« 第382話 「インサイダー事件」 | トップページ | 第384話 「JAL年金削減について」 »

2009年11月22日 (日)

第383話 「日本株低迷:経営者の質とIRの向上」

11月22日付け日経新聞1面「企業 強さの条件」という特集記事に、最近の日本株低迷と機関投資家による日本投資比率引き下げについて掲載されています。年初からの日経平均株価の上昇率は7%。一方、中国やブラジルは8割前後、米独仏などの先進国でも2割近くの上昇率で、日本の低迷が際立っています。カーライルグループの日本代表は、「日本企業は意思決定が遅く、海外投資家は関心を失いかけている」と厳しいコメントを載せています。そうしたマネーの日本離れを食い止めるため、IRのあり方を検討するディスコ会長の話なども紹介されています。私も、仕事がら顧客に資産配分についてアドバイスを提供することがありますが、最近では、日本株と外国株という今までの概念から、グローバル株という概念に変更するように勧めています。今までは、株式投資の内訳として、日本株60%、外国40%が一般的でしたが、これをグローバル株の観点に変えると日本株は全体の10%程度に大きく減少します。この考え方は、じわじわと広がってきていて、一つの日本株売り要因になっているかもしれません。しかし、こうした日本株離れの要因として、私は2つ挙げたいと思います。一つは経営者の質、もう一つはIRです。経営者の質としては、最近、某地方で、日経225にも採用されているスーパーの会長と財務担当役員にお会いする機会がありました。その会社のPBRは0.5倍です。私は、その点について話したところ、財務役員は、怒りはしないものの、明らかに不愉快な雰囲気で「株価はPBRだけで決まるわけではないでしょう」と発言されました。会長は、機関投資家による安定株主作りこそ株価回復の切り札のような発言です。まったく呆れました。日経225に採用される日本を代表する企業が、自分達の会社の企業価値向上に真正面から向き合っていないという事実です。PBR0.5倍とは、買収される可能性もあるわけで、真剣に、何をすれば企業価値を高められるか、早急に検討すべきであるのに。こうした経営者の質の低迷が、日本株低迷と直結していることを理解すべきです。そして、企業価値向上の方策を立てたら、それを投資家に分かってもらう対応をすべきです。それがIRです。しかし、今のIRは、広告のような発想で、資料の見てくれを良くしようとか、証券会社に頼んで、適当にアポの入る内外機関投資家に会いにいくだけです。私の友人が、ちょっと違ったIRコンサルティング会社を経営しています。例えば、何か新しいお菓子を売る場合、どの年齢層に売れるのかなどの消費者の動向調査を行うことは普通に行われています。しかし、IRでは投資家の行動や嗜好を調査することをしている会社はほとんどありません。例えば、企業の成長力に注目する投資家に、収益の安定性や割安性が自慢の会社がIRに行っても、投資してくれる可能性はかなり低いと言えます。また、仮に、その会社について、投資家がROEに注目していたとしいたら、IR的には、ROEの改善や将来見通しを伝えることが重要ですが、全くことなる経営指標を強調しても的外れになります。こうした面を補強するため、私の友人の会社は、世界の機関投資家の投資行動を調査し、また、対象となる日本の企業の株価特性を分析し、株価に直結するIRコンサルティングを提供しています。こうした努力もしないと、日本から投資マネーが逃げていくことを止めることはできないでしょう。頑張れ、ニッポン。

« 第382話 「インサイダー事件」 | トップページ | 第384話 「JAL年金削減について」 »

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/512329/46827957

この記事へのトラックバック一覧です: 第383話 「日本株低迷:経営者の質とIRの向上」:

« 第382話 「インサイダー事件」 | トップページ | 第384話 「JAL年金削減について」 »

最近のトラックバック

無料ブログはココログ