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2009年7月

2009年7月30日 (木)

第357話 「モノライン再び」

7月28日付けのウォールストリートジャーナル等の各英字新聞は、モノライン保険会社であるアンバックの信用格付けが、S&Pによって、ジャンク債であるCCに格下げされたことを報じています。これにより、クレジット・デフォルト・スワップ市場でもモノラインに対するスプレッドが大幅に拡大しています。言い換えれば、もう倒産だと市場では認識されています。ちょうど2年前ぐらいにモノラインという言葉も日本で知られるようになりました。モノラインは、米国の地方債の保証の他に、証券化商品の保証も行い、それが命取りとなりました。一旦、支援の動きから静かな状態でしたが、ここにきて、新たな展開です。もう、倒産だと思います。そして、これにより、米国の各州は、資金調達が困難になり、また、既存のアンバックの債券保有者は、大きな損失を被ることとなります。今日も、株価は上昇していますが、足下で起きていることに、注意を向けることが必要と思いますが。

2009年7月28日 (火)

第356話 「野村から消えるリーマン社員」

7月28日付けのブルームバーグ・ニュースによるtウォールストリート・ジャーナルは28日、野村ホールディングス(HD)のアジア部門のジャスジット・バータル会長が辞任すると報じました。バータル会長は米リーマン・ブラザーズ・ホールディングスでアジア地域の責任者を務めていました。同紙によると、野村HDによる昨年の買収以降に辞任するリーマン出身者の中で、バータル会長は最高幹部となります。しかし、このニュース以外にも、過去、リーマンの有力な人材が野村から逃げているとの報道があります。有力な人材が抜けることで、野村に残っているのはリーマンの兵隊ばかりです。これは何を意味するのでしょうか。野村は、破綻したリーマンの資産は買わず、人だけを買いました。世間では、非常にうまいディールだったと、評する人もいました。しかし、規模が拡大している時代ならともかく、市場が縮小している中、結局、単に、一気に大量の人材を採用しただけになってしまいました。そして、人件費が膨張し、大赤字。また、そもそも、日本の企業と投資銀行、感覚が違いすぎます。彼らは、莫大な経費を湯水のように使う文化の人、一方、野村は、経費を管理を細かく行う企業。これでは、馬鹿馬鹿しくて、優秀な人材が残るわけがありません。日本企業がアングロサクソン企業、特に金融会社を管理することは不可能だということが、改めて証明されたわけです。

2009年7月26日 (日)

第355話 「国際送金手数料」

7月26日付けの日経ヴェリタス52面に小さく、「国際送金、銀行以外が参入」という記事が掲載されています。送金業務を銀行以外の事業者にも開放する「資金決済法」が6月に成立し、来年にも施行されることが見込まれています。これを受けて、米国のウエスタンユニオン銀行が、来夏にも日本でサービスを開始することを計画しているそうです。現在、米国に1000ドル送金するのには、大手銀行で手続きをして、5000円以上の手数料がかかるそうですが、ウエスタンの場合、米国から中国に1000ドル送金して、16ドル=約1500円程度の費用で収まるそうです。個人の世界でも、海外での生活や、家族が海外に行く、買い物などなど、送金ニーズはあると思われます。それは、低コストで行われるのであれば、新たにビジネスが発生する可能性もあります。加えて、きっと、ネットでのサービスも検討されるでしょうから、より可能性は広がるでしょう。国内でも、最近は、送金手数料を無料してくれる銀行が増えています。物が動けば、お金が動くという意味では、逆に、お金がが動き易くなれば、物が動き易くなると、つながる期待もあります。益々、こうした新サービスで、新ビジネスが登場してほしいものです。そのためには、規制緩和は、やはり重要です。

2009年7月22日 (水)

第354話 「CIT破綻はあるか、ないか?

すいません、最近、本業が忙しく、ブログはサボりぎみです。さて、7月21日付けのブルームバーグ・ニュースによると、21日のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場では、米商業金融CITグループの社債保証コストが上昇しました。同社が額面1ドル当たり82.5セントでの買い戻しに応じるよう社債保有者を説得できなければ、破産法の適用を申請せざるを得なくなる可能性があると明らかにしたことが響いたようです。 同社は前日、債券保有者が30億ドル(約2800億円)の緊急融資の提供に合意したと発表しましたが、この日の債券投資家の間では、今回の融資はCITが債務を再編し、資金調達モデルを刷新するのに十分かどうかについて懐疑的な見方が強まりました。CITは、米国ノンバンク大手です。政府は、支援をしませんでしたが、規模的に、破綻しても問題ないと判断したようです。昨日は、とりあえず危機を乗り越えましたが、この記事からして、まだ、破綻の懸念があるようです。しかし、最近の株式市場は、猫の目のように強気と弱気が変わります。月初の弱気が、最近はすっかり強気。このブログにも書きましたが、強気にも弱気にもなり過ぎないことが、今は賢明です。このCIT問題も、安堵の次は、絶望を引き起こすかもしれません。4-6月決算でも、米国はデフレの傾向(売り上げ減だが、コストカットで収益増)です。CIT問題にも関係するように、中小企業では、資金の借り入れが困難になるかもしれません。まだまだ、楽観論は早いような。

2009年7月19日 (日)

第353話 「米銀の高額報酬」

7月19日付けの日経ヴェリタス71面に「米銀、高額報酬復活の危うさ」という座談会記事が掲載されています。ゴールドマンなど業績の回復に合わせ、再び、高額の報酬を支払いが行われており、世論の反発を懸念するような内容です。米銀の「強欲さ」の復活の様相です。このブログでも、今回の金融危機を「強欲危機」と非難してきました。金融マンは、特権のように常識はずれの高給を得て、また、限度なく追い求めた結果、サブプライム問題を引き起こしたというものです。しかし、嵐を過ぎ去れると、元に戻ってしまうなど、根深い問題が潜んでいることが分かります。一方、今回のゴールドマンの4-6月の決算を見る限り、トレーディングなどを中心とした利益が中心なので、顧客から搾取するような商品を売りつけた結果の収益が中心ではなさそうです。したがって、自分で自分の資産を使って儲けたのであれば、高額報酬をあまり問題することは、妥当ではないかもしれません。ただ、強欲さは、常に潜んでいますので、周囲もしっかりと監視していないと、また、悪さをするかもしれないと思われます。常にチェックする、社会的信頼を失った金融機関に対して行わなければいけないことです。

2009年7月16日 (木)

第352話 「銀行等保有株式取得機構」

7月16日付けの日経ネット・ニュースによると、銀行等保有株式取得機構は16日、主に銀行が保有する上場不動産投資信託(REIT)や上場投資信託(ETF)、優先株、優先出資証券を17日から買い取ると発表しました。初回の買い取り期間は10月30日まで。今国会で成立した銀行株式保有制限法改正に伴い、普通株に限定していた対象を大幅に拡大しました。さて、銀行等保有株式買取機構は、2002年1月に設立されました。当時、銀行の株式保有制限に伴って株式が大量に市場で売却され株価が下落する恐れがあったため、放出株の受け皿とし、大手銀行などが拠出金を負担しました。06年まで約1兆6000億円分を買い取り、その後、買い取った株式の市場売却を進めていましたが、昨年10月の政府の金融安定化策を受け一時凍結しています。今回、こうした普通株に加え、REITやETFまで買い取ることになります。一時的に需給関係を悪くせず、時間をかけて売却していこうという考えは、政府の行動としては正しいと考えます。しかし、2002年に設立され、そして、今回も、ということになると、銀行等の株式取得、ひいては、日本企業のエクイティファイナンスに疑問を持たざるを得ません。そもそも、消化しきれない株式残高が日本にあるのではないか、ということです。もっと企業は自社株買いを行い、健全なファイナンスを心がけるべきです。株式残高が身の丈以上ということは、世界の中で、日本株式市場は過大評価されている可能性もあります。日本株の不人気も、そうしたところからも来ているのかもしれません。ちなみに、私の大学時代のゼミ仲間が、同機構にみずほ銀行から出向しています。同氏によれば、どんどん、株式買取の持ち込みがあるそうですが。

2009年7月14日 (火)

第351話 「モルガンS投信 ジョン・アルカイヤ氏の予想」

7月14日付けのブルームバーグ・ニュースによると、モルガン・スタンレー・アセット・マネジメント投信のジョン R・アルカイヤ社長は14日午後、都内で開催されたセミナーで、「日本株は年後半の秋口ごろから本格的な業績相場になるだろう」と指摘し、景気回復局面にある中、景気敏感株である日本株は一番の買い時にあるとの見方を示しました。アルカイヤ社長は「7、8月は選挙などを控え、日経平均は 9000円から1万円のボックスで推移するだろう」と予想するが、選挙を引き金と考えている外国人投資家は多く、その後は上昇が見込まれるということです。セミナー資料によると、MSCIワールド・インデックスのセクター構成で、景気敏感株が占める割合は日本が63.1%と突出する一方、米国は44.3%、欧州は35.5%にとどまります。アルカイヤ社長は、「日本は巨大な景気敏感株。景気回復局面では、他市場に先駆け、株価の上昇が見込まれる」と話しました。私が、アルカイヤ社長と初めてお会いしたのは、1987年。 もう20年以上も前です。その当時は、モルガンスタンレー証券の外国株式セールス・ヘッドでした。日本が流暢で、その当時からやり手でした。その後、系列投信会社の社長に就任。実際には、運用担当で、グローバルな運用会議のメンバーでもあります。同社は、定期的にセミナーを行ってきていますが、アルカイヤ社長の予想(方向性)は、意外に結構、当たっています。そのせいか。信者も多く、この見通しに沿って行動する機関投資家もいるようです。そして、今回の強気宣言。年後半に上昇というのは、多くの人が期待する右肩上がりシナリオ。是非、実現してほしいものです。ちなみに、アルカイヤ社長を、麻布十番のやきとり屋で、時々、目撃します。蛇足でした。

2009年7月12日 (日)

第350話 「スパークスの試練」

7月12日付け日経ヴェリタス21面に「スパークス、20年目の試練」という記事が掲載されています。スパークスとは、元野村の阿部修平氏が設立した独立系資産運用会社です。2001年には上場も果たし、順風満帆でしたが、日本の小型株相場の急落と、金融危機で業績が急速に悪化し、昨今、リストラ、リストラを繰り返しています。加えて、そのリストラを通じて、主要なファンドマネジャーも退職し、運用会社としての評判も落ちてきています。設立20年目にして、回復のシナリオも明確には打ち出せず、大きな試練を迎えています。私も、丁度、90年代初めに、設立当初のスパークスと接触したことがあります。その頃としては珍しいブティック型運用機関で、銘柄選択を真に行う有望な運用機関だったと記憶しています。しかし、その後、ロングショート戦略の導入など、ヘッジファンド的な会社に変貌し、また、上場を意識してか、資産規模拡大主義や、成功報酬導入などの収益の急拡大主義に突き進みます。また、積極的な海外での企業買収などを行い、運用を行う会社から、運用をビジネスにする会社に変貌してしまいました。また、上場によって、阿部社長など、創業者に大きな収入が入ったことも、初心を忘れさせる方向に働いたかもしれません。海外でも、同様に、優秀な人達で作った会社ですが、上場などによって、目先の収益主義に気持ちが移り、失敗を繰り返している運用機関が増えています。最近、付き合いのあった会社では、米国のPzena(プジーナ)という会社も、バリュー運用機関として評判が高かったですが、スパークスのように同じ運命を辿っています。運用会社に求められるものは、①運用をすること(当たり前ですが)、②非上場会社であること(長期的な経営戦略のため)、③人を育てること、④哲学があること、⑤規模の拡大に走らないこと、この5か条だと思っています。私は、この5か条を守れる運用機関を高く評価しています。

2009年7月 8日 (水)

第349話 「景気ウォッチャー調査」

7月8日付けのブルームバーグ・ニュースによると、スーパーや家電量販店の店長、ガソリンスタンドの営業担当者など景気の動きを肌で感じやすい職業に就いている人の景気の現状判断は、6月に6カ月連続で改善したそうです。内閣府が8日発表した6月の景気ウオッチャー(街角景気)調査では、3カ月前と比べた景気の現状判断DIは42.2と5月の 36.7を上回り、2007年9月(42.9)の水準近くまで回復しました。ただし、景気判断の分かれ目となる50は27カ月連続で下回っています。2-3カ月先の景気を示す先行き判断DIは45.6と5月の43.3を上回っています。これは、政府によるエコポイントやエコカー減税の効果と思われます。ちょっと、景気二番底懸念が出ているだけに、非常に心強いニュースです。もちろん、50を下回っているのですから、喜んでばかりはいられませんが、良い傾向だと思います。下値圏では、変化率は大きなポジティブ要因ですから。しかし、このブログでも何度書いていますが、今の相場は、ボックス圏の様相を呈しています。良いニュースや悪いニュースが交互に出て、気迷いの雰囲気です。景気ウォッチャー調査は良いニュースですが、米国雇用統計は悪いニュースでした。こうした時期に注意すべきことは、メディアの情報に惑わされて、強気または弱気に偏らず、ボックス圏と言い聞かせることです。そうすれば、結構、儲かる相場のような気がします。方向感が無い証拠に、最近、ブログネタを探すためのニュースに、大したものがありません。世の中に変化が少ないことを示しているのかもしれません。

2009年7月 5日 (日)

第348話 「分散投資は死んでいない」

7月5日付けの日経ヴェリタス53面に「分散投資は死んだ?」という記事が掲載されています。年金積立金管理運用独立行政法人の2008年度運用結果が公表され、過去最大の9兆667億円の損失額であったことがわかりました。記事では、慎重な運営だったが、2008年度には、分散が効かなかったために、損失を被ったとしています。分散が効かなかった理由として、世界の多くの投資家が分散投資に走り、金融システム不安に直面して、一斉に資金を引き上げたからで、分散投資という「集中投資」の反動だと言っています。私としては、昨年、分散が効いていないという意見には反対です。昨年は、国内債券投資は、プラスの収益率でしたから。もちろん、国内株、外国株、外債、コモディティなど同時に下げたもののありますが、非常に短期的な話です。こんなことは、過去の急落時には、何度もありました。この記事に限らず、機関投資家の世界でも、「分散が効かない」など真面目に語っている人は多くいます。そうした近視眼的な議論を話題性だけで取り上げることに違和感を感じます。一方、問題点も浮き彫りになりしました。従来のポートフォリオ最適化は、どうしてもあるリターンを達成するための最小リスクを求めるようなプロセスでしたが、これでは、目標リターン水準次第で、どうしてもリスクが偏ったポートフォリオになってしまいます。これからは、リスク量から議論を始めて、十分にリスク量が分散されたポートフォリオを作成することを検討しなければいけません。現在、徐々に、機関投資家の間で、その考えは流行りつつあります。

2009年7月 3日 (金)

第347話 「米国株の失速懸念」

7月1日付けのブルームバーグ・ニュースによると、米国の地銀や住宅建設会社の株価は5月の高値から20%強下落し、輸送株は今年、前年比マイナス圏から抜け出せないでいるため、こうした状況はS&P500種株価指数の上昇が近く失速する前兆かもしれないとコラムで伝えています。 銀行株の下落はS&P500種の過去の下げ局面の前触れとなっていて、地銀株が昨年12月8日から28日間で51%の大幅安を演じたのは、S&P500種が12年ぶりの安値676.53まで売り込まれた28%の下落局面が始まる1カ月前だったそうです。また、地銀株が2007年2月に史上最高値を付けたのは、S&P500種が最高値を付ける7カ月前だったそうです。 確かに、4、5月の戻り相場から、米国株は失速しています。しかし、S&P500指数の水準は、まさしく、昨年末(903ドル)辺りが居心地が良いような動きとなっています。すなわち、今年1~3月の過度な悲観からの下げからは回復したものの、それ以上の反発は、実態経済および企業収益の改善が見れないと実現されないと言っているわけです。だからこそ、900ドルぐらいが居心地が良くなるわけです。4-6月期の企業業績が半ば以降、出てきますので、その結果以上に、今後の収益動向を占うようなことが、その企業業績から読み取れるかどうか、7月は、正念場の月となりそうです。昨年のような、「弱い夏」になってしまうのか、どうか。私は、今年度分ぐらいの業績回復を市場は織り込んだと思っているので、結論、横ばい系のレンジ相場だと考えています。為替と同じく、つまらない予想ですいません。

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