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2008年11月

2008年11月30日 (日)

第218話 「ボーナスと資産運用」

11月30日付けの日経ヴェリタス60-61面のスマートライフの紙面で、冬のボーナスの使い道や金融混乱期の資産運用について特集しています。その中で、紀平正幸さんら3名のFPの方がコメントを述べてらっしゃいます。どの方も、基本は、長期投資、分散投資、余裕資金の確保を挙げており、大きな違いもありませんし、正直言うと、大した事は言っていません。その中でも、紀平さんが、”5%の運用目標で長期投資”などと書いています。しかし、長期投資だからといって、今後、5%の達成することなどできるのでしょうか?日本の年金制度も含め、あまりに高い目標を掲げすぎていると考えます。今、投資から得られるリターンは、せいぜい、3~4%ではないかと考えています(ここでは、複利的な発想を持って話しています)。私が調べたところ、ブラックマンデー以降、世界の株価はドルベースで約7%で成長してきました(含む、配当)。仮に、今後もこのペースで成長するとすれば、日本の投資家にとっては、ここに為替ヘッジのコスト程度を差し引いた程度が株価からの期待値になります。最近、世界的に金利低下の状況にあり、金利差が縮小していますので、目先は2%程度、中期的には3~4%の金利差を想定できるでしょう。そうすると、大体、世界株からは、3~5%程度の円リターンが期待できます。一方、債券からは、せいぜい、名目成長率程度の2%前後程度しか期待できないでしょう。仮に、株式と債券を半分づつ組み合わせたポートフォリオの期待リターンは、3~4%程度だと考えるのが妥当であると思われます。世界的な成長率の鈍化、デフレ傾向からして、分散投資でも長期投資でも、高いリターン(5%でも高い)が達成できると考えないで、資産運用を考えるべきと思います。

2008年11月28日 (金)

第217話 「レイアウェイ」

11月28日付けテレビ東京モーニングサテライトにおいて、米国での”レイアウェイ”について放送していました。英語で書くと"Layaway"ですが、すなわち、商品を買うのに、最初に10%程度の頭金を払い、取り置きしてもらいます。そして、例えば、2週間後までに残金を分割で払い終えて、初めて、商品を受け取れるというものです。同じ分割払いでも、先に商品が手に入るクレジットカードとは逆となっています。Kマートでは、レイアウェイの利用が、2007年の5倍に増えたといいます。1930年代の世界恐慌時代に流行したものの、過去の遺物となっていたレイアウェイが、今脚光を浴びているのは、クレジットカードの限度額まですでに使用してしまったといった理由があります。しかし、米国民というのは、本当に消費が好きですね。ここまで苦しい状況に追い込まれても、消費の裏技を使ってくる、これは本当に驚きです。しかし、こうした国民性は、ある意味、経済の下支えになるわけですから、侮れませんが。日本では、レイアウェイという制度があったとしても、それを使って買い物をする人は先ず、いませんので、非常に新鮮に感じます。

2008年11月27日 (木)

第216話 「優秀な運用機関とは?」

11月26日付けのGlobal Pensionsによると、英国のコンサルティング会社であるInalytics社の調査で、優秀な運用機関でも投資判断の51%しか正しい判断をしていないことが判明しました。これは、ヒットレシオから導き出したもので、ヒットレシオとは、例えば、10ヶ月の運用成果でせいぜい5ヶ月しか市場指数(例えば、日経平均株価指数)に勝てないということです。加えて、勝った幅と負けた幅を比べると、102%であることも分かりました。すなわち、市場指数に勝つ運用と言っても、せいぜい、2%分の価値幅だということです。この結果から見ると、世の中に優秀な運用機関などいるのだろうかという疑問が湧いてきます。同社の結論に、運用機関は、相場が良い時は、指数に勝つが、相場ば悪い時には、指数に負ける。その結果が、ヒットレシオや勝ち幅対負け幅比率に出ていると述べています。すなわち、常に勝てる運用機関は、この世にはほとんど存在せず、結局、市場の趨勢に迎合しているだけということです。こんな運用に高い報酬を払っている投資家とは、まったく間抜けな存在と言えるかもしれません。コストに見合うリターンが得られるか?、この単純なルールを基準に、運用機関を選定すべきであると考えます。

2008年11月25日 (火)

第215話 「シティ救済は理解できる?」

11月25日付けの各紙は、経営難に陥っている米金融大手シティグループが23日深夜、米政府から追加支援を受けることで合意したと発表したことを伝えています。シティが持つ不良資産約3060億ドル(約29兆円)から将来発生する損失のうち、米政府が最大で約2493億ドル(約23兆9千億円)肩代わりするほか、公的資金200億ドル(約1兆9200億円)で追加資本注入することになりました。シティが持つ住宅ローンや商業用不動産関連の証券化商品などの不良資産約3060億ドルを事実上「別勘定」とする。この不良資産から生じる損失のうち、最初の290億ドル(約2兆7800億円)まではシティが負担し、それを上回る損失についてはシティが1割、米当局が9割を負担することになります。これは、いわゆる、「Good Bank」と「Bad Bank」に分離する方法として、市場は好感し、24日のニューヨーク市場は大幅高となりました。しかし、皆さん、このニュースを聞いて、すぐに「なるほど!」と思いました。非常に分かりづらい救済劇だと私は思いました。Bad Bankに分けるのであれば、明らかに分けるべきで、シティという銀行がそのままで、実質、Bad Bank部分を政府が保証したというのは、あまりにも玉虫色です。個人的に、市場に分かりやすくアピールするという意味では失敗だと個人的には感じています。これでは、問題先送りで、大銀行の延命に手を貸しただけではないでしょうか。日本では失われた10年というように、不良債権処理に時間を予想以上に費やしてしまいました。米国の処理はスピードがあると今まで言われてきましたが、今回のことで、米国でも失われた10年を経験する可能性が出てきたと感じています。

2008年11月23日 (日)

第214話 「CMBS危機」

11月23日付の日経ヴェリタスの1面や24面に米国CMBS(コマーシャル・モーゲージ・バックド・セキュリティーズ)の価格が急落しているとの記事が出ています。これは、住宅ローン債権ではなく、商業用不動産ローン、たとえば、ホテルとかオフィスビル向けローン債権を裏付けとした証券化商品です。本来、この証券化商品は、先の金融安定化法により、公的資金で買い上げられる予定でした。この基金は、TARP(Troubuled Asset Recovery Programme)と呼ばれていますので、まさしく不良債権買取りのための基金でした。しかし、ポールソン財務長官が、買い取りを止めて、金融機関への資本注入に使うと方針を変えたために、CMBSの投げ売りが始まったわけです。加えて、不況で、空室率上昇の可能性も出たために、価格が下がっています。これでけではなく、最近は、米国のREITも暴落しています。米国の不動産不況は、予想以上に厳しいようで、このブログで以前、楽観的記事を紹介したことが、間違っていたのだと認識しました。しかし、一方で、米国の期末を控え、CMBSの投げ売りの感は強く、実態とかい離した価格となっている可能性もあります。いずれにせよ、年末年始は、相当、ボラティリティの高い、理屈を超えた価格変動が続くのでしょう。

2008年11月22日 (土)

第213話 「それでも、ヘッジファンド・オブ・ファンズはダメ」

11月21日付けのブルームバーグ・ニュースが伝えるには、複数のヘッジファンドに投資するファンド・オブ・ファンズのヘッジ・インベストによると、ヘッジファンドの運用成績は向こう1年に2けた台のプラスとなる可能性があるとのことです。9億5300万ユーロ(約1140億円)を運用するヘッジ・インベストは、マクロ、株式ロングショート、転換社債裁定の戦略のファンドを有望視しています。同社のアレッサンドラ・マヌリ氏が20日、投資家向けの説明で明らかにし、為替相場の大幅な変動と質を無視した信用コストの設定が、収益機会を生むと説明しました。確かに、2000年初めに、ヘッジファンド業界の機関化が進み、大量の資金が流れ込んだことが、本来のヘッジファンドの収益源である市場のゆがみを無くしたことは事実です。それによって、ヘッジファンドは、レバレッジの道を選択したわけです。機関化した資金が最も使用したのが、ヘッジファンド・オブ・ファンズでした。しかし、昨今、大量の解約が出ており、業界の淘汰が進めば、再び、市場のゆがみが発生し、ヘッジファンドの投資機会が増えることになるでしょう。これは、多くの人が、常識として指摘しています。しかし、ここで忘れてはいけないことは、今までの常識が変わり、簡単いリスクマネーが入ってこなくなったことです。市場のゆがみとは、フェアバリューからの実際の価格の乖離を言うわけですが、このフェアバリューが、こうしたマネーの動きの変化から、変わる可能性があります。その結果、従来の経験や手法で、儲けられない可能性が出てくると私は考えます。また、ヘッジファンド・オブ・ファンズの構造上の問題点(急な大量の解約請求に対応できない)ことも、判明してしまい、資金はそう簡単には戻らないでしょう。仮に、ヘッジファンドに資金が戻るとすれば、シングル・ヘッジファンドとなるのが、次のステージだと考えます。

2008年11月20日 (木)

第212話 「金融不況が、大不況へと変わる時」

11月20日付けのブルームバーグ・ニュースによると、20日のクレジット・デフォルト・スワップ市場では、社債の保証コストが過去最高水準となったそうです。米自動車メーカーが破たんした場合、金融機関の損失が拡大しリセッションが深刻化するとの懸念が背景にあるようです。 米自動車大手のゼネラル・モーターズ、フォード・モーター、クライスラー3社のトップは18、19両日の2日間にわたる米議会での証言を終え、250億ドルの政府融資を求めていますが、米議会は救済方法で合意に達していません。このまま、GM等が破綻すれば、リーマンの時以上に、景況感が悪化するでしょう。リーマンの時、ウォール街での一部の問題という印象が国民には強かったと思われますが、今回は、より身近に感じる不況です。金融不況から大不況に変わっていく雰囲気です。しかし、ビックスリーのトップは、自家用ジェットで来て、支援しろとは、あまりにもKY過ぎます。これで、自分の首をさしださない限り、支援を得ることは困難でしょう。こうした馬鹿なトップのために、大量の失業者が出る、米国資本主義の犠牲者としか、言いようがありません。

2008年11月19日 (水)

第211話 「バーゲンハンティング」

11月19日付けのブルームバーグ・ニュースによると、ヘッジファンドを運用するジョン・ポールソン氏は、値下がりした住宅ローン担保証券(MBS)を買い始めた可能性があるとのことです。ポールソン氏は昨年、米サブプライム住宅ローン資産の下落を予想した数少ない勝ち組の一人です。同氏の運用するヘッジファンドは、昨年600%超のリターンを達成し、今年の年初から10月までの成績もプラス29%を達成しています。一方、2000本以上のファンドで構成するユーレカヘッジ・ヘッジファンド指数は、同期間で約12%下落となっています。同氏は、MBSの買いタイミングは近いとは述べてきましたが、実際に買いに入ったとすれば、注目すべき行動です。バリュー投資は、早すぎても失敗するので、誰しも躊躇するのですが、勝ち組の同氏の行動は、追随買いを呼ぶかもしれません。市場は大きく低迷しており、一般的には、不透明感が漂っています。しかし、昨年以降、サブプライム証券化商品、モノライン、ベアースターンズ、ファニーメイ/フレディーマック、リーマン、AIGときて、現在、ビックスリーが話題となっています。今や、証券化商品を話題にする人は少なくなりました。そういう点からも、金融危機から経済危機に移行したこの時がMBS投資のタイミングなのかもしれません。注目です。

2008年11月18日 (火)

第210話 「金融業界の大リストラ」

11月17日付けのブルームバーグ・ニュースは。米資産運用大手ブラックロックが、「過去例のない」景気下降局面に見舞われたとし、創業以来初の人員削減に踏み切る方針を明らかにしたと報じています。ブラックロックは17日付の社員あてのメモで、「現在は過去に例を見ない異常事態だ」と指摘しています。昨日は、シティが5万人規模のリストラを発表していますし、金融業界でのリストラが急速に進展してきました。シティや投資銀行などは、業績も悪く、従業員数も多いので、このリストラもやっぱりという気持ちですが、ブラックロックのような優良な運用会社でもリストラに追い込まれたことは、特筆すべきことかもしれません。このブログでも何度と無く、運用会社等のリストラ話を取り上げてきましたが、年末に向けて本格化してきたわけです。日本でも、私の聞いている限りでは、シュローダー、フィデリティ、アライアンス、ラッセルなどが比較的大きなリストラを行いました。おそらく潜在的には、より多くの運用機関もリストラを検討していると考えます。また、リストラ対象も、営業マンからファンドマネジャーやアナリストまで広がっており、深刻な状況を表しています。こうなると、行き着くところまでいかないと、リストラ地獄から抜け出せないでしょう。おそらく、2009年まではこうした不安定な状況が続くのでないでしょうか。これも、パラダイムシフトの影響ですかね。

2008年11月17日 (月)

第209話 「金融パラダイムシフト」

11月17日付けの日経ネットニュースによると、米証券大手ゴールドマン・サックスのブランクファイン最高経営責任者(CEO)ら7人の経営陣は2008年のボーナスの受け取りを辞退したとのことです。このブランクファインCEOは昨年、6850万ドル(約66億円)のボーナスを受け取っていたそうですから、庶民からすれば、辞退したところで、痛くも痒くもないだろうとは、思いますが。これまで「勝ち組」とされてきたゴールドマンも赤字転落、リストラを余儀なくされており、世論からの批判を避けるためにも、こうした結論に達したと思います。しかし、昨年までの異常な高額ボーナスは、いくらゴールドマンとはいっても、もう出ないと思います。同社も銀行持ち株会社に変わり、レバレッジが制限されるからです。世の中は、今回の金融混乱により、今まで信じられたきた認識、常識が変わりつつあります。これこそ、「金融パラダイムシフト」と呼んでよいと思います。金融パラダイムシフトのキーワードは、「投資銀行ビジネスモデルの崩壊」、「低レバレッジ化」、「市場主義から規制強化」、「国際会計基準と新BIS規制」です。金融パラダイムシフトが起きていることに、気付かない金融マン、または、気付いていても対応できない金融マンは、これからの時代で生き残れないと思われます。今は、動揺せず、じっくりと将来を考える時なのかもしれません。

2008年11月16日 (日)

第208話 「変額年金の隠れ条件」

11月16日付けの日経ヴェリタス60面に、「変額年金、隠れ条件表面化:株安で運用変更や元本割れも」という記事が掲載されています。株式市場の下落で、変額年金の元本保証の仕組みに対する理解や運用方針に対する理解が揺らいできているという内容です。例えば、東京海上日動フィナンシャル生命の商品は、いわゆるCPPI(Constant Proportion Portfolio Insurance)的な運用方法を採用しており、株式と債券の比率を運用状況により変更し、株式相場下落により、資産がある一定水準を下回ると債券だけの運用に切り替え、二度と株式に投資しないというものです。これにより10年後には元本(+α)が確保されるが、仮に株式市場が上昇してもその上昇分を享受できないということです。ただ、正直言って、これについて、記事で取り上げるほど、顧客と販売会社(ないしは運用会社)でトラブルが発生する可能性は低いような気もしますし、上昇分を取れなかったと怒鳴り込む人も少ないのではないでしょうか。しかし、一方、この次に書かれている「原資保証」と「総額保証」は、結構、揉める火種があるように感じます。これは、分かり難いでしょうし、この点を販売時に正確に説明しているかどうか、疑問です。満期時の保証か、年金受け取り総額での保証かは、結構、異なりますし、そう思っていない人も多いのではないでしょうか。厳密な経済効果よりも、個人は、「保証」という言葉に敏感であり、それぞれの思いを持っていますので、今後、この手の訴訟、トラブル(説明がなかったとか)があるのではないでしょうか?特に、金商法施行前に販売した商品は要注意です。

2008年11月15日 (土)

第207話 「京都のガソリン価格」

11月12日付けのブルームバーグ・ニュースによると、ベネズエラのチャベス大統領は、同国も世界的な景気後退の影響は免れず、原油価格下落が続けば打撃を受けると述べました。ベネズエラは歳出の半分を原油収入に依存しており、輸出収入の90%以上が石油製品となっています。確かに、ここにきての原油価格の暴落は凄まじいものです。一部の新興国にとって、原油からの収入の落ち込みは非常に深刻です。しかし、一方で、先進国にとっては、大きな恩恵を受けると考えます。昨日、京都に出張に行きましたが、ガソリン価格126円の看板を見つけました。タクシーの運転手さんに聞くと、彼が知っている京都の最安値は、122円だそうです。そのためか、最近、道路の混雑が増えているとのことで、困っているとのことでした。人が動き、物が動くことで、経済は徐々に回復します。京都で聞いた話は、その始まりかもしれません。モータリゼーションされた先進国経済で、必ず、原油価格の暴落は景気を刺激すると考えます。もちろん、その逆は、新興国で起こりますが。さて、京都のタクシーの運転手にもう一つ聞きました。ビジネスマンがお昼に使うお金が非常に下がっているとのことです。普通の仕出弁当が250円で買える店も出てきているようで、加えて、そこでは、ペットボトルのお茶も原価に近い60円で売っているそうです。合計310円。すごい。。

2008年11月13日 (木)

第206話 「榊原英資的な予想」

11月13日付けのブルームバーグ・ニュースによると、早稲田大学インド経済研究所所長で元財務官の榊原英資氏は13日、都内で講演し、世界的な金融危機の克服には「少なくともあと2年」程度かかり、戦後最大の「世界同時不況」も「4、5年続くかもしれない」と語りました。また、短期資金のひっ迫を背景としたドル高は「どこかで崩れ」、円相場は1ドル=90円を突破する「可能性がかなりある」とも話しました。 このニュースを見て、正直、私の印象は、「またか!」という感想です。3月のベアースターンズ破綻の時も、同氏は、円ドル90円割れは必至というコメントをテレビを含めたマスコミで発表していました。しかし、未だに、その状況を観測していません。でも、同氏のコメントのパターンは、評論家の見本かもしれません。同氏は円安を予想したことは、過去無いと記憶しています。すなわち、どちらか一方方向を予想していれば、いつかは当たる、これこそ、評論家が長生きする秘訣なのです。同氏は、非常のcleverな人なので、この極意を知っているわけです。加えて、Mr.円などと言われていますから、円高で発言すれば、注目を浴びます。本当に、賢い戦略です。一方で、こうした人材は、必要である。万年ブルのドイツ証券の武者さんのように、この人はベアになれば、絶対大丈夫という先行指標は必要です。榊原さんは、その域に到達したと思います。

2008年11月12日 (水)

第205話 「タワー投資顧問」

11月12日付けのブルームバーグ・ニュースによると、タワー投資顧問の谷村哲夫社長は12日、ファンドの1つを閉鎖するとのダウ・ジョーンズの報道について「記事のような事実はない」との見解を示しました。ダウ・ジョーンズは、12日付の記事で関係者の話として、タワー投資顧問がファンドの1つ「K1Jファンド」を運用成績の悪化から資産が急減したために、閉鎖すると報じています。タワー投資顧問といえば、100億サラリーマンの清原さんのいる会社です。同社は、2005年までの中小型ブームの中、中小型株買い、大型株売りのロング・ショート戦略で一躍有名になりました。年金等でも清原さんに心酔している顧客が多く、九州の石油関連の年金からの口コミで一気に広まりました。パフォーマンスも劇的に良かったために、神様のような存在で清原さんは顧客の間で、知られていました。しかし、小型株相場が終わると様相は一変します。結局、銘柄選定能力というよりは、流動性の低い小型銘柄を買い上げ、大型株をショートするだけだったために、小型株が下げ始めると自分の売りで価格を下げてしまうので、年金の顧客にも解約を思いとどまらせるように促していたそうです。加えて、最近の投資銀行で言われるように、儲け主義に走りすぎました。同社は、関係会社としてセブン・キャピタル証券というところを持ち、タワー投資顧問に投資したい年金顧客に、ファンドの形式でこの証券を通して売るというスキームを使っていたと聞きます。そして、この証券が販売手数料として3%を取っていたと、ある年金からの話を聞きましたが、これが本当ならすごい話です。機関投資家が販売手数料を払うのも通常ではありませんが、3%は個人の扱いと同じです。高い投資顧問料と3%の販売手数料、そして、売れない小型株。同社からは何人かの運用者が退職しており、今後も厳しい経営が続くのではないでしょうか。拝金主義に狙われた年金も、パフォーマンスだけで運用機関を選ぶべきではありません。

2008年11月11日 (火)

第204話 「ウォール街のボーナス」

11月11日付けのブルームバーグ・ニュースによると、米政府による7000億ドル(約68兆5000 億円)規模の金融業界救済を受けて、米納税者はウォール街の一部を保有した気分になっており、納税者たちはウォール街のボーナスの「削減」ではなく、「撤廃」を求めていると報じています。 ウォール街の伝統として、報酬の大半は年末の賞与の形で支払われ、8万-60万ドル(約780万-5870万円)程度の給与に比べ、何倍かの金額が賞与として支払われることになります。ゴールドマンは2007年度の賞与としてロイド・ブランクフェイン最高経営責任者(CEO)に6790万ドル相当を支払ったそうです。彼らの言い分として、優秀な人材を引き止めるためには、ボーナスを出さないといけないとしています。確かに庶民感情としては、公的資金まで入れてもらって、ボーナスを出すのはいかがなものかと思うでしょう。その矛盾は日本でもありました。金融機関の年収は確かに一般企業に比べて高く、こうした高給批判はなくなりません。しかし、投資銀行の高給は異常です。億単位を得ているケースもありますので、これは常識の粋を超えています。そのボーナスの原資はどこから来たのか、今話題の証券化商品やちょっと危ないビジネスまで手を広げて得たお金です。投資銀行はそうしたことを繰り返してきました。かつての、クレディスイスのデリバティブ取引や、マネーロンダリング問題、そして、今回のリーマンと不動産金融(今日のガイアの夜明けで特集していましたね)。投資銀行マンも、もう高給は得られないことを自覚しないと、小室哲哉みたいに、生活水準を下げられずに、苦労するかもしれません。

2008年11月10日 (月)

第203話 「定額給付金問題と政府の危機管理」

11月10日付けの各紙ニュースを見ると、麻生総理大臣は、定額給付金を全世帯に配布するとしながら、高額所得者には自主的に辞退してもらう方針を取るとインタビューで答えているようです。実務的に所得制限はできないが、自主的でも高額所得者を除く意思があると言うことで、バラマキ批判を避けたいという意図のようです。このブログでもこの定額給付金の実行は無理じゃないかと書いたのですが、ひっこめるわけにもいかず、こんな形になってしまうようです。そもそも、地域振興券でも取りに来ない人もいたようですし、もらっても使わないこともあったぐらいですから、今回も、面倒だから、いらないという人もいるかもしれません。加えて、総理大臣が「私は、いらないから」なんて言っちゃったら、何だかもらう人もは悪人みたいなレッテルを貼られるような雰囲気になりかねません。しかし、こんなことばかりに時間とお金を費やしてますが、こんなのん気な政府に苛立ちを感じます。この政府の危機意識の欠如はどうなっているのでしょうか?株価は戻ってきたとはいえ、金融株は未だに冴えない状況ですし、今日も、地銀クラスで大幅な赤字決算を発表しているところもあります。明らかに、中下位クラスの金融機関では危ないところが出てきています。欧米各国は予防的資本注入が出来る体制を確立しましたし、預金保護策も拡充しています。しかし、日本はどちらも準備されていません。日本の金融機関は大丈夫などと楽観的に構えていると、大きな落とし穴が待っているかもしれません。日本が金融機関対策で、最も、遅れているのです。

2008年11月 9日 (日)

第202話 「複利の恐怖」

11月9日付の日経ヴェリタス64面に、「連続ドラマ 定年ですよ」が掲載されています。今回は、米国サブプライム問題で住宅差し押さえが増えている新聞記事を読んでいる主人公が、自分の住宅ローンの返済方法の元利均等と元金均等の違いが分からず、後輩から説明されている話です。元利均等だと、初期は、毎月の支払額の大半は金利分で、元本がほとんど減らないことを主人公は、よく理解していなかったという設定です。後輩は、「先輩、元本を早く返さないと金利に金利が付く複利の効果で大変ですよ」と先輩を脅すのですが、なんかちょっとおかしくありません、この話。我々の払っている住宅ローンが、複利計算で、金利に金利が発生しているなんて、説明が銀行からされたことありましたか?「今なら、キャンペーンで、2.5%!」などと、年利が表示されていて、複利になりますなんて、きちんとした説明はなかったと思います(小さい字で書いてあるのは、インチキです)。仮に、2.5%を12分の1にして、毎月複利で利息がかかるとすると、本来の年利は、約2.53%と表示してもらわないといけないのではないでしょうか?住宅購入は、一生涯の大きな買い物です。その中で、どさくさで余分に金利を取っているのであれば、昨今の銀行への資本注入話にも、あまり賛同したくなります。

2008年11月 7日 (金)

第201話 「フリーマネー時代の到来」

11月7日付けのブルームバーグ・ニュースは、無利息で融資が受けられるフリーマネー時代がすぐそこまで来ているかもしれない、という論説を掲載しています。世界の主要中央銀行が前例のないペースで政策金利を引き下げ、借り入れコストは現在、1980年代の初頭以来で初めてインフレ率を下回っており、しかも、各中銀は一段の利下げを示唆しています。まさしく、この状態は、日本の金融危機の最終局面に近づいています。しかし、日本では、最後に、更にリフレにするために、量的緩和をしました。欧米でここまで進むとは現時点では思いませんが、いずれは量的緩和に進むと思われます。本日発表された米国失業率は予想以上に悪化していましたし、デフレ圧力は益々増加するでしょう。原油高など、うたかたの夢であり、来年100ドルという意見もありますが、個人的には、全くありえない予想と考えます。日本でもよく、”ゆで蛙”とい言葉が金融危機の時に聞かれました。本当に耐えられない状態になるまで、蛙は熱さに気付かないという意味です。欧米も本当の危機の恐ろしさをこれから知ることになると思います。そして、未曾有のデフレが襲うわけです。世界的に金利がなくなる、そんな時代において、頼れるものは何なのか、今から考えておかなければいけないでしょう。

2008年11月 6日 (木)

第200話 「農林中央金庫(2)」

11月6日付けの日経ネットニュースによると、農林中央金庫は6日、2008年9月中間期の経常利益(単独)が前年同期比86%減の200億円にとどまったようだと発表し、従来は3500億円としていた09年3月通期の経常利益予想も同71%減の1000億円に下方修正しました。先般予想したように、約1000億円の損失のうち810億円は債務担保証券(CDO)などの証券化商品で、株式の価格下落に伴う損失計上は約200億円に留まった。財務基盤を強化するために08年度中に農林系のグループ内から資本を調達する方針で、永久劣後ローン形式で3000億円程度の資本増強を実施する予定だそうです。しかし、この資本調達には疑問があります。農林系のグループとは、すなわち、農協や信連(場合によっては共済漣も含むかもしれませんが)です。農林中央金庫は、前回も書いたように、農協→信連→農中と預金を系統上部団体に上納させている銀行です。農中自身が預金集めをしているわけではなく、究極的には、全国の農協のお金を集めているだけです。その上部が苦しんでいるので、資本を出せとは、何か共食いの感じです。極端な言い方すれば、本社が厳しいから全国の支店に本社の株を買えというみたいなものです。これで本社の経営は安泰になったと誰が思うのでしょうか?公的資本注入問題で、理事長の高年収などが話題になって、絶対に公的資本はもらわないと宣言したものの、その結果が共食いでは、呆れる限りです。

2008年11月 5日 (水)

第199話 「金融危機は収まったという評論」

11月5日付けのブルームバーグのニュースによると、5日のロンドン銀行間市場で、3カ月物ドル建て金利が過去最大の低下を示したものの、信用市場は依然としてきしんでいると報じています。3カ月物ドル建てロンドン銀行間取引金利(LIBOR)は2.51%に低下しましたが、10月10日は4.82%でした。それでもFF金利の誘導目標を151ベーシスポイント上回っており、現在の信用危機が2007年8月に始まる前の5年間の平均水準(22bp)に戻るには程遠い状態にあると述べています。10月には、世界の中央銀行が協調して、市場にドル流動性を無制限供給してきたことにより、Libor金利が低下し、確かに、一時の最悪の金融危機は収まったと言えます。しかし、最悪を脱しただけで、悪い状態に変わりはありません。しかし、最近の専門家と言われる人のコメントは、金融危機は収まったと、強気相場を誘発したいかのような評論をしています。これは、誤りだと言わざるを得ません。また、短期市場もそうですが、債券市場が死んだ状態が続いています。これは非常に深刻です。企業も政府機関も地方公共団体も、まともな金利で市場からの調達ができません。これは、債券での借り換えもストップさせますから、資金繰りに深刻な影響を与えます。オバマ大統領には期待したいですが、未だ、市場が瀕死の状態に変わりありません。過度な強気意見には要注意。

2008年11月 4日 (火)

第198話 「自動車産業の未来」

11月3日付けのブルームバーグ・ニュースによると、トヨタ自動車とホンダは10月の米市場の自動車販売台数が前年同月比20%を上回る大幅減少となりました。しかし、業界全体の販売台数が32%急減したことで、両社の市場シェアは結果として拡大しました。 確かに、GMなどの半減近い大幅な落ち込みを記録しています。米国自動車市場が短期的に回復する見込みは全くありませんので、自動車産業に与える影響は歴史的な水準で厳しいものになると予想されます。しかし、そもそも、自動車産業自体が、完全に、構造不況業種に入ったしまったと理解するのが良いかもしれません。原油も安くなったとは言え、まだ、60ドル。気軽に遠出をする価格とは言えません。また、世界的な高齢化です。すなわち、車を必要としない世代が増えてきています。そして、特に、日本で顕著ですが、車に興味を持たない若者が増えていることです。これは、本当に危機です。この構造不況業種と化した自動車産業を刺激するには、民主党ではないですが、高速道路の無料化など大胆な策が必要だと思います。そうでなければ、自動車株など絶対買えないと思うのですが。。

2008年11月 3日 (月)

第197話 「追加経済対策(2):定額給付は行われない?」

本日、番外編です。追加経済対策での定額給付金について、このブログでも実務上の懸念を表明していました。この週末の与党のコメントを聞いていると、感想として、この定額給付は実現しないのではないかと感じています。そもそも、麻生総理は、”全世帯”と言いながら、与謝野大臣は所得制限をつけるといい、中川大臣は所得制限は無理だといい、麻生総理が年内と言いながら、誰もが、年度内と言いなおす。無茶苦茶です、何も詳細を決めないで発表してしまったことが、バレバレです。これで、事務方が動くとは思えません。言い換えれば、これは、”見せ金”ではなかったのでしょうか?すなわち、やりますやりますを前面に出して、実は、やれませんでしたという、結末ではないでしょうか。おそらく、公明党の意見を通して、やると宣言し、実際には、解散でうやむやにする作戦と私は考えました。従って、年度内解散、これが実現性が高いと、この定額給付から感じました。なお、政治ネタは、今回初めて書いたので、あまり、信じないで下さい。。

2008年11月 2日 (日)

第196話 「購買力平価と為替相場」

11月2日付けの日経ヴェリタスをながめています。全体的に、先週とトーンが変わりました。”底打ちか?”が主流の内容に変わってきました。私は、以前からリーマン、AIGショック直後辺りの水準までは比較的早くに戻ると信じています。しかし、その後は、分かりません。オバマさんに期待するということでしょうか。さて、そうした安堵の中で、67面に掲載されているドイツ証券シニア為替ストラテジストである深谷さんの「激動期の為替相場3」という記事に注目しました。今回は特集の3回めで、過去1~2年間の為替相場の流れを整理されています。キャリートレードやサブプライム問題など高金利通貨が選好されてきた歴史を振り返ったりしています。そして、中長期的な尺度として購買力平価があり、例えば、ドル・円で80~90円の水準が購買力平価と一般的に言われているので、その辺りで円高も止まると見ることもできるとと述べられています。購買力平価とは、2つの国で同じ商品を買うときに必要なお金が同じ価値になるよう、為替相場が調整されるという考え方です。有名な例えとしては、マクドナルドの”ビックマック”です。米国で買うビックマックと日本で買うビックマックは同じと考えると、各国の価格が等しくなるようなドル・円相場(ビックマック指数)が一種の購買力平価の為替水準となるわけです。しかし、私も長くこの業界に身を置いていますが、購買力平価で為替をきちんと説明できた事実を知りません(私だけ知らないなら、すいません)。為替には、もう一つ”金利裁定”という為替相場決定の理屈があります。しかし、言い換えれば、為替には、主に金利裁定か購買力平価の2つしか、まともな理論が存在しません。もしかすると、金融業界で、最も研究が遅れている分野かもしれません。金利裁定では、高金利通貨は、弱くなるはずですが、過去、高金利通貨が強かったことは、ヘッジファンドのキャリートレードを理由に持ち出したりとか、正直、よく分かっていないのです。加えて、交換手段である為替レートは、必ずしも経済合理性に基づく市場参加者のみではありません。例えば、市場介入です。これは儲けようとしてドルを買ったり、売ったりしていません。合理的な参加者以外も結構多い市場では、なかなか理論は発展しないのかもしれません。購買力平価に戻ると、そもそも、どの価格を比較するかなど、問題が多い理論です。誰が、米国のビックマックが安いから輸入して、日本で売ろうと思うでしょうか?これは、極端な言い方をしましたが、財の輸出入や生産拠点の移動など、物価に応じて、個人、企業ともに、経済行動を決定しますが、単に内外価格差だけではない要素も検討しています。従って、本当の購買力平価を測ることは非常に困難があり、それを為替相場決定の拠り所にするのは、非常に無理があると言わざるを得ません。最後に、為替の面白いところは、例えば、120円が100円に円高になった場合、日本人にとっては、16.7%の円上昇と表現します。一方、米国人にとっては、1円=0.0083ドルが、1円=0.01ドルとなりますので(各々120円と100円の逆数)、20%のドル安になったと言うわけです。日本人には16.7%の円高、米国人には20%のドル安、う~ん、やはり為替は難しい。

2008年11月 1日 (土)

第195話 「農林中央金庫」

10月31日付けのアサヒ・コムのニュースによると、石破農林水産相は31日の閣議後の会見で、農林中央金庫の歴代理事長に農水事務次官が就いていることについて「次官経験者だからだめという話ではないが、指定席のようになれば国民の批判を招く」と語ったそうです。金融機関に公的資金を注入できるようにする金融機能強化法改正案の対象に挙がっていますが、民主党は政治的中立性などから、慎重な態度を示しています。ここにきて農林中央金庫が注目を集めています。週刊現代にも記事が出ています。ここは、農協→信連→農林中央金庫という道筋で、お金を集め、積極的に有価証券投資を行ってきました。特に、債券投資の歴史は長く、一方で、株式の経験が短いことから、おそらく、今回も株式の痛手よりも、債券での痛手が大きいと思います。ファニーメイやフレディーマックの債券も多く保有していますし、その他の証券化商品を多く保有しています。社債、ハイイールド債、エマージング債投資も積極的で、損失は大きいと予想されます。また、オルタナティブ投資も積極的で、ヘッジファンドやプライベート・エクイティへの保有は銀行の中でもトップクラスです。しかし、昨年に多くの銀行は、BIS対策や金融庁からの検査圧力などもあり、ヘッジファンド等の保有を落としてきましたが、農中だけは、あまり意に介さず、そうしたポジションを落とすタイミングが遅れました。その結果、損失が膨らんだものと思われます。一番の問題は、担当者がプロとは言い難い人が行っていることです。また、銀行ですから、人事異動で短期で変わってしまいます。そうした中で、お金だけあるものですから、素人がどんどん新しい投資に走ってしまったわけです。大きな勘違いは、お金があるために、自分達で時には相場を動かしてしまうことがあり、それを「自分は相場の神様」だと勘違いさせてしまうのです。加えて、巨大な資金を目当てに、若い担当者に対しても、投資銀行がチヤホヤする風潮が傷口を広げました。これは正にバブル期の時と同じです。農中に公的資金を投入するなど、全く合理的理由はありません。貸出しも、農業関連の食品系企業などがメインである程度です。あおぞら銀行を最近辞められた会長も、農中の運用関連で有名な方でした。彼は、あおぞら銀行で、農中のような投資を行うことを考えていたそうです。しかし、その結果、あおぞら銀行の株価は、100円割れです。”勘違い”、いつの時代も、これにより、破滅は始まるのだと思います。

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