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2008年8月

2008年8月31日 (日)

第142話 「5.5%はマジックナンバー」

本日の日経ヴェリタス19面の”材料先読み”のコーナーに「販売不振でもマンション高値」という記事がありました。最近のマンション販売の低迷により、購入者が25%程度の値下げを期待しているというものです。その中で、賃貸よりも購入の方が有利だという分岐点で買いが入るというものだが、不動産経済研究所によると賃貸利回り5.5%で、購入の方が割安と購入者が考えるということです。この5.5%という数字、何か思い出します。そう、日本の年金制度は、長い間、5.5%を予定利回りとして、制度が成り立ってきました。過去、この利回りで、余り問題もなく、年金制度は維持され、問題ともなってきませんでしたが、長期金利が大きく低下したことから、年金崩壊などと言われるようになったわけです。また、これは、私のあくまでも記憶ですが、2003年の日本株式市場の底入れの時点でも、三井系や三菱系のREITの利回りは、5.5%を超えた辺りだったと思います。根拠がはっきりとあるわけではありませんが、5.5%という利回りは、比較的、物事がうまくいくマジックナンバーかもしれません。”72の法則”というものがあります。複利で元本が2倍になる年数を求めるのに、72を利回りで割るというものです。運用報酬や税金などを考慮すると、ネットで5.5%を達成するには、大体グロスで6%必要です。72÷6=12年、すなわち、2倍になるのに12年が必要となります。なんとなく、12年というと、干支のように人間の一単位のようで、綺麗かもしれません。もしかしたら、黄金分割ように理屈を超えた落ち着きどころがあるのかもしれません。ちょっと、今日は、強引な論調になってしまいました。お許しを。

2008年8月30日 (土)

第141話 「マイクロファイナンス」

8月28日付けのGlobal Pensionsによると、オランダの大手年金であるABPが、「マイクロファイナンス」に投資するプライベートエクイティ・ファンド(PE)に75百万ドル、初めて投資することになったとのことです。同プライベートエクイティ・ファンドは、スイスのブルー・オーチャード(Blue Orchard)社によって運用されます。同社は、マイクロファイナンスと資本市場の架け橋となることを会社のミッションとしています。さて、このマイクロファイナンスを皆さんはお聞きになったことはあるでしょうか?バンクラデュッシュのグラミン銀行については、ニュースで聞かれたことがあるかもしれません。マイクロファイナンス(小規模金融) とは、貧しい人々に小口の融資や貯蓄などのサービスを提供し、彼らが零細事業の運営に役立て、自立し、貧困から脱出することを目指す総合的な金融サービスを言います。主に”マイクロクレジット(小口金融)、”マイクロ預貯金”、”マイクロ保険”で構成されます。特に、マイクロクレジットの意義は大きく、こうした国々では、企業による雇用の機会が少ないでの、自営業が主な生計の手段となるわけですが、少しでも資金面での支えがあれば、貧困が脱出できる可能性が高まります。特に、女性の自立や地位の向上に役立っていると言われています。マイクロクレジットについては、貸し倒れが多いとの誤解を与えがちですが、実際の返済率は非常に高いようです。年金基金にとっては、マイクロファイナンス投資は、他の資産との相関がほとんどなく、また、SRI(社会的責任投資)の観点からも、投資対象として注目されつつあります。社会的にも意義が大きく、投資対象としても魅力的なマイクロファイナンス投資への関心は、今後、更に高まると考えられます。

2008年8月28日 (木)

第140話 「高齢化社会での資産運用」

8月27日付けのInvestment & Pension Europe(IPE)によると、欧州委員会は、2060年までに、欧州での80歳以上の人口は、現在の3倍になり、65歳以上の人口は、全体の3分の1になると推計しています。国によっては、ポーランドやスロバキアでは36%を超える比率になるそうです。一方、日本では、最近の推計によると、2055年には、65歳以上の人口は、全体の40%になるそうです。やはり、日本の方が、高齢化のスピードは速いようです。しかし、いづれにせよ、先進国で、40%弱の人が年金受給者になる社会を考えると資産運用業界、ひいては資本市場でも大きな変化が予想されます。すなわち、年金として蓄えられた資金は、引き出されるばかりとなり、債券や短期性資金を中心とした流動性重視のポートフォリオになるのは必定となるでしょう。現在でも、ボラティリティを避けるために、株式を売る傾向が強まりまっていますが、こうした負債側の事情で、株式は更に売られ、債券にシフトしていくことが予想されます。すると、債券金利は、低下傾向が慢性的に起こる可能性があります。現在、インフレが加速しつつある中、金利が低位で安定しているのも、一部、そうした傾向の先取りのような感じがします。一方、株式でのファイナンスが困難になると、企業はローンや債券などデットでの資金調達に頼らなければならなくなります。現在、サブプライムでこうしたマーケットが落ち込んでいますが、一過性のもので、中長期的には、デット市場の拡大余地は大きいを考えます。運用の世界でも、債券やローンなど債権に対する需要は高まり続け、PIMCOやブラックロックなどの債券系運用機関が引き続き勝ち組となるのではないでしょうか。投信も債券中心が世界的な主流(日本では今でもそうですが)となるでしょう。そんな風に私は思いますが、皆さんも時々は長期トレンドも考えると面白いですよ。

2008年8月27日 (水)

第139話 「J-REITの行方」

本日の東証REIT指数は、創建ホームが民事再生法の適用を申請したこともあり、1200を割り込み、最安値となりました。1年ちょっと前は、2000を超えていたことを考えれば、大変な落ち込みです。JREITの平均予想配当利回りも、5.82%に上昇しています。国債長期金利が1.5%を割っているので、その利回り差は、4.3%以上となります。加えて、REITの銘柄間の格差も極端に拡がっており、最低で3.68%、最高で13.18%と9.5%の開きとなっています。ちなみにこの最大利回りのREITは、ニューシティ・レジデンス投資法人で、住宅中心のREITです。本日ある金融機関の方と話した時に、この話題となりましたが、その金融機関の方は、少しづつJ-REITを買い続けているとのことでした。ただ、買い始めた水準で、指数で1500の辺りからなので、なかなか苦労しているとのことでしたが。しかし、REITの資産価値(NAV)に対して、株価は割安で、中長期的には問題ない投資対象だとおしゃっていました。私は、正直言って、別の考えです。この金融機関の方は、おそらく国内金利との利回り差から買えると言っているわけです。しかし、あくまでもこの利回りは、予想でしたかありません。今後、賃料が下がったり、空室率が上がると、この利回りは保証されないのは、誰しも分かっているからです。従って、13%台の利回りぐらいないと、将来リスクを賄えないと市場は言っているわけです。こうした現象は、すなわち割安なのに、ずっと割安なまま放置されてしまうのが、バリュートラップ(割安の罠)というわけです。多くのREIT銘柄は、バリュートラップが当てはまる可能性があるので、優良なREITだけに資金が移り、3%台の優等生ができるわけです。この優等生の利回りが、5%台に落ちるようなことがあれば、それは、バリュートラップではない可能性があるので買いだと思います。しかし、多くのREITは、最悪、このまま(または下がる)可能性が高いのではないでしょうか。少なくとも私は、買いません。特に、私募不動産ファンドの受け皿のようなことをしたファンドは、絶対にノーでしょう。

2008年8月26日 (火)

第138話 「AIGの歴史」

8月25日のニューヨーク株式市場は、241ドルの下げとなりましたが、その一因に保険会社のAIGに対するネガティブなアナリスト予想がありました。しかし、このAIGという会社は非常に興味深い会社です。アメリカン・インターナショナル・グループ、これがAIGの正式名称で、日本でも、アリコやAIGスター生命などのグループ企業を持っています。このAIG、もちろん、アメリカの会社ですが、創業は上海という変り種です。創業者のコーネリアス・バンダー・スター氏は、1919年の27才の時に、上海で小さな損害保険の代理店を開きます。これがAIGの基礎となったわけです。そして、中国から祖国アメリカに逆にビジネスを拡大したのです。そして、AIGを世界企業に成長させたのが、モーリス・グリンバーグ氏です。彼の下、事業の多角化が進みます。しかし、このグリンバーグ氏が、現在のAIGの衰退の原因ともなりました。グリンバーグ氏は、巨大な政治的な力も持ち、また、二人の息子が、保険ブローカーのマーシュ・アンド・マクレナンとエース保険のトップとなったことから、米国保険業界をグリンバーグ一族が牛耳ることとなりました。しかし、数年前に当時のニューヨーク司法長官だったスピッツァー氏(その後、ニューヨーク州知事になったものの、最近、買春で失脚しましたが)が利益相反問題で、グリンバーグ一族の一掃を試み、その後、AIGの業績も冴えなくなりました。株価も、ヤフーファイナンスで見ると、1984年9月の2.7ドルから2000年終わりの約100ドルまで上昇し(約33倍)、そして、直近は、約19ドルまで下落しています。上海から事業を起こし、隆盛を極めたAIGが、5分の1まで株式価値を下げてしまう。アメリカンドリームでもあり、また、力を持ちすぎたことが、会社の衰退を早めたという、非常に、興味深い会社だと思います。

2008年8月25日 (月)

第137話 「金融危機下での中央銀行の役割」

8月25日付けのブルンバーグニュースによると、先週末に開かれた米連邦準備制度理事会(FRB)の年次シンポジウムに参加したバーナンキFRB議長やトリシェ欧州中央銀行(ECB)総裁、元中銀当局者、エコノミストらは、中銀が金融安定性に責任を負うべきかや、米金融大手の懸念をどの程度考慮するべきかをめぐり意見が対立し、結局、金融危機の再発防止策に関しなど、何も結論に至らなかったとのことです。金融パニックを起こさないために何ができるのか、できないのか?規制すべきか、しすぎるべきではないのか?など意見が分かれ、結論が無かったそうです。そもそも中央銀行が金融危機を回避するシステムを作ることが出来るのでしょうか?あのグリーンスパン議長でさえ、現在では、この住宅バブルを作った張本人のような言われ方をしています。中央銀行は、ある問題が生じた後に、薬を与える程度の患者であれば、悪くなる前に治すことができるでしょうが、根本的な金融システムに問題が生じ、外科手術が必要な場合には、延命治療程度で、根治させることはできないと考えます。日本でも、日銀は、金利を下げ、お金をジャブジャブにしただけで、銀行システムを根本的に救うことはできませんでした。小泉内閣が崖っぷちまで追い込むという外科手術を行い、そこまで追い込まれた銀行が、自ら”生きなければ”と自覚して、再生したわけです。米国が、新大統領の下、こうした状況になれば、回復も意外と早いかもしれませんが、ダメなリスクも相当残っています。相場は、ずっと下げ続けることもありませんので、8月相場が終わった後は、少し小休止するかもしれませんが、次の波乱で、本格的な対策が期待されます。各国の中央銀行の人も、それまでに、もっと話し合って、大きな方向性ぐらい合意するようにして下さいね。

2008年8月24日 (日)

第136話 「国際分散ファンド」

本日の日経ヴェリタス58面の投信コーナーで、国際分散ファンドの運用成績が掲載されています。一言で国際分散ファンドと言っても、資産配分が各々異なることから、過去1年間の運用成績も大きく異なる内容となっています。例えば、掲載ランキングの中で最も下落率が低かった投信は、「ピクテ・インカム・コレクションF」というファンドで、▲5.7%でした。一方、最も下落率が大きかったファンドは、大和投信の「6資産バランスファンド(成長型)で、▲19.3%でした。この2つのファンドの差、実に▲13.6%です。この差の要因は、記事に掲載されていますが、内外株式比率の違いやREITへの組み入れ比率の違いです。ピクテのファンドは、基本配分で50%内外債券に配分することになっていますが、大和のファンドは、僅か10%です。株式やREITの比率が90%程度になってしまったために、この差が生じたわけです。過去1年間で、国内株式で▲22.3%、外国株式で▲18.2%(各々配当込み指数より)、国内債券+2.8%、外国債券+3.6%という結果でしたが、まさしく、大和のファンドは、内外株式ファンドとほぼ同様のパフォーマンスだったわけです。ここまでの違いを、本当に個人投資家の皆さんは事前に説明を受けていたのでしょうか?まず、よくある”財産三分法”の進め方に問題はなかったでしょうか?財産三分法は、株式、債券、不動産に分散投資しましょうというもので、昔から言われていることです。しかし、この不動産として、上場REITを使用すると、そのリスク水準は株式とあまり変わりがありません。すなわち、三分法といいながら、債券三分の一、株式三分の二とほぼ同じになってしまうわけです。これでは、個人投資家に誤解を生じさせてしまう説明といっても過言ではありません。加えて、”バランス”という響きです。バランスしていると何かしら安心できる、リスクが小さいという印象を与えますが、実際の中身が分散されていないということをカムフラージュしてしまいます。もちろん、バランスといっても”成長”という表現で株式比率が高いことを表現しているので、理解して投資しているはずとの反論もあるでしょうが、実際に個人投資家がそこまで投信の内容を理解し、自分で判断できたかは、疑問が残ります。非常にシンプルな計算ですが、過去1年間で、内外株式、債券(現金なし)のポートフォリオを組んで、0%以上を達成するために最大で組み入れられる株式比率は17%で、それも外国株式のみ(残り83%は円債)でした。現存するバランスファンドにここまで株式比率を抑えたものは無いかもしれません。分散の対象となる資産が少ない商品性のバランスファンドの場合、それはREITのように株式に非常に似た資産を含めてですが、私は、債券比率を非常に高めた商品が妥当だと思っています。但し。リターンは、そこそこですが。一方、リターン追求も狙うバランスファンドは、以前も述べたように、投資対象資産を非常に大きく広げ、マルチアセット・バランスファンドとすべきと考えます。実質三分の二の資産で株式リスクを取るバランスファンドを、”バランス”と呼ぶことに、私は、強い抵抗があります。

2008年8月23日 (土)

第135話 「運用業界、不況下での人材移籍」

8月22日付けのPensions & Investmentsによると、ドイチェアセットマネジメントのグループ企業であるDWS Internationalから外国株式チームのポートフォリオマネジャーとアナリストのチームが、Victory Capital Managementに移籍したそうです。DWS Internationalは、投信の運用会社で、日本でドイチェアセットが設定している投信の多くも、DWS Internationalが運用指図しているファンドが多いはずです。そこの、外国株式チームが抜けてしまったのですから、DWSにとっては、痛手ではあります。しかし、私も、このブログで運用機関のリストラ話を取り上げてきましたが、一方で、こうした人材の移籍が活発化しています。今回のDWSのケースは、理由が発表されていませんが、一般論として考えられるのは、不況だからこそ、辞めやすいという点です。優秀なファンドマネジャーは、ある会社が好調の時は、当然、そこで優遇されているので、辞めようというインセンティブが湧きません。しかし、不況になると、会社の業績に応じるボーナスが下がり、外に可能性を求め始めます。また、優秀な人材を求めていたライバル会社には非常な好機到来となるわけです。次に、あまり表に出ませんが、世界的に運用機関のトップを探す”エグゼクティブ・サーチ”が非常に盛んだと最近知り合いから聞きました。すなわち、会社としてリストラを実施したが、同時に、会社全体の雰囲気を変えるため、例えば、CIOを代えるとか、COOを代えるとかの案件が増えているそうです。その水準まであとちょっとの人にとっては、大きなチャンスで、どこか別の会社でCIOをやれるかもしれないと、結構、業界(特に外人さんですけど)では話題になっています。”ピンチはチャンス”、まさしく、そんな状況でしょうか。運用業界での人の動きでは、Investment & Pensions Europe (IPE)に、毎週水曜日に記事が出ているので、参考にしています(欧州が中心のようですが)。

2008年8月21日 (木)

第134話 「稀少金属取引で儲けるトレーダー」

8月20日付けのブルンバーグ・ニュースによると、英国に住むアンソニー・リップマン氏(51)は10年以上にわたって、インジウムやジスプロシウム、ストロンチウムなどの希少金属を取引する日々を送っているそうです。レニウムは、ジェットエンジンの燃費向上のために利用され、航空業界が石油コストの抑制を目指すなか、レニウム価格は過去3年間でほぼ8倍に高騰し、リップマン氏が経営するリップマン・ウォルトンの利益は3倍に拡大したそうです。2005年6月時点で1キロ当たり1,478ドルだったレニウム価格は、今年7月末時点で、11,100ドルまで上昇しているそうです(ちなみに、本日は、12,100ドルまで上昇しています)。このレニウムの90%以上はチリ、カザフスタン、米国で生産され、採掘には特別な装置が必要だそうで、同氏は、これらの装置の設置台数が増えない限り、レニウム価格が下落する可能性は低いとみています。う~ん、コモディティ投資も、こうしたマイナー金属にまで拡がっているとは知りませんでした。しかし、このレニウムのチャートは凄いです。一気に上昇しています。是非、ご興味がある方は、研究してみて下さい。詳しくは、マイナーメタルズドットコムを参照して下さい。もう、ここに行くしかないのか、運用は!http://www.minormetals.com/

2008年8月20日 (水)

第133話 「リーマンブラザーズは破綻するのか?」

8月19日付けのPensions & Investmentsによると、リーマンブラザースの株価が8月19日の市場において、約13%下落し、過去2日間で、22億ドル(2200億円)もの時価総額を失ったと報じています。直接の原因としては、アナリストによる証券化商品がらみで更に40億ドルの償却の可能性が伝えられたからです。また、リーマンは、保有する運用会社の株式もプライベートエクイティに売却するだろうとも予想されています。この結果、株価は13ドルまで下落しました。この先、一体、リーマンは破綻の道を辿るのでしょうか?やはり、それは、株価を見るのではなく、クレジット市場を見るのでしょう。直近の金融危機が、3月20日前後のベアースターズの破綻です。この時、クレジット市場は、スプレッドが大きく拡大しました。その後、回復基調にありましたが、その後、再び拡大を始め、現状は、3月危機と同水準かそれよりも悪化した水準にあります。特に、モーゲージ証券やアセットバック証券のスプレッドは、3月危機を上回る水準まで広がっており、言い換えれば、価格が下落しています。従って、リーマンが仮に報道にように、引き続き大きなモーゲージ証券のポジションを保有していれば、7-9月で一段の償却は不可避と想像されます。また、リーマンに限らず、この影響は大きく金融機関に広がっていると考えられます。従って、このままリーマンが生き残れる可能性はほぼ困難なのではないでしょうか?救済合併の話が水面下で行われているような予感がします。しかし、最近のクレジット市場の下げを見るたびに、ぞっとするのは、私だけでしょうか。

2008年8月19日 (火)

第132話 「マネーサプライが示す米国の将来」

8月19日付けの英国テレグラフ紙は、7月の米国マネーサプライのM3が過去最も縮小したと伝えています。金額ベースでは、7月単月で500億ドル(5兆円)の減少で、これは記録を取り出した1959年以降最悪の数字だそうです。過去3ヶ月ベースでも、年率2.1%の伸びとインフレ率よりも低く、実質ベースでマイナスの伸びとなっています。銀行貸出が減ってきているのが如実に見えてきます。いわゆる”マネタリスト”と呼ばれる経済学派は、M3は、資産価格動向の先行指数と言っているようです。大体6ヶ月先ぐらいと言っており、秋以降の株価た不動産価格が崩落すると主張しています。また、経験的には、1年後の経済成長と2年後のインフレ動向の先行指標でもあると主張しています。もちろん、完全に鵜呑みにすることもできません。どちらかというとM2を世間はよく見ており、M3は振れやすいという指摘もあります。しかし、クレジットクランチは、十分に日本でも経験しています。マネーサプライが全く増えないので、金利をゼロにまで下げ、量的緩和までしたわけです。昨夜、ファニーメイとフレディーマックへの公的資金投入と株価ゼロの予想から株価は急落しました。しかし、以前にも書きましたが、日本でもこれは長銀と日債銀で経験済みのことです。だから、驚くべきことでもありませんし、次に取られるFRBの政策も、日本の経験に照らして考えるべきです。そして、米国長期債利回りは、経験したことのない未知の領域にまで低下すると考える方が自然ではないでしょうか。

2008年8月18日 (月)

第131話 「フィデリティ 世界小型株投信」

8月17日付けの日経ヴェリタスからもう一つ注目したのが、66面の新投信紹介コラム”クリップ”です。今回は、8月14日設定のフィデリティ世界小型株投信が紹介されています。ひねりはありません、読んだままの商品です。私は、個人的には、面白い分野を狙ってきたなと、関心しましたが、正直言って、売れてません。野村證券が販売会社ですので、期待も大きかったと思いますが、当初設定額が56億円程度でした。フィデリティとしては、肩透かしもよいところです。野村證券でも、現在の市場状況では、株式商品を売るのは難しい時期ですし、ブラジルとか特色のあるものの方が注目されます。業界関係者に聞いた話では、フィデリティ日本法人の外人社長は、設定日直前まで、毎日、売り上げが伸びていないことを、なんとかしろと、販売会社に怒鳴り込んでいたとの噂です。結局、フィデリティという、運用のプロを自称する会社も、投信は、商品内容よりも、結局は販売会社が売るかどうかだと思っていると証明してしまっています。なんとも情けない話ですが、これが現実です。日本では、なかなか貯蓄から投資に資金が移らないと言われています。麻生幹事長も、新たな証券優遇税制によって活性化させようとしています。しかし、実は、個人がリスクを取ろうにも、まだまだ、この業界が、胡散臭いと思わせている面があるのではないしょうか?いくつかの証券不祥事を乗り越え、また、ネット証券の台頭で個人の証券市場に対する信頼は相当改善したと思いますが、資産運用をもっと身近にするため、いかに業界が、過度な拝金主義から脱却できるかが問題です。そのためには、こういう日本で短期間に売り上げをあげることだけの使命を持った外資系運用機関を排除することも重要かもしれません。”金融攘夷”とでも名づけましょうか。

2008年8月17日 (日)

第130話 「運用メジャーの底力?」

本日の日経ヴェリタスの特集に「運用メジャーの底力」が掲載されおり、フィデリティ、シュローダーなどの頑張りが紹介されています。こういう時代こそ、メジャー運用機関が国民に財産を成長させることができるというメッセージかどうか分かりませんが、非常にこれら運用機関に好意的な印象を与える記事だと感じました。一方、ここが変だよ日本の投信という記事では、日本の投信信託報酬が平均1.37%と高位に推移していることを問題にしています運用メジャーにとって高い信託報酬は大きな組織を維持するために欠かせないものなのです。本当に国民の財産殖やすために望まれている、または必要とする組織なのか、考える必要がある時期に来たと思いますが。

2008年8月16日 (土)

第129話 「本格化する運用機関のリストラ」

8月16日付けのPensions & Investmentsによると、シカゴを拠点とするAriel Investmentというバリュー株式運用会社が全体20%に相当する18名をリストラしたとのことです。この中には、2名のリサーチャーが含まれているようです。このブログでも運用会社のリストラについては取り上げてきましたが、どうも本格化してきたようです。特に外資系運用機関は12月決算が多く、秋ぐらいから来年の予算作成が開始されます。すなわち、現在の状況から来年を判断するので、相当に保守的なものになる可能性があります。人員的に現状維持なら相当強気で、おそらく多くが減員となると思われます。そうなると、危ういのは、日本拠点です。大手はともかくとしても、中途半端な規模の場合、撤退リスクもあります。年末に向けて目が離せません。

2008年8月15日 (金)

第128話 「税金を払わない銀行」

8月15日付けのブルンバーグニュースによると、メリルリンチがサブプライム関連で、英子会社を通じ290億ドル(約3兆1900億円)の損失を計上したため、英国では向こう60年にもわたって、法人税の支払いを回避できる見通しとのことです。米ニューヨーク市のブルームバーグ市長も、同市やニューヨーク州が向こう数年、一部金融機関からの納税をほとんど見込めないとの認識を示しているとも伝えています。う~ん、これも日本で随分問題なった話です。日本でも不良債権処理で赤字続きだったために、長く税金を払いませんでした。その結果、石原都知事が怒り出して、外形標準課税を銀行に課すと言い出して、裁判にまでなりましたね。ここまで、怒り出す人が海外にいるかどうかは分かりませんが、どうも、金融機関は豊満経営をして不良資産を作り、その処理の結果、経済を悪くし、税金も払わないという、ひどい存在にも見えてきます。しかし、経済の潤滑油として必要であるし、やっかいな存在です。だからこそ、その経営者には高いモラルを求められるので、本当に株主資本主義だけで、金融機関のトップを決めてよいのだろから、疑問に思います。別に国会承認が必要とまで言いませんが、トップの経営方針、哲学など当局は十分にガイドラインを出すべきと思いますが。写真誌にスキャンダル写真を取られるような人も論外ですが。

2008年8月14日 (木)

第127話 「クレジット・クランチの恐怖」

8月13日付けのPensions & Investmentsによると、同日付のメリルリンチのレポートが、投資家は今回の世界的な金融危機をまだまだ過小評価していると警告していています。金融危機は、広範で、深く、そしてグローバルであり、すぐに終わるそうもないと、メリルのチーフ・インベストメント・ストラテジストのリチャード・バーンスティン氏が述べています。モーゲージ関連の償却は、世界で5000億ドル(50兆円)に到達しそうだとも伝えています。う~ん、メリルのストラテジストが言っているので、自社の状況から言っているのか、単に非常に弱気になっているのかと、うがった見方をしてしまいますが、確かに、このブログでも述べているのように、金融危機がそう簡単に終わることはないでしょう。逆に、悪化すると考えるのが妥当です。日本での経験では、これによって、非常に無慈悲な貸し剥し、すなわち、クレジット・クランチの動きが伴います。実際、昨日のアーバン・コーポレーションの民事再生法申請も、その一つの動きです。グローバルに、クレジットクランチが進み、世界的なリセッションに、これが、最悪のシナリオです。これを避けるためにも、世界的な協調利下げが必要だと思っているのは、私だけでしょうか?最近、ブログで弱気のことを書くことが多くなっているので、そろそろ明るいことが書きたい心境です。しかし、その状況がきません。

2008年8月13日 (水)

第126話 「株式相場に対する不安」

8月12日付けのPensions & Investmentsによると、カルパース、カリフォルニア州職員退職年金基金は、プライベートエクイティに10%の配分をするという目標に対して、このまま上場株式市場が回復しない場合、このプライベートエクイティの配分目標を引き下げる提案をすることを検討しているようです。もちろん、プライベートエクティに弱気というよりも、上場株式との相対的な比率が、上場株式が値下がりすると、どんどん上がってしまうこともこのコメントの理由となっています。しかし、プライベートエクティも上場株式と全く違う動きをするような、特別な資産ではありません。やはり、全体的に株式市場が下がれば、マイナスに影響を受けます。事実、ITバブルの崩壊した2000年に立ち上がったプライベートエクイティのパフォーマンスは良くありません。従って、株式市場に対する不安感が高まる中、長期投資とは言っても、全体的なアセットアロケーションを見直す機運が高まってもおかしくありません。しかし、株式市場は非常に不安的です。数日良いニュースが続いても、すぐに金融関係の悪いニュースがでます。特に、今は、四半期毎に決算が発表されるので、安堵の期間が3ヶ月もちません。私がブログに書いたことが外れて、8月は意外と安定しそうかなと期待していましたが、どうも、今週から雲行きがおかしくなってきて、8月相場は不安感が立ち込めています。

2008年8月12日 (火)

第125話 「UBS続報」

8月12日付けのブルンバーグニュースで、UBSの第2四半期決算が本日発表されたことを伝えています。昨日のブログで書いたように、やはり富裕層ビジネスでも投資銀行業務での評判の悪化を受け、資金流出となったようです。その結果、投資銀行部門と富裕層資産管理部門を分離することが正式に発表されました。一部アナリストは、今回の決定により、UBSが投資銀行業務を閉鎖する可能性が高まったと伝えています。最近は、株価やドルの回復で一時的な安堵の状態にありますが、こうしたニュースを見るたびに、まだまだ、バランスシート調整には時間がかかるなと思います。日本の金融危機と比較して考えることは、誰しも行っていますが、あまり物事を短縮版で考えすぎないことが重要です。今回は、メガトン級のショックが襲ったのですから、そう簡単に回復しません。一部で良い兆しも見えますが、当面、まだら模様でしょう。日本で起きたように。しかし、日本のUBS証券もこれから大変ですね。

2008年8月11日 (月)

第124話 「UBS 崩壊の序曲」

8月11日付けのブルンバーグニュースによると、UBSのプライベートバンキングにおいて過去8年間で初めて、預かり資産が減少しそうな状況だそうです。最近のARSの補填問題や、昨年からのサブプライム問題が影響しているようです。しかし、中期的に非常に問題があるニュースだと思います。UBSは、かつてウォーバーグを買収しましたが、結局、投資銀行業務が現在の問題を生んだと思っています。できれば、スイスの銀行の得意分野であるプライベートバンキング部門に注力し、復活したいと考えていたところです。その矢先に、プライベートバンキング業務で衰退の気配が見えると、今度は、柱がなくなってしまいます。柱がない企業には、厳しい将来しか待っていません。このブログでは、過去UBSの問題点を取り上げてきましたが、ついに、相当困難なところに来たのかもしれません。

2008年8月10日 (日)

第123話 「北京オリンピックと中国株」

本日の日経ヴェリタス53面に、「上海総合指数1年7ヶ月ぶり安値 北京五輪開幕 関連銘柄総崩れ」という記事が掲載されていました。8日上海総合指数は、▲4.5%の下落とオリンピック開幕のお祭りムードどころではありませんでした。こういう状況を見るたびに、昨年(2007年)前半に機関投資家(銀行や生損保)の投資担当者と話した時に聞いたことを思い出します。「中国株のポジションは高めたい。北京オリンピックまでは相場は強いだろう」とほとんどの人が言ってました。この人達は、世間的には、きっと投資のプロの部類に入る人達です。まあ、結果論ですが、見事なはずれです。加えて、相場感として北京オリンピックを挙げているのも合理的ではありません。”あ~、所詮はこんな程度か”というのが私の感想です。個人のお金も機関投資家のお金も、行き場がなくなり、極端な”美人探し相場”になり、そして1人美人が見つかると、”全員で求愛相場”なっています。BRICs、コモディティ、そして直近ではエマージング現地通貨建て債券と極端な動きです。海外では、"Insti-Retailaization"という造語が出始めています。機関投資家ビジネスと個人投資家ビジネスが同質化してきているという意味です。もうそろそろ、こうした動きも見直されるのはないでしょうか?BRICs相場の転機が、それを示唆しているようです。ただ、個人的には、北京オリンピック後に、中国株に投資したいなと思っていますが。

2008年8月 9日 (土)

第122話 「アクティブ運用での超過収益」

8月6日付けのPensions & Investmentsによると、マサチューセッツ州退職年金基金が、米国株式アクティブ運用機関5社を解約しました。この5社は、レッグメイソン(大型バリュー)、ガードナー・ルイス(大型グロース)、NWQ(大型バリュー)、マザマ・キャピタル(小型成長)、そしてアリエル・キャピタル(小型バリュー)です。実は、同基金のコンサルタントは、超過激で、雇っている11社のアクティブ運用機関を全部解約すべきと推奨したそうですが、さすがに、6社(ピムコ、AXAローゼンバーグ、アーネスト、インテック、ニューメリック、パトナム)は残したそうですが。しかし、株式アクティブ運用機関は、非常に苦労しています。アクティブ運用機関は、決められたベンチマーク(すなわち、市場指数)のリターンを上回る”超過収益”を達成し、それに見合う運用報酬を得るのですが、十分な超過収益を達成できていないのです。もちろん、歴史的に、超過収益というのは本当に達成できるものなのかの議論は多くありました。委託者である年金基金側でも、アクティブ運用機関の採用方法では色々と工夫を重ねてきた歴史があります。まず、最初は、コアと呼ばれるアクティブ運用機関を雇うことから始めました。リスクも中ぐらいの非常にオーソドックスな運用機関です。このタイプは、100銘柄前後に投資し、市場指数に応じて大型株中心の運用でした。しかし、その後、こうした運用機関が超過収益を達成できにくくなると、インデックス運用と”サテライト”と呼ばれる集中投資型のハイリスク運用の組み合わせに移っていきました。このマサチューセッツ州が解約した運用機関もこのサテライトに入ります。しかし、それでも、昨今、超過収益が達成できないことから、今回、マサチューセッツ州は、株式インデックス運用にヘッジファンドタイプを組み合わせる、いわゆる”ポータブル・アルファ”戦略に切り替え、こうした大胆なな解約に踏み切ったわけです。これは、もう、伝統的な株式運用マネジャーでは、市場指数に勝てないと言っているに等しい結論です。市場の効率化や運用資金の増大で、人よりも早く正しい判断を下すことが困難になる中、こうしたことも必要な手段となっているのでしょう。日本の投信の世界でも、同様な方法を試すものが近々登場するかもしれません。

2008年8月 8日 (金)

第121話 「米国商業用不動産は買い時か?」

8月7日付けのGlobal Pensionsによると、約108億ドル(1兆1千億円)の資産を持つアイダホ州公務員退職年金が、カリフォルニア・ビジネス・パークというオフィスビル郡を4千万ドル(40億円)を買収したそうです。カリフォルニアといえば、今回のサブプライムで不動産価格が大きく下落した地域の一つです。そこで、こうした比較的まとまった取引が成立したということは注目すべきことかもしれません。サブプライム問題で、住宅価格が低迷していますが、商業用不動産には、バリューが生まれてきたかもしれません。もちろん、相当、選別された物件だけでしょうが、あまりベアになりすぎると、後悔してしまう時期が近づいている可能性があります。こうなると、借入ではなく、お金を持っている人が強いので、一般投資家も海外の年金ファンドの動きには、注目していて下さい。このニュース、変化点かもしれません。

2008年8月 7日 (木)

第120話 「企業年金連合会(2)」

Nikkei Net マネー&マーケットというHPに「経済羅針盤」という連載があります。以前、このブログ、第55話で、企業年金連合会の矢野専務理事の書かれた経済羅針盤を取り上げました。7月28日付けの経済羅針盤で、この矢野専務理事の最後の経済羅針盤が掲載されており、同専務理事は、7月末で企業年金連合会を退任されたことも本人が述べています。第55話では、同氏が年金局長まで務めた高級官僚です。その天下りの方が、企業のガバナンスに苦言を呈し、一方で、自分の所属する企業年金連合会のディスクロジャーは不十分のまま放置しているのはおかしいと指摘しました。結局、内部的にも、そうした不満は渦巻いていて、今回の退任になったのではないでしょうか。実際、企業年金連合会では、矢野専務理事が勝手きままに活動され(元高級官僚なので、誰も文句が言えません)、その下の、常務理事などに、権限を下ろすことを拒んできたと関係者から聞いたことがあります。まさしく、小さな天皇のような存在だったそうです。そういう意味では、同連合会に残っている人達は、今、非常に喜んでいるのではないでしょうか。しかし、日本の官僚制度は、こうした異常な組織を作りたがるのでしょうか。まったく不思議です。わざわざ、非効率を求めているかのようです。加えて、隠蔽主義。企業年金連合会の年金不払い問題は、実は、業界では周知の事実でした。逆に、同連合会は、申請主義の年金で、申請してこない人(女性に多いのですが)がいることで、年金財政の一種の隠し財産になっていることを歓迎していたとの噂も聞きます。民間は馬鹿。これが、全ての思考の始まりなのでしょう。官僚支配の日本に、未来は無いと言う人がいますが、同調したくなります。

2008年8月 6日 (水)

第119話 「運用は、予想。それは、否定してはいけない」

8月5日付けのGlobal Pensionsによると、ニューヨーク州の退職年金基金の6月末での昨年度運用利回りがプラス2.56%だったそうです。これは、105話で取り上げたカリフォルニア州年金のマイナスと比べると非常に優秀な結果と言えるでしょう。PEで25%近いリターンを得るなど、オルタナティブでの運用結果が良かったことがプラスに働いたようです。こうして見ると、今まで、このブログで取り上げてきた勝利の方程式が見えてきます。まとめると、

1、最も重要なのは、ベータ・リスク。すなわち、どの資産クラスに投資しているかどうか。出来る限り、今後、勝ち組になりそうな資産を持っていないと、いくらバランス型運用でも儲からない。

2、アセットアローケーション。この決定に全精力を注ぐべし。アセットアロケーションさえ決まれば、後は、インデックス運用(パッシブ運用)で十分。タクティカルな運用戦略も一考。

こうしたことが、どこまで、優良なアドバイスを受けながら、実行できるかが問題です。少なくとも、今、本屋さんに並んでいる資産運用本を書いている人に、こうしたことがきちんとできる人は、いません。それが、残念です。

2008年8月 5日 (火)

第118話 「ご当地ファンド」

8月4日付けのGlobal Pensionsによると、米国ミシガン州の知事が、ミシガン州年金基金でミシガン州を拠点とする企業に投資することを計画していると伝えています。これによって、成功している中小企業を育てたり、誘致したり、残ってもらうことで、雇用の拡大などを図ろうというものです。また、それがめぐりめぐって、年金基金も増えるという計算です。この話、日本で、一時流行った”ご当地ファンド”に似た発想です。もちろん、主目的は全然違いますが、地元の企業に投資すると言う点では似ています。日本のご当地ファンドは、トヨタ系企業に投資する東海地方から始まったと記憶しています。これが、結構人気となって、各地方に広まっていきました。しかし、投資銘柄数が少なく、業種も偏ってしまうということで、運用上の問題を指摘する声も多くあります。加えて、例えば、トヨタ系ファンドで、東海大地震などの災害が起きたときは、どうするのでしょうか?このミシガンでも同じこと。災害や地域経済に地域の人が年金運用と雇用という二重のリスクにさらされるわけで、本当に良いのであろうかと思います。ちょっと、違いますが、従業員持ち株会なども雇用と運用のリスクを二重にしている仕組みです。分散とは、リスクの所在、原因を分けることのなので、これでは、卵を一つのかごに入れるの同じです。ミシガン州も、地域活性化に年金を使うことはないと思いますが。

2008年8月 4日 (月)

第117話 「8月の株式市場の行方」

8月4日付けのブルンバーグ・ニュースで2つの欧州系金融機関の4-6月期の収益が報告されています。一つは、ベルギーのフォルティス。純利益は、49%の下落です。もう一つは、HSBC。純利益は、29%の下落です。両行とも、証券化商品や不良債権に対する引き当てです。ここにきて、世界同時不況の兆しが出てきました。米国発が、欧州に飛び火し、アジアも非常に危ない状況にあります。また、先進国での需要低下で、原油価格も上昇トレンドが怪しくなってきました。もちろん、ブラジルなど一部で頑張っている市場もありますが、世界の大半が厳しい状況になれば、南米だけで支えることは不可能です。しかし、ファニーメイやフレディマックの救済方針で、少し持ち直すかとも期待しましたが、意外と早く、その神通力は消えてしまいました。このままでは、8月の株式市場は、相当、厳しい状況になるかもしれません。ちょうど、1年前に、BNPパリバは傘下のヘッジファンドの解約停止を決めて、大混乱に陥りましたが、歴史は繰り返すで、今年の8月も厳しいかもしれません。逆に、それによって、世界同時不況がコンセンサスとなり、悪材料出尽くしになれば、以前、私が予想した10月~11月の相場反転の可能性も出てきます。いづれにせよ、今年の8月、オリンピックを見るよりも、市場を見るべき時かもしれません。

2008年8月 3日 (日)

第116話 「金持ち父さん」

ヤフー・ファイナンスのコラムに、「ロバート・キヨサキ 金持ちがますます金持ちになる理由」というコラムを連載しているのをご存じでしょうか?その最新58話に「金持ちになりたいなら本当に金持ちになれるアドバイスをさがせ」が掲載されています。ご存じのとおり、ロバート・キヨサキ氏は、かの有名な「金持ち父さん、貧乏父さん」の著者であります。彼は、このコラムの中で有名ファイナンシャルアドバイザーが安定した仕事に就けだとか、投資信託で分散投資をしろとか言っているが、それでは金持ちにはなれないと言っています。特に、分散投資については痛烈に批判しており、。「分散投資は、競馬のレースですべての馬に賭けるようなものだ。大穴中の大穴といわれた馬が勝ちでもしないかぎり、きみに勝ち目はない」との金持ち父さんの言葉を紹介し、長期分散投資というアドバイスに従っている人は貧乏になっていくと言ってます。確かに、目的として”金持ちなりたい”のであれば、分散投資では難しい可能性は高いでしょう。基本的に分散投資は、リスク低減が目的ですから、最初から目的が違うものを比較しているとも言えますが。世の中に、多くのハウ・ツー本が出ていますが、お金に関しては、長期分散投資の教科書型と、デイトレード、FXのような一攫千金型の二種類に別れています。いずれにせよ、空売りで儲かる場合の除いて、長期分散投資でも、結局は、長期的に市場は右肩上がりでないと儲けられません。それまで、例えば、内外株式、内外債券の典型的な4資産に分散投資したポートフォリオで、この内外債券が下げ続けたら、残りの内外債券の値上がりで、全体をプラスに浮上させる可能性は非常に低いと言わざるを得ません。過去は、日本株が長期低迷しても、円ベースでの外国株式の運用結果が良かったので、分散投資もカッコがついたのです。しかし、今後はとうなるか分かりません。従って、分散投資派も、勝ち組資産を組み入れられるように努力しないと、結局、貧乏になるかもしれないのです。こういうことを書いてくれる本は、本当に少ないです。。

2008年8月 2日 (土)

第115話 「年金基金に対するコモディティ投資規制」

8月1日付けのPensions & Investmentsによると、米国において、ロンワイデン上院議員らが準備している立法草案によって、年金基金等の非課税法人に対しエネルギー関連投資に所得税を課すことが検討されていると報じています。対象としては、原油、天然ガスへの実物投資や先物、指数連動ファンドなど投資が、所得税の対象となります。この上院議員は、非課税法人がそうした非課税の地位を利用して、投機性を高めていると指摘しています。しかし、これは、結構、大きな変化かもしれません。機関投資家の中でも、年金基金は非課税の恩恵を受け、将来の加入者への年金支払いのために有利な投資が可能であったわけです。これは、米国に限らず、日本や他の国でもそういう扱いです。逆に言えば、課税対象となる投資を行うような判断は、受託者責任の観点から躊躇せざるを得ないかもしれません。そうなれば、多くの年金基金が、原油への投資から撤退する可能性があるでしょう。現時点で、このことが原油マーケットに良い効果をもたらすかどうか定かではありませんが、少なくとも急激な上昇は起こりづらくなると考えます(逆に、市場参加者の減少では、急激な下落はあるかもしれませんが)。一方、農作物関連は今回の草案の対象になっていませんので、今後も、年金基金などの投資資金の流入が期待されるのではないでしょうか。

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