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2009年8月

2009年8月30日 (日)

第366話 「独立系投信の苦戦」

8月30日付けの日経ヴェリタス58面に「独立系投信、直販モデル曲がり角」という記事が掲載されています。レオスキャピタルの運用する「ひふみ投信」では、運用者の交代があり、また、かいたく投信では経営者の変更がありました。残高も伸びず、経営基盤が苦しいようです。私も、このブログで1年ぐらい前に、「おらが町の投信」プロジェクトに懸念を表明していました。すなわち、ファンド・オブ・ファンズでスタートした、かいたく、浪速おふくろ、らくちんの各投信会社です。これらは、さわかみ投信チルドレンとして、さわかみ投信の一つの販路として、設立されたといっても過言ではないでしょう。しかし、見事に、残高は伸びていません。特に、かいたく投信の前社長は、1年程度で、交代ですから、個人に長期での資産形成を訴える会社とは、思えない展開です。そもそも、ファンド・オブ・ファンズなど、投資対象として意味がないのです。コストだけ増えて、長期投資には合いません。また、日本の投信ビジネスは世界的に非常に独特で、投信会社が基準価額を最終的に計算する責任を負っています(海外では、外部のアドミニストレーター)。従って、どうしても、初期投資やランニングコストが高くなり、新規参入の障壁となるのです。そうした点も考慮して、自分の会社も長期的に経営しないと、長期的な商品は提供できないわけです。ちなみに、かいたく投信の前社長が、退任後、ブログを止めているように見えますが、これも残念なことと感じました。

2009年8月28日 (金)

第365話 「公的年金運用で4兆円超の収益」

8月27日付けの日経ニュースは、公的年金積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が27日発表した2009年4~6月期の運用実績によると、市場運用利回りは4.85%、運用収益は4兆4921億円となったと報じています。6月末の運用資産総額は約122兆円で、このうち市場運用分が98兆円を占めています。資産構成割合は国内債券が64%、国内株式が14%、外国債券が10%、外国株式が11%、短期資産が1%となっています。4~6月期の市場運用利回りはすべての資産で運用利回りがプラスになり、特に、国内株式が20%超、外国株式も17%超と収益回復のけん引役となりました。しかし、分母が100兆円ぐらいあると、4.85%の利回りでも、4兆円を超える収益を生み出すことを改めて感じました。実際、年金運用の世界では、利回りで物事を考える習慣があります。長期投資であれば、株式のリスクは取れるという議論も、この利回りで考えるからです。しかし、この金額ベースを忘れてしまうのは、年金においては、危険なことです。例えば、1年目に10%上昇して、2年目に10%下落した場合、最初の1000円は、990円になりますから、元の1000円に戻るためには、10円足りません。一方、1年目の終わりに新たに100円追加されると、2年目の終わりには、1080円になりますから、元の1100円に戻るためには、20円足りません。年金運用では、掛け金が新たに入金されるので、このように金額ベースではリスクが拡がる可能性があるのです。すなわち、運用が悪くなった場合には、より多くの金額ベースでの損失が生じる可能性があるわけです。率にとらわれすぎず、金額も重視しなければいけません。

2009年8月24日 (月)

第364話 「バイナリーオプション」

8月23日付けの日経ヴェリタス51面に「個人向けデリバティブ広がる」という記事が掲載されています。これは、FXオンラインが提供しているバイナリーオプションが個人投資家に広がっているとの内容です。バイナリーオプションは、二者択一のオプション取引で、例えば、今日の引値で日経平均が1万円を超えるか、超えないかを当てるオプションです。こうした設定価格を超えると思えば買い、超えないと思えば売りとなり、結果がすぐ出ます。こうした安易さで、個人投資家の参加が増えているとのことです。もちろん、設定価格を変えて、売りと買いを組み合わせるなどの少し高度な投資を行っている人もいるそうです。このようにデリバティブ取引は個人投資家にとって、もはや目新しいものではありません。CFDなども急速に普及しています。しかし、同時に、投機色も強まっています。レバレッジや、すぐ結果を求めるものなど、投機性の高い商品は、個人投資家を惹きつけます。逆に、機関投資家が投機的取引を減らしていることを考えていると、デリバティブ市場での個人投資家の位置づけは、現物市場と同様に今度高まることが予想されます。しかし、個人的には、オプション取引でほとんど儲かったことがありません。センスが無いのか、勉強不足なのか。

2009年8月20日 (木)

第363話 「ぼろ株相場」

8月18日付けのブルームバーグ・ニュースのコラムに、米ウォール街のアナリストの助言に従っていたら、70年で最強の上げ相場のなかで6000ドル(約57万円)の借金をすることになっていたとブルームバーグのデータからこんな結果が分かったと報じています。 データによると、シティグループやバンク・オブ・アメリカ(BOA)など10社以上が推奨していたのは欧州エネルギー株と米製薬株の買い、銀行株と小売り株の売りだったようです。相場上昇が始まった3月9日に1万ドルを使って最も買い推奨の多い業界の銘柄を買い、売り判断業界の銘柄を空売りした場合、現在は信用取引の収支が最大6000ドルの借り越しになっているとのことです。この要因は、業績と株価上昇が連動していないためです。S&P500種株価指数構成企業の中では第2四半期が減益だった企業の株価が過去1カ月で8.4%上昇し増益企業の7.2%上昇を上回っています。まさしく、「ぼろ株相場」なのです。こういう状況では、理性的な人は勝てません。一方で、逆張りとか、昨年負けた銘柄をずっと保有している人しか勝てないわけです。こういう事態に陥ると、本当にアクティブ運用機関に高いお金を払って運用してもらっていることに疑問を感じます。一体、何を調査・分析し、どのように運用に反映させているのでしょうか。「すいません、市場がアクティブ運用機関には、勝ちにくい状況でした」などと、説明する運用機関は、本当に早く辞めて下さい。

2009年8月16日 (日)

第362話 「超高速取引」

8月16日付けの日経ヴェリタス45面によると、フラッシュ・オーダーと呼ばれる超高速取引について、米国で規制の機運が高まっているとのことです。ナスダックは、9月1日付けでフラッシュ・オーダーを自主的に停止することを決定しました。フラッシュ・オーダーは、一定の料金を支払って契約した金融機関などの大口投資家に対して、他の投資家よりも0.03秒早く株式銘柄の気配値情報を提供するものです。大口投資家は、その情報を基に、超高速で株式の売買を執行し、利益を得るものです。これについて、市場取引の不公平を理由に、規制しようというわけです。確かに、ゴールドマンサックスなどは、こうした利益を得ているそうです。IT技術の進歩がこうした超高速取引を可能にしたわけで、規制は後追いで対応していくしかありません。不公平という錦の御旗の下では、後追いでも規制されるべきでしょう。しかし、市場は更に効率化されてきており、こうした0.03秒という世界にしか、他人を出し抜けることができなくなってきています。以前、日本の地場証券で自己売買を行っている人と話したときに、「個人のデイトレーダーとどこが違いのか?」と聞いたことがあります。答えは、証券会社の方が、一瞬早く、発注が成立するので、同じ情報を見ていても、その一瞬だけ、有利だとの答えでした(売買手数料は無視)。個人とプロ、その間には、ほとんど、差が無くってきているのでしょう。

2009年8月10日 (月)

第361話 「VIX指数が示唆するもの」

8月10日付けのブルームバーグ・ニュースによると、オプション取引では、米国株の上昇が9月は続かないと予想する向きが増えているとのことです。恐怖指数と呼ばれるVIX指数は、S&P500の下落に備えた保険として使われるオプションの費用に連動するため、同指数とS&P500種は通常、反対の動きをたどります。VIX指数先物(9月限)は現在、VIX指数を3.29ポイント上回っており、7月にはスプレッドが5.91ポイントまで拡大しました。 ランパート・インベストメント・マネジメントでオプション取引を手掛けるロナルド・エガルカ最高経営責任者(CEO)は「これは危険なサインだ」とし、「今後、ボラティリティが拡大すると市場関係者はみており、相場が下向きに動くことを示唆している」と述べました。どうも最近、世界的な株価上昇に懐疑的なもので、こうしたニュースに目が行きます。このニュースにしても、VIX指数先物の現状からコメントしているもので、突然に明日には事情が変わっているかもしれません。従って、いつも話半分で読むことが重要です。しかし、一方で、別にニュースによると、東証1部上場の今期経常利益成長率がマイナス6%程度との記事もありました。株式市場があまり先行しすぎて、業績回復を織り込みすぎているという感覚を裏付けるものです。VIX指数先物市場の参加者も同様な感覚を持っているように思うのですが。

2009年8月 8日 (土)

第360話 「伝説のファンド」

日興コーデュアル証券は、8月17日により、「日興SGレジェンド・イーグル・ファンド」の募集を開始します。当該ファンドは、米国の運用会社アンホールド&S.ブライシュローダー社のグローバル・バリュー・チームが行う新ファンドです。アンホールド社は、200年の歴史を誇るニューヨークに拠点を持つ運用会社です。かの有名な投資家、ジム・ロジャース氏も昔、この会社に勤務していました。運用手法は、「グレアム・ドット」流のバリュー株投資ですが、絶対リターンを重視し、現在のポートフォリオには、社債や金などにも投資します。代表ファンドである「ファースト・イーグル・グローバル・ファンド」は、過去30年間で3回しか、マイナスになったことがありません。こうしたファンドに非常に興味を覚えます。日本では、どうしても限定的な運用会社の商品にしかアクセスできません。しかし、世界には数多くの優秀な運用機関が存在します。それもヘッジファンドのような突然出現したというわけではなく、長く運用業界で戦ってきた運用会社です。もっと、もっと新しい運用会社を日本に紹介し、運用業界を刺激していけば、1500兆円の個人資産も動くのないでしょうか。いつもフィデリティ、モルガンスタンレーやJPモルガンで飽きてしまいます。

2009年8月 4日 (火)

第359話 「TOPIX 13連騰」

8月4日付けブルームバーグ・ニュースによると、東京株式相場は上昇し、TOPIXは13連騰となりました。米国の供給管理協会(ISM)製造業景況指数の改善や国際商品市況の上昇から、商社や海運など資源関連株の一角を中心に買われ、また、電気・ガスや陸運など出遅れ内需関連も堅調でした。また、8月3日のニューヨーク株式市場も高値更新し、S&P500指数は、1,002で引けました。このブログでも、4月4日の第297話で、S&P500の戻りの目処を1,000とみましたが、ついに到達しました。これで、3月の安値から50%の上昇です。個人的には、これで到達感ありと考えています。もちろん、市場には、多くの楽観論があり、明日以降もある程度上昇するかもしれません。しかし、テクニカル分析や需給分析に頼るのではなく、シンプルに今年の企業業績はどのぐらい戻るのであろうかと、考えるべきではないでしょうか。日本株の場合、すでに、3月末から20%強上昇しています。今期は、これに見合うほど、収益はアップするでしょうか?また、更に上昇を続けるとすれば、これ以上の高い率で、収益はアップするでしょうか?法人企業統計で、資本金10億円以上の大企業の経常利益成長率を見ると、80年代以降、30%台の成長率を記録したことはありません。高くて20%台です。また、売り上げの伸びがマイナスで、経常利益が伸びたのは、1999年度と2002年度のみです。こうした点からも、戻りの達成感を感じるしだいです。

2009年8月 2日 (日)

第358話 「FSAによる人材規制」

天候不順が続き、1993年の米騒動を思い出します。この天候ですと、体調維持にも苦労します。皆様も、体調には十分にお気をつけください。さて、8月2日付けの日経新聞によると、英国の金融監督当局である金融サービス機構(FSA)は、外国金融機関で働く人材の適性審査・認可基準を厳しくするとのことです。新たに英国外に居住する本店の担当役員や、トレーダーも対象に加えるほか、一部役職者には面談も実施し、職務遂行能力や責任能力などを審査基準として重視します。欧州以外の金融機関が受ける影響が大きく、邦銀などの間に波紋が広がっています。これは、リーマン問題で、英国拠点が破綻直前に、ニューヨーク本店に多額の資金を送金し、その後の英拠点の債権債務の処理に支障をきたしたことが制度導入のきっかけとなったようです。しかし、これが日本の金融機関に厳格に適用されると、人事問題に大きく影響するかもしれません。そもそも、未だに、日本の金融機関の出世の論理は、こうした審査基準と相容れるものではありません。社内調整がうまいとか、目立った罰点がないとか、何年経ても、変わっていません。本当に、意外ですが。だから、さすがに英語のしゃべれない人が海外業務担当になることは稀ですが(あまりしゃべれない人は今でもいますが)、業務に精通している人は少ないことがよく見受けられます。かつて、大和銀行問題でも、管理者はほとんど問題をきちんと認識できていなかったとも言われています。8月6日から規制導入ですが、来年3月までの人事異動に影響が出るかもしれません。正直、人事施策を見直す良い機会だと思います。

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