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2009年4月

2009年4月30日 (木)

第314話 「変わる年金運用」

4月29日付けのGlobal Pensions誌によると、英国のバークシャー州年金は、10の新しい運用機関を採用し、投資の分散化を図るそうです。方針としては、広範でかつグローバルなポートフォリオに変更していくことです。具体的には、今まで株式比率が70%だったものを、32.5%まで半分以下に引き下げ、債券、コモディティ、インフラファンドなどのオルタナティブ投資を引き上げました。また、32.5%の株式においても、上場株式は22.5%に抑え、10%はプライベートエクイティに配分しています。しかし、この改革、大きなものだと感じます。そもそも、英国年金での株式への配分は歴史的に非常に高いものでした。その昔に、悪性インフレに襲われた英国では、インフレ調整後の実質リターンを達成できるのは、債券ではなく、株式だと信じられてきました。その国で、株式の比率がこれほど大幅に下がったことは、歴史的な出来事だと考えます。すなわち、今回の世界的なデフレによって、株式投資に対する考え方は、大きく変わってしまったと理解すべきだということです。これからは、より分散されたポートフォリオこそ、求められる姿なわけです。しかし、これが世界的な傾向とするなら、株式市場にとってはマイナスですし、市場の厚みが不十分なコモディティにとっては、引き続き上昇傾向が続くことを示唆しているかもしれません。今後の戦略を考える上で、重要なニュースだと考えます。

2009年4月28日 (火)

第313話 「大和証券の進むべき道」

4月28日付けのブルームバーグ・ニュースによると、大和証券グループ本社の岩本信之取締役兼専務執行役(CFO)は28日の決算発表会見で、親密先の三井住友フィナンシャルグループが米シティグループ傘下の日興コーディアル証券などを買収する最有力候補になっていることに関連して、「両者にとってプラスになるよう、これから協議したい」と述べました。両社は1999年に大和6割、三井住友4割の出資で法人専門の「大和証券SMBC」を設立、株式や債券の引き受けやM&A(企業の合併・買収)などで協力してきました。この関係、非常に微妙です。そもそも、大和証券と三井住友の関係は中途半端でした。あえて言えば、法人部門の大和証券SMBCぐらいで、その他は、個人営業では全く独立ですし、資産運用でも、大和住銀投信投資顧問と三井住友アセットが共存する関係でした。とは言っても、大和証券にとって三井住友の顧客基盤を活用していたのも事実です。大和が大きく方針を変更し、三井住友グループに参加するのであれば、すっきりしますが、そうもいかないでしょう。個人的には、本件、大人の対応で、今は冷静に対応していますが、結局、大和証券は独自路線に行くのでないでしょうか。大和と日興がうまく一緒にやっていけるとは、カルチャー的にも違いますし、大和も埋没したくないでしょうから、その道しかないように思うのですが。

2009年4月26日 (日)

第312話 「新生銀行とあおぞら銀行の統合」

4月25日付けのブルームバーグ・ニュースによると、 新生銀行とあおぞら銀行は25日、両行の経営統合交渉報道に関し、それぞれ「当行が発表したものではなく、決定した事実はない」などとするコメントを発表しました。コメントは、25日付の日経新聞朝刊が、両行が2010年夏の経営統合を目指して調整に入った、と報じたことを受けたものです。私も、この報道には少し驚きました。この統合によるメリットがすぐに浮かばないからです。両行とも一度国有化され、外資ファンドに買われ、再上場を果たし、そして、再び窮地に追い込まれています。そういう意味では、類は友を呼ぶで、結婚しても良いのかもしれませんが、「何のため」という大義がありません。場合によっては、金融庁より、「2行は助けないが、1行なら助ける」のような示唆でもあったのではと勘ぐってしまいます。統合して、1行並みにリストラすれば、再度資本投入し、助けてくれるといった具合です。そうでも考えないと、この統合にどういう大義があり、何を目標とするのでしょうか。以前にも書きましたが、モラルハザードの象徴でもある、1000万円までなら保護されると預金していた人も、統合すると、半分を預金を引き出さないといけません。まったく、預金者としてもメリットが無い、この統合、報道通りに簡単になるとは思えないのですが。

2009年4月25日 (土)

第311話 「フィデリティの遺伝子」

4月23日付けのPensions & Investments誌によると、フィデリティの投信部門である"Fidelity Management & Research"のヘッドに、ブライアン・ホーガン氏が就任するそうです。同氏は、昨年4月に退職したウォルター・ドノバン氏の後任です。今日は、このブライアン氏の話ではなく、前任のドノバン氏の話です。このドノバン氏、フィデリティを退職し、同じく、大手運用会社のパトナム社にCIO(最高運用責任者)として入社しました。パトナム社は、元々、チーム運用を指向していましたが、ドノバン氏が入社したことで、180度変わってしまいました。フィデリティはご存知のように、スター・プレーヤー方式と呼ばれる個人に運用権限を与える運用会社です。一方、チーム運用は、プロセスを重視し、同じ運用判断が将来に亘って可能になる(再現性)を目指します。ドノバン氏は、チーム運用のパトナムで、フィデリティのスター・プレーヤー方式を導入しました。これには、顧客やコンサルタントが大きく反発し、パトナム社の業界での評判は大きく落ち込んでしまいました。フィデリティ出身者は、業界他社に多く転職しています。それは運用者であったり、営業担当者であったり。しかし、”株屋”の色彩が強い同社の遺伝子は、他社には合わないことも多く、内部混乱が起きているケースも散見されます。いい意味でも、悪い意味でも、フィデリティの遺伝子は、強力なのかもしれません。

2009年4月24日 (金)

第310話 「日本での金融ビジネスの採算性」

4月24日付けのブルームバーグ・ニュースによると、欧州の大手金融機関である英HSBCホールディングスは、日本の株式部門、株式調査部門を閉鎖し、調査部門に関しては、一部を香港へシフトさせる意向だと、HSBC証券東京支店の広報担当、ポール・アレン氏が24日朝、ブルームバーグ・ニュースの電話取材に対して答えたそうです。コアパシフィック山一インターナショナル(京華山一国際)のアナリスト、リー・ユクケイ氏は「HSBCグループが再び新興国市場の業務に集中することを意味している。先進国である日本の成長ポテンシャルはほとんどないため、彼らのビジネス戦略には適さない」との見方を示しました。このアナリストのコメントは、的を得ていると思います。日本での金融ビジネスの採算性は非常に悪化していると考えられます。もちろん、今に始まった話ではなく、ここ数年、ずっとあった話です。しかし、日本の機関投資家ビジネスの落ち込みをヘッジファンドが補っていたので、こうした日本株式ビジネスは成り立っていましたが、ヘッジファンドも衰退し、結局、儲けるネタがなくなってしまったわけです。加えて、賃料などのコストも、引き続き高いままですし、外人にとっては英語でビジネスのできない都合の悪い国であることは明白です。経済成長も、ビジネスも、金融の中核は、新興国へと向かい、日本の金融空洞化は益々進展するリスクが高まってきたと思われます。

2009年4月22日 (水)

第309話 「音楽著作権への投資2」

4月21日付けのGlobal Pensions誌によると、世界第三位の大型年金基金であるオランダのABPが、系列の運用会社を通じて、著作権会社である「ロジャース&ハマーステイン・オーガニゼーション(RHO)」を買収したそうです。RHOは、12,000以上の楽曲が持っているそうです。この投資により、年間1億ユーロ以上の売り上げとなるそうです。ABPと言えば、このブログを始めた丁度1年前の第6話で「音楽著作権への投資」という題で取り上げました。そのときは、クラッシク音楽のブージー・アンド・ホークスを買収していました。その投資でも8%の利回りを得られるとのことでした。金融危機によって、更に、年金運用での分散投資が重要になっており、債券や株式との相関が低い資産への分散投資を更に推し進めているようです。あくなき追求は、新しいアイディアを生み出し、そして、努力したものだけが、収益機会を得られるわけです。もっと、机の上だけの勉強ではなく、現実世界での投資商品の探求が必要なようです。

2009年4月20日 (月)

第308話 「BGIの買収合戦か?」

4月20日付けのPensions & Investments誌によると、世界的な運用会社であるBGI(バークレーズ・グローバル・インベスターズ)に対して、ブラックロック、フィデリティやゴールドマンサックスが買収を検討しているかもしれないと報じています。BGIは、パッシブ運用などのクオンツ運用で有名な会社で、また、isharesと呼ばれるETFの部門が急速に成長しています。しかし、親会社であるバークレーズ銀行がこの金融危機により、このお宝のETFビジネスをプライベート・エクイティ・ファンドに売却すると発表したことから、分離せずにBGIのすべてを買収するという提案が出るのでないかと予想されているわけです。この場合、先に合意したファンドへのETFビジネスの売却話がご破算になるかもしれません。BGIの受託資産額を考えれば、ブラックロック等のライバル会社にとって非常に魅力的であります。この話、のんびりした話ではないので、この1ヶ月以内には、何かしら出るものと思います。世界的な運用会社の再編が急速に進むような、大きな波の始まりかもしれません。

2009年4月19日 (日)

第307話 「リバランスの有効性」

4月19日の日経ヴェリタス54面のフォーカスに「株下落時は買い増し資産の比率を一定に:リバランスで長期的な運用成績向上」という記事が掲載されています。これは、年金基金の運用でも、個人投資家の運用でも、事前に決めた資産配分比率が市場時価が変化することで乖離が生じた場合に、元の資産配分比率に戻す取引、すなわち、リバランスは重要であるという主旨です。リバランスの場合、株式下落する局面、例えば、去年などは、時価比率が下がるので、下がるたびに株式を買いますことになります。しかし、昨年などは、100年に一度と評される下げだったために、リバランスすると資産の毀損が激しかったわけです。そのために、「わざわざ、下げることが分かっているのに、株式を買いますことは良くない」という理屈から、多くの年金基金などでリバランスの一時停止が行われました。そのことを、シミュレーションや業界関係者のコメントとして、「リバランスは、ルールとして事前に定めているなら、愚直に守った方がいいですよ」というトーンの記事になっています。確かに、リバランスは必要だと私も思っています。事前に決めたルール(方針)に戻すべきだと思います。しかし、それほど、単純でもないと考えます。まず、何%乖離したらリバランスするかということです。年金の世界では、3~5%と言われていますが、必ずしも根拠があるわけではありません。取引コストがかかるので、あまり頻繁に行うのはよくないという専門家もいます。しかし、取引コストが気になるなら先物などを使用すればよいので、リバランスの発動ポイントを恣意的に決めるべきではないと考えます。言い換えれば、少しでも乖離すれば常にリバランスをすべきです。幅を持たせると、ある意味、相場観をもって対応しているようにも感じます。そして、最も重要なことは、そもそも、戻るすべき事前に決めた資産配分比率は妥当かということです。これが妥当でないと戻すことの議論などあまり重要ではなくなります。多くの年金基金は、株式比率が多すぎるというのが、私の印象です。内外株式を合わせて平均50%ぐらい保有しています。これでは安定した運用など達成困難です。従って、リバランスの議論の前に考えることがあるだろうというのが私の考えです。年金運用での安定が、ひいては、国民の将来不安の軽減することに役立ち、景気回復を後押しするとも期待します。

2009年4月18日 (土)

第306話 「カルパースの試み」

4月17日付のGlobal Pensions誌によると、カルパース(カリフォルニア州職員退職年金基金)は、専用のマルチ・ストラテジー・ヘッジファンド・プログラムを開始すると発表しました。これは、トラックレコードがまだ2~3年程度の新興のヘッジファンド・マネジャーに運用資金を提供して、高い運用結果を狙おうというものです。こうした新興の運用機関に資金を提供し、ある意味、育てるような意味があることをから、インキュベーションとも呼ばれる手法です。これをカルパースは「Sprout Program」と呼んでいます。Sproutとは発芽という意味なので、直訳すればヘッジファンド・マネジャーの発芽計画ということでしょうか。こうした運用機関には、基本となる運用報酬は低く抑えられ、パフォーマンス成果に応じた報酬が設定されています。カルパースは、全体で6000億円近い資産をヘッジファンドに投資しており、昨年は、マイナス19%の結果に落ち込みました。この発芽計画は、ヘッジファンドの運用の立て直しの一部として採用されるそうです。「オルタナティブの復権」においても書きましたが、年金によるヘッジファンド投資は意外と底堅いものがあります。しかし、今まで通りで良いのかという疑問もあります。より新たな運用能力を発掘し、ハングリー精神を与えることが、より良い成果に結びつくのかもしれません。日本の機関投資家も慎重な運用ばかりではなく、こうした試みも必要ではないでしょうか。

2009年4月16日 (木)

第305話 「フィデリティの賃下げ」

4月15日付けのPensions & Investments誌によると、世界的運用会社であるフィデリティの社内で、7月に予定されている昇給が、給与水準が中または下位の従業員に限られるとだろうとの通知がなされたそうです。また、ボーナスもカットされるであろうことも告げられています。これは、現状の厳しい市場状況によるものです。このブログでも何度もこうした運用機関のリストラや賃下げ可能性を取り上げてきましたが、更に悪化しているようです。特に、外資系運用機関の日本法人への影響は相当厳しいようで、リストラ話が絶えません。今日も、これは未確認の情報ですが、某米系大手運用機関が、投信ビジネスから撤退することを決め、販売会社である証券や銀行に説明に廻っているとの話を聞きました。外資系金融機関を退職した人は、最近、日系金融機関に転職するケースも見受けられますが、昨今の情勢から、日系金融機関も受け皿にならなくなってきています。市場の大幅な回復がない限り、こうした賃下げやリストラは、深刻化していくことになりそうです。

2009年4月15日 (水)

第304話 「オルタナティブ投資の復権」

4月14日付けのPensions & Investments誌によると、石油メジャーのロイヤルダッチ・シェルの年金基金は、上場株の投資比率を下げ、債券とオルタナティブの比率を上げることにしました。約2兆5千億円の資産を有する年金基金ですが、これまでの株安で積立不足が悪化し、積立比率は85%まで落ち込みました。これを2011年までに105%まで回復させる計画を立て、その結果、上場株を55%から45%まで引き下げ、債券を30%から35%まで引き上げ、オルタナティブを15%から20%にまで引き上げるわけです。こうした変更は、日本の年金基金でも聞こえてきます。最近、訪問したある自動車メーカーの年金も債券とヘッジファンドの比率を高めるとのことでした。しかし、今回の金融危機により、世界中でオルタナティブ投資を減らす動きがありました。ヘッジファンドは、記録的な流出となっていますし、プライベート・エクイティ投資もなかなかお金が集まらない状態です。その中で、こうしたシェルなど年金基金の行動は、「やはり株よりはオルタナティブ」という考え方をサポートするものです。昨年までの減少一方から、オルタナティブ復権の予兆が見られます。

2009年4月14日 (火)

第303話 「景気楽観論」

4月14日付けのブルームバーグ・ニュースによると、バークレイズ・キャピタル証券は14日、「世界見通しカンファレンス」を都内で開催しました。そこで、高橋祥夫チーフ外債ストラテジストは、世界経済の見通しについて、大型の財政刺激策が打ち出された中国や、財政や金融など一連の政策対応が効いてくる米国がけん引して年内には回復する可能性が高いとの予想を示しました。ついに、年内回復派の登場です。ここにきて、株価の戻りとともに、景気楽観論者が多くなってきました。いくつかの経済指標も底打ちの兆しを示していることも、彼らを後押ししているのかもしれません。しかし、年内回復説は、ちょっと楽観視しすぎではないでしょうか。雇用調整は今後更に進展するわけで、GDPに占める消費の割合を考えれば、年内は難しいでしょう。加えて、企業の態度もそう簡単には上向かないと思います。ちょっと前まで慎重派の予想ほど、現状で何か変わったわけではないでしょう。しかし、持論である量的緩和の効いてくる2010年半ば頃からは回復が期待できると思うのですが。それから、このセミナーで、梅本徹チーフFXストラテジストは、米国の量的緩和によるマネーサプライ(通貨供給量)の増加や新年度入り後の需給の変化により、「今後2-3週間で1ドル=95円、あるいは93円程度まで円が高くなる」との予想を示しました。非常に短期的な予想なので、当たるかどうか楽しみです。

2009年4月12日 (日)

第302話 「おかねのこねた」

4月12日付け日経ヴェリタス51面に「アルファブロガーの情報力」というコーナーで、春山昇華さんの「おかねのこねた」が紹介されています。春山昇華さんという名前は、もちろんペンネームですが、「サブプライム問題とは何か、アメリカ帝国の終焉」(宝島社新書)という書籍も出され、ブログ「おかねのこねた」では、プロの投資感覚や経験を活かした大局的な見通しを分かりやすく解説されており、人気のブログです。私も、プロを自称し、同じくをブログを公開し始めて丸1年経過しますが、春山昇華さんの「おかねこねた」のアクセス数には到底及びません。私も時々拝見しますが、内容の丁寧さには感心します。個人投資家にとっても、こうした情報に接することができるのは、有益だと感じます。しかし、春山昇華さんがこれほどコメントをされるとはしりませんでした。同氏が国内系ならびに外資系投資顧問会社でファンド運用を担当されていた時にお会いしたことがあります。正直、決して、運用で大成功とは言い難かったと記憶しています。しかし、名選手が名監督、名評論家ではないということもあります。春山さんは、そのケースかもしれません。最近、このブログでのコメントで、「評論ですよね」というコメントをいただきましたが、その通りだと思います。ブログで書けるのは、評論のみです。だから、客観的になることができ、春山さんのような運用している時とは、また異なったコメントが書けるのかもしれません。実践と評論の中間ぐらいが、現実にできれば、もう少しこのブログも成長できるのでしょうが。難しいです。

2009年4月10日 (金)

第301話 「為替変動の要因」

4月9日付けのブルームバーグ・ニュースによると、9日の外国為替市場では、カナダ・ドルが一時、米ドルに対して約2週間ぶりの高値を付けたとのことです。カナダの景気悪化ペースが緩和されつつある兆候や資源国通貨の見通し改善が背景です。カナダの2月の貿易収支は予想外の黒字になったことから、カナダ・ドルは2週連続で上昇しました。最近、為替の動きが変わりつつあります。ご存知のように、ドルも対円で大幅に戻しています。日本の貿易黒字が大幅に縮小し、最近では、更なる円安もありうるとの予想が増えてきました。ちょっと前まで、80円、70円といった予想が多かったことを思えば、すっかり様変わりです。カナダドルも貿易収支などの経済動向に素直に反応しています。これは、近年までのキャリー取引といった金利差という要因で為替が動いていた状態から、経済ファンダメンタルズに移行していることを示していると考えます。確かに、世界的に、金利差はほとんどなくなっており、もう変動要因としての注目度が落ちているわけです。これからは、マクロ経済のアナリストの皆さんの出番です。皆さんの意見に相場は耳を傾けていますよ。頑張れ。

2009年4月 9日 (木)

第300話 「赤字のメガバンク」

4月9日付けのブルームバーグ・ニュースによると、三井住友フィナンシャルグループは9日夕、2009年3月期の連結純損益が3900億円の赤字に転落したもようだと発表しました。出資先の英バークレイズなどの株式評価損や景気悪化に伴う不良債権処理の増加などが主因だそうですが、毀損する自己資本を補うため普通株発行で最大8000億円の増資に踏み切るそうです。赤字転落は05年3月期以来4期ぶりで、前期決算が赤字になるのは3メガバンクで初めてです。赤字の要因に、貸倒引当金などの与信関係費用(5500億円)で、保守的な対応をしたとも言えます。また、バークレーズ銀行への出資も含め、株式減損が2200億円になっています。しかし、りそな銀行の決算の際にも述べましたが、銀行経営は、預金を集めて、信用度に基づく貸すの原則さえ守っていたら、簡単なものだと思います。それは、経営者の質の低下で、不良債権を増やしたり、意味のない出資をしたりして、損失を拡大してしまう、非常に愚かなことと思います。特に、バークレーズ銀行への出資など、結局、純粋な投資目的以外、何もありません。ビジネス上のシナジーのようなもの、明確には現れていません。株主の意見が重視される今、現在の経営者で株主の信認を得られるのか、非常に疑問です。

2009年4月 7日 (火)

第299話 「ベアマーケット・ラリー」

4月7日付けのブルームバーグ・ニュースによると、昨年、他のヘッジファンド・マネジャーが軒並み損失を被ったなか利益を上げた資産家ジョージ・ソロス氏(78)は6日、米景気収縮が依然続いていることからみて、過去4週間の米株上昇は強気相場の始まりを意味していないとの見解を示しました。「われわれはまだ経済を立ち直らせていないので、ベアマーケット・ラリー(弱気相場の一時的反発)だ」と分析した上で、「現在の金融危機は私たちがこれまで経験したものとは異なる」と述べました。しかし、正直、こうしたことを真面目に語られても、というのが私の感想です。 ほぼ大半のマーケット参加者は、最近の株価上昇をベアマーケット・ラリーだと思っているからです。今更、あなたに言われなくて分かってます、というところでしょう。リーマンショックから簡単に立ち直れるわけがありません。しかし、マーケット参加者は、常に、市場に入っていなければいけません。ボトムから20数%の上昇を無視するわけにはいきません。このベアマーケット・ラリーでさえ、読みきってこそ、中長期的な上昇相場にも乗れることになるわけです。ソロスさんも、評論家的になってしまったのでしょうか。

2009年4月 5日 (日)

第298話 「ラップ口座」

4月5日付け日経ヴェリタス60面「個人投資家 七転び八起き」に中津川さんという主婦(実在ではないかもしれませんが)のポートフォリオが紹介されています。内容的はまあまあの資産家です。その中に、日興のラップ口座に関する記述があります。約2年前に始めた元本1000万円のラップ口座が、現在560万円、▲44%の状況にあるようです。日興の担当者からは「100年に1回のことが起きていますから」との紋切り型の回答で、一方で1%近い手数料を取られ、随分ご立腹のようです。このラップ口座、証券会社が従来の販売手数料型ビジネスから預かり資産に応じた手数料にビジネスを変えていくために登場したビジネスです。しかし、実際には、単なる投信販売の延長であり、また、相当な資産額がなければ、A定食、B定食的な決まった資産配分しか提示しない、サービスレベルの低い商品になってしまいました。そして、この金融危機、ラップ口座は、今後、見向きもされない商品になっていくかもしれません。そもそも、証券会社に中長期に顧客と向き合うような文化はありませんし、そうした営業マンは一切評価されない人事制度になっています。投資家側もそうした点を踏まえて、証券会社に合ったサービスを期待するべきだと考えます。

2009年4月 4日 (土)

第297話 「VIX指数に見る強気サイン」

4月3日付けのブルンバーグ・ニュースによると、4月3日の米国市場で、恐怖指数とも呼ばれるシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティ指数(VIX)が前日比5.6%低下し、今年1月以来初めて40を下回って、39.7で終了したとのことです。一方、S&P500種は3月9日に記録した12年ぶり安値の676.53から 25%値を戻しています。このVIX指数、ここ数ヶ月、低下基調でしたが、40以上で推移してきました。この30台に低下したことは、春先相場としては、かなり強気サインと考えてよいのではないでしょうか。ボラティリティ指数ですから、理屈的には上がるか、下がるかを示す指数ではありません。しかし、傾向として、下落相場では、大きく、短期的に下がり、上昇相場では、着実に、時間をかけて上がっていきます。従って、上昇相場では、VIX指数は、低下傾向にあります。SP500の安値が3月中旬につけた667ですので、+50%程度の1000ポイント辺りが、当面のターゲットと考えます。

2009年4月 1日 (水)

第296話 「適正な年収とは?」

4月1日付けのブルームバーグ・ニュースによると、野村ホールディングスが、旧リーマン・ブラザーズが独自採用した新入社員に対し、野村採用の2倍以上の額の初任給を支給することが分かった。世界的な金融危機で内外の金融界では再編が加速しており、統合企業同士の雇用条件の差や、それから生じる不調和などへの対応が金融機関経営者の課題となりそうとのことです。複数の関係者によると、リーマンが2008年9月15日の破綻より前に既に内定を出していた新卒採用者も1日から「野村の新入社員」となったが、野村は彼らに年収で650万円(プラス賞与)を支給する契約を結んだとのことです。一方で、野村側が採用した大卒社員は240万円(同)で、リーマン経由の社員はこの2.7倍の水準となっています。まあ、こういう話を取り上げるのもいかがなものかとも思いましたが、あまりにも馬鹿馬鹿しい話なので、書いてみました。そもそも、外資の論理とは、結果に対して正当な対価を払うです。日系は、逆に、正当な対価は払わないけれど、できるだけ、長い期間、面倒を見るというものです。しかし、新人に結果を判断するような実績はありません。従って、スタートは、いくらが妥当が分かりませんが、同じスタートラインのはずです。その原理原則も知らず、イメージで外資スタッフを管理できると思っている”あなた”、大失敗です。アーメン!

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