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2008年11月 2日 (日)

第196話 「購買力平価と為替相場」

11月2日付けの日経ヴェリタスをながめています。全体的に、先週とトーンが変わりました。”底打ちか?”が主流の内容に変わってきました。私は、以前からリーマン、AIGショック直後辺りの水準までは比較的早くに戻ると信じています。しかし、その後は、分かりません。オバマさんに期待するということでしょうか。さて、そうした安堵の中で、67面に掲載されているドイツ証券シニア為替ストラテジストである深谷さんの「激動期の為替相場3」という記事に注目しました。今回は特集の3回めで、過去1~2年間の為替相場の流れを整理されています。キャリートレードやサブプライム問題など高金利通貨が選好されてきた歴史を振り返ったりしています。そして、中長期的な尺度として購買力平価があり、例えば、ドル・円で80~90円の水準が購買力平価と一般的に言われているので、その辺りで円高も止まると見ることもできるとと述べられています。購買力平価とは、2つの国で同じ商品を買うときに必要なお金が同じ価値になるよう、為替相場が調整されるという考え方です。有名な例えとしては、マクドナルドの”ビックマック”です。米国で買うビックマックと日本で買うビックマックは同じと考えると、各国の価格が等しくなるようなドル・円相場(ビックマック指数)が一種の購買力平価の為替水準となるわけです。しかし、私も長くこの業界に身を置いていますが、購買力平価で為替をきちんと説明できた事実を知りません(私だけ知らないなら、すいません)。為替には、もう一つ”金利裁定”という為替相場決定の理屈があります。しかし、言い換えれば、為替には、主に金利裁定か購買力平価の2つしか、まともな理論が存在しません。もしかすると、金融業界で、最も研究が遅れている分野かもしれません。金利裁定では、高金利通貨は、弱くなるはずですが、過去、高金利通貨が強かったことは、ヘッジファンドのキャリートレードを理由に持ち出したりとか、正直、よく分かっていないのです。加えて、交換手段である為替レートは、必ずしも経済合理性に基づく市場参加者のみではありません。例えば、市場介入です。これは儲けようとしてドルを買ったり、売ったりしていません。合理的な参加者以外も結構多い市場では、なかなか理論は発展しないのかもしれません。購買力平価に戻ると、そもそも、どの価格を比較するかなど、問題が多い理論です。誰が、米国のビックマックが安いから輸入して、日本で売ろうと思うでしょうか?これは、極端な言い方をしましたが、財の輸出入や生産拠点の移動など、物価に応じて、個人、企業ともに、経済行動を決定しますが、単に内外価格差だけではない要素も検討しています。従って、本当の購買力平価を測ることは非常に困難があり、それを為替相場決定の拠り所にするのは、非常に無理があると言わざるを得ません。最後に、為替の面白いところは、例えば、120円が100円に円高になった場合、日本人にとっては、16.7%の円上昇と表現します。一方、米国人にとっては、1円=0.0083ドルが、1円=0.01ドルとなりますので(各々120円と100円の逆数)、20%のドル安になったと言うわけです。日本人には16.7%の円高、米国人には20%のドル安、う~ん、やはり為替は難しい。

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コメント

最近、このサイトをROMし始めました。経済のことを知らずに、為替のDAY TRADEを楽しんでいます。
購買力平価という言葉には疑問を持っています。使っているのは役人と学者だから。おいらはこれまで、トヨタ自動車の社内設定の為替相場、105円/ドルを基準にしていました。いまの時代で、中心の貿易商品だからです。トヨタも海外に生産拠点を強化しているから、これからは違うのかと思っています。現在、および、これからの日本の中心貿易財は資本財かな?資本財とは生産設備商品、部品です。これに関係する企業の社内設定為替相場を調べてくれませんか?これらの企業が90円台、80円台でやっていけるなら、為替相場もそうなると思います。初めてのコメントで依頼することを許してくださいね。

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株初心者ならずとも円とドルの為替相場については、テレビのニュースなどで何度となく聞いていることでしょう。日本は貿易大国ですから、この為替相場の動きによって、景気が大きく左右されることは、ご存知かと思います。テレビでは毎日、東京為替市場の円相場を伝えていることは、大企業はもちろんのこと中小企業なども含めて、日本の経済に大きな影響があるということを示していると言えます。... [続きを読む]

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