいて、米国株式市場で空売り水準が記録的水準にあり、年後半に相場が反発するのではないかと述べています。ニューヨーク証券取引所の空売り額は、176.5億株で、全上場株の4.6%に相当するとのことです。ナスダック市場でも、5日分の全取引に相当する空売りがあるそうです。トーマス氏は、「記録的な空売りは、市場が弱気一色に傾いていることを示しているが、過去、こうしたコンセンサスが正しかったことがあるだろうか」と述べています。確かに、これだけの空売りが存在しているのですから、反転した時の相場の戻りのスピードは相当速く、戻りの幅も相当大きいかもしれません。問題は、そのタイミングです。同氏は、今年後半言っていますが、ちょっと、曖昧で読みきれません。今日の日本株もダラダラと320円下がってしまいました。鶏が先か、卵が先か分かりませんが、こうした世界的な景気減速で原油需要に対する弱気な見方が出て、かつ年末に向けた投機筋の商品相場での利食い売りが重なれば、それが株式市場の反転につながるかもしれません。そうなると、10月後半から11月前半でしょうかね?プロフィールに書いてますが、私は、こうした相場見通しの得意な人間ではありませんので、そのように読んでください。

2008年7月 7日 (月)

第90話 「次の株式投資の主体」

7月7日付けのGlobal Pensionsによると、約半分の英国の年金(確定給付年金)が、過去12ヶ月間、株式から債券に資産配分をシフトしたことが、エーオン・コンサルティングの調べで分かりました。正確には46%の英国年金が債券シフトを強めました。これは、言うまでも無く、信用危機に伴う変動率の上昇を軽減するために、株式比率を落としたわけです。この話は、英国年金のことですが、年金が株式を減らし、債券を増やす傾向は、世界的に高まっています。年金に係る会計制度が厳しくなり、年金での運用の失敗が母体となる企業財務に影響してしまうことも一因です。加えて、世界的な年金受給世代の激増です。今後は、年金ファンドに資金が流入する以上に、年金支払いとして資金が流出する方が多くなっていきます。これは、多かれ少なかれ、世界的に同じような傾向です。日本でも、世界最大の年金であるGPIFでも、ついに資産の取り崩しの時期に入っていきます。そうすると、換金性が高く、価値変動の低い債券へのシフトに更なる拍車がかかります。

一方、個人の世界でも、安全資産への選好が強い状態です。また、ヘッジファンドは、信用危機からレバレッジが大きくかけられない状態で、買い余力としては以前よりも細ってきています。このように、年金、個人、ヘッジファンドともに、株式買い余力が低下してくると、今後の株式投資の主体はどこになるのでしょうか?それがなければ、需給悪化でまた株式は売られるのでしょうが。次の株式投資の主体として期待されるのは、月並みな答えですが、やはり、SWF、政府系ファンドなのでしょう。中東などのオイルマネーの買いは今後も期待されます。他は、う~ん、あまり思いつきません。買う人はあまりいなさそうです。今後の企業のIRは、中東と中国の投資家詣に変貌するかもしれません。

2008年7月 6日 (日)

第89話 週末版 「じぶん銀行」

本日の日経ヴェリタス。日曜日はここからネタ探しをするのですが、正直ぱっとしたものがありません。さすがに世界的な株価下落で記事にも元気がありません。その中で、15面にKDDIと三菱東京UFJが設立した「じぶん銀行」の記事が、社長の写真入りで紹介されていました(あまり大きくない記事ですが)。じぶん銀行は、ネット銀行なのですが、携帯電話(特に、au)でのサービスを意識した新しい銀行です。当面は、円預金と決済、そして近い将来外貨預金などの投資商品に広げていく予定とのことです。携帯銀行ですか、果たして世に受け入れられるビジネスモデルになるのでしょうか、興味があります。しかし、この銀行の収益源は、何なんでしょうね?セブン銀行は、他行からのATM使用に関する手数料が主な収益源になっています。これは、各行がATMの維持、管理のコストを見直すタイミングでしたから、これは当たりでした。ただ、ATMだけとは、自前の実体のあるインフラを持っている点から言えば、セブン銀行は、ネット銀行ではなく、店舗系銀行に近い存在です。一方、ネット銀行、例えば、ジャパンネット銀行、イーバンク、ソニー銀行などはどうでしょうか?特に、ジャパンネット銀行は近い存在のように思えますが、やはり、ネット上での決済、預金、そして、個人向けローンが主業務のようです。ソニー銀行は、外貨預金や住宅ローンまでネット上でできるサービスを展開していますが。じぶん銀行も、au携帯に係るカード事業を受けるみたいですが、なかなか核となる収益源が見当たりません。後発組みとして何を目指すのか興味があります。しかし、個人的には、外貨預金が伸びる余地は低いとは思いますが。ネットでやるぐらいの積極性がある人なら、FX取引に行きませんか?お年寄りに、携帯で、外貨預金やらせられますか?短い記事なので、詳細は分かりませんが、ちょっと、この銀行の戦略に説得力を感じませんでした。

2008年7月 5日 (土)

第88話 「持続的成長投資について」

7月4日付け、Pensions & Investmentsによると、欧州の年金基金では、本来的にあるべき長期投資としてのいわゆる持続的成長投資のニーズに対して、運用機関やコンサルタントがそのニーズに応えられていないと述べています。これは、過去、このブログでも紹介しましたESG、環境、社会的、ガバナンスの3点に注目した投資のことを指しています。企業は、利益追求だけではなく、ESGの要素も重視しないと、持続的な成長を成し遂げることができないという考えに基づいて投資です。本来、こうした投資は、年金のように投資期間が長期に亘る投資家にとって重要な事項です。しかし、このニーズに応えるべき運用機関やコンサルタントが、より短期的なスパンでの企業収益への影響を重視していると批判(?)しています。この批判に、確かに考えさせられる点があります。ちょうど、タイミング的にも、洞爺湖サミットを控え、日本市場でも環境関連で恩恵を受ける銘柄など、取りざたされています。しかし、このトーンは、短期(今後1-3期程度)の収益見通しをベースとしているアナリストコメントをよく目にします。これは、通常の企業調査レポートなら当然のタイムスパンかもしれませんが、ESGとしては短すぎます。そもそも、ESGは収益向上よりも将来成長のブレに関するリスク低減効果により注目されるべきであるのに、株価材料としか見られていないのが、本末転倒であるのです。皆さんも、あまり環境での株価上昇に期待しすぎないで下さい。特に、運用報酬の高い環境ファンドなど買うに値しないと思ってますが。

2008年7月 4日 (金)

第87話 「年金積立金管理運用独立行政法人」

本日は、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)に関係するニュースが3つ出ていました。最も大きなニュースが、昨年度の運用結果です。▲6.4%で実額の赤字額が5兆8400億円でした。非常にショッキングに報道されており、国民の大事な年金で過大なリスクを取ってもらっては困るという町の声が紹介されています。次のニュースが、日本版政府系ファンドです。自民党案では、GPIFの資産から10兆円抜き出して、運用しようというものです。最後のニュースが、GPIFのオフィスの神奈川移転が凍結されたということです。これは、金融機関から神奈川では不便になると要望があり、それが認められたということです。さて、これは3つのニュースで、共通して起こっている議論が、GPIFに民間からの運用のプロを採用し、運用の更なる向上を目指すべきだということです。こんなに赤字が出たのも、プロがいないからだとか、政府系ファンドを作って、プロに運用をさせるだとか、神奈川なんかにオフィスを持っていったら、不便だとか、良い人を採用できないだとかいった具合です。専門性を高めることは非常に重要だと思います。過去、このブログでも海外の公的年金でも専門性の高さを指摘したことがあります。しかし、プロといってもどういう人を採用するのか、どういう組織にしたいのか、そうしたグランドデザインがないと失敗するのが目に見えています。過去、山一證券が破綻した時に、多くの人材が市場に出ました。民間の厚生年金基金などもそのときに山一出身者を採用しましたが、求める人材像と実際がミスマッチで大半が失敗しました。証券に詳しいだけではダメなのです。一体どういう運用をどういう組織体(意思決定プロセスを含め)で行うか、明確にしないと良い人材も機能しません。今で言えば、ベアースターンズから証券化のプロがレイオフされてますが、GPIFが採用すべきと皆さん思いますか?または、デリバティブ・トレーダーのような人を採用してきて、120兆円の資金で、ヘッジファンドのような運用行いますか?いずれの場合も答えはノーだと私は思います。安易なプロ採用論よりも、運用の高度化、専門家のグランドデザインを作ることから議論した方が良いと思います。大事な国民の年金なんですから。

2008年7月 3日 (木)

第86話 「時代遅れの運用機関のスキル」

7月2日付けのGlobal Pensionsによると、KPMGの調査により、運用機関の運用スキルが、増大する市場の複雑化や高度化のスピードに追いついていないことが分かりました。運用機関の20%は、こうした高度な金融商品に関する社内専門家を備えていないと答えています。一方、57%の運用機関は、デリバティブ投資を行っており、また、3分の1の運用機関は複雑な金融商品に投資しているとも答えています。しかし、こうした商品への運用機関の関心は落ちてきており、それは、最近の信用危機によるパフォーマンス悪化が影響しているようです。逆に、こうした事態から、運用機関に対する信用は悪化したと60%の運用機関が答えています。KPMGは、運用機関のこうした高度で複雑な金融商品に対する知識水準が、着いていっていないと説明しています。私もまったく同感です。金融商品が複雑化したり、高度化するのは仕方のないことです。時代の求めとともに発展していくのは当然です。一方、大半の伝統的な運用機関は、銘柄選択などを唯一無比のスキルという感じで、新しいスキルの向上に多くの力を割いてきませんでした。特に、リスク管理のスキルでの遅れは大きいと思います。サブプライムに端を発した信用危機でも伝統的な債券運用機関は、単にベンチマークに含まれない債券を買うことでしか、超過収益を狙うことができない単細胞であったことから、大きな影響を受けました。世の中が変わり、求められる運用機関のスキルの質も、大きく変わろうとしているのでしょう。

2008年7月 2日 (水)

第85話 「弱い通貨が国際分散投資を促進する」

7月1日付けのPensions & Investmentsによると、カリフォルニア州教職員退職年金基金(カルスターズ)は、委員会での承認があれば、230億ドルの資産を米国株(彼らにとっての国内株式)から外国株にシフトするかもしれないと伝えています。これは、従来、国内株を外国株という分け方をしていたのを、グローバル株という1つに変更することで、世界の時価総額ベースに合わせた配分に変わるためです。自国の株を多くするのは、”ホームカレンシー・バイス”と言って、どの国にも見られる現象ですが、これを解消しようという動きも世界中で少しづつ出てきています。しかし、こうした理由の他に、ドル安も影響しているのではないでしょうか。ドル安状態では、海外投資を行った方が、リターンが高まります。これは、かつて英国が経験したものと同じです。国際分散投資の始まりの地と言われる英国ですが、実際は、慢性的なポンド安が国際分散投資を促進したと考えられます。米国年金は、現在の慢性的なドル安の下、今後、ますます海外投資を増やすものと予想されます。これは、43年ぶりに10日連続安となった日本株にとっては、喜ばしい話ですが。

2008年7月 1日 (火)

第84話 「早期リタイアなんて夢物語」

6月30日付けのGlobal Pensionsによると、ワシントンDCでのUrban Institute(都市学会?)でのパネルディスカッションで、米国のベビーブーマー世代は、より長く働き続けなければならないとの意見が論議されました。その原因は、ライフスタイルに対する考え方とか価値観とかいったポリシーが主因ではないとも主張されました。原因の一つとしては、確定給付年金から確定拠出年金(DC)に移ったことも、長くは働き続けなければいけない理由だそうです。米国でも高齢者の雇用は難しいようで、人々は、リタイヤしてボランティア活動などの別のこを行いたいと思っているが、金銭的な不安が高まっていると説明しています。そういえば、先週の土曜日の日経新聞に「1億円で早期リタイアしますか」といった内容の特集記事が出ていましたね。その中で比較されているのが、米国マイクロソフトのビルゲイツの早期リタイヤ。確かに、一般的なイメージでは、アメリカ人は若い時期から早期リタイヤしているような印象があります。しかし、一部の人の除けば、米国でもこういう状況に変わってきているのですね。日本でも、65歳までの雇用延長の動きが出ていますが、実際には難しいようです。以前、某大手自動車メーカーの方と話を聞いたとき、「60歳で定年で、その後60%ぐらいの年収で65歳まで働けるが、工場での勤務になる。本社で事務部門が、1日立ち仕事の工場で勤めることは実際には、難しい」とおっしゃっていました。年金で働く必要がなければ良いのですが、十分でもないし、こうした労働条件の悪化も大変だし、八方ふさがりです。早期リタイヤなんて、現代社会では、ありえないということでしょうか。ちょっと、暗くなりました。

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