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2009年11月

2009年11月29日 (日)

第385話 「ETF以外の投信を買ってはいけない」

11月29日付け日経ヴェリタス52、53面に「忙しい人こそ長期・分散投資」という特集が掲載されています。内容は、あまり大したことは書いていません。リスク・リターンの観点から、分散投資を行い、尚且つ、コストの低いインデックス型の投信を使いましょうというものです。基本的にこの考え方に異論がありませんが、低コストのインデックス型投信のうち、ETF以外のいわゆる公募の投信を買うことがお勧めできません。正直言って、まだまだ高いと言わざるをえません。例えば、比較的安いと評判の住信アセットが運用する「STAM TOPIX インデックスオープン」でも、0.46%かかります。これは機関投資家世界では4~5倍ぐらい高い費用です。まだまだ、個人は損をしているとうわけです。加えて、最近のデフレです。モノの値段は、大きく下がっているのに、なぜ、金融商品だけは高いままなのでしょうか。インデックス型はまだ良心的ですが、多くの投信は、1.5%前後の報酬が必要でう。▲2%の物価上昇率の時代に、異常に高いと言わざるをえません。こんなものを証券会社や銀行にだまされて購入している個人にも責任があります。もちろん、情報の非対称性という問題もあり、個人が分からず購入しているかもしれませんが、それはそれで、金融商品取引法上、問題です。アクティブ投信の適正水準は、一律には言いがたいですが、概ね、0.6%~1.0%だと考えます。これは、機関投資家への適用報酬と投信のコストを考慮したものです。言い換えれば、運用報酬で、1%以下でなければ、デフレ時代の期待収益率に見合わないと考えます。運用会社は、高い丸の内、大手町などを離れ、安い賃料のオフィスに移り、人件費も抑制し、良質で安い運用商品を提供する努力を行うべきです。銘柄選定では、経営者にそういう点を求めているわけですから、まず、自ら手本を示すべきです。

2009年11月23日 (月)

第384話 「JAL年金削減について」

11月23日付け各メディアによると、JALは、OB向けに説明会を開催し、年金削減に至る経緯に関する初の説明会を開催しました。説明会では、削減幅について具体的には語られなかったようですが、新聞等によると、OB3割、現役5割の削減を計画しているようです。これは、運用利回りを現在の4.5%から1.5%に3%引き下げられるためです。年金の計算については、第378話にも書いています。http://fundbuster.cocolog-nifty.com/blog/2009/10/378jal-3254.html

元々、退職時にもらう退職金に金利をつけて分割払いするので、金利が下がると年金の減額となるわけです。しかし、インタビューを受けるOBには誤解をしている人も多く、「退職金でもらえばよかった。年金にして減額されるとは」と文句を言っている人がいましたが、それは大きな誤解です。退職時に確定している金額が減っていません。付与される金利分が減っただけです。そもそも、市場金利がゼロ%に近いところで、4.5%という高金利を享受してきたのですから、文句を控えめにした方が良いでしょう。しかし、年金減額について、JAL経営陣は、方法を間違ったと言えます。こうした緊急事態ですから、仕方ない決定なのですが、OBに対しては、全国で、何度も説明会を行うなどを、これまでも行ってこなければいけなかったのです。それを先送りや避けてきたために、現在のこうした複雑骨折になってしまったわけです。現在、双方には、大きな溝と不十分な理解という状況にあります。今からでも間に合うので、経営者は、全国行脚を行い、説明を尽くすことが重要です。

2009年11月22日 (日)

第383話 「日本株低迷:経営者の質とIRの向上」

11月22日付け日経新聞1面「企業 強さの条件」という特集記事に、最近の日本株低迷と機関投資家による日本投資比率引き下げについて掲載されています。年初からの日経平均株価の上昇率は7%。一方、中国やブラジルは8割前後、米独仏などの先進国でも2割近くの上昇率で、日本の低迷が際立っています。カーライルグループの日本代表は、「日本企業は意思決定が遅く、海外投資家は関心を失いかけている」と厳しいコメントを載せています。そうしたマネーの日本離れを食い止めるため、IRのあり方を検討するディスコ会長の話なども紹介されています。私も、仕事がら顧客に資産配分についてアドバイスを提供することがありますが、最近では、日本株と外国株という今までの概念から、グローバル株という概念に変更するように勧めています。今までは、株式投資の内訳として、日本株60%、外国40%が一般的でしたが、これをグローバル株の観点に変えると日本株は全体の10%程度に大きく減少します。この考え方は、じわじわと広がってきていて、一つの日本株売り要因になっているかもしれません。しかし、こうした日本株離れの要因として、私は2つ挙げたいと思います。一つは経営者の質、もう一つはIRです。経営者の質としては、最近、某地方で、日経225にも採用されているスーパーの会長と財務担当役員にお会いする機会がありました。その会社のPBRは0.5倍です。私は、その点について話したところ、財務役員は、怒りはしないものの、明らかに不愉快な雰囲気で「株価はPBRだけで決まるわけではないでしょう」と発言されました。会長は、機関投資家による安定株主作りこそ株価回復の切り札のような発言です。まったく呆れました。日経225に採用される日本を代表する企業が、自分達の会社の企業価値向上に真正面から向き合っていないという事実です。PBR0.5倍とは、買収される可能性もあるわけで、真剣に、何をすれば企業価値を高められるか、早急に検討すべきであるのに。こうした経営者の質の低迷が、日本株低迷と直結していることを理解すべきです。そして、企業価値向上の方策を立てたら、それを投資家に分かってもらう対応をすべきです。それがIRです。しかし、今のIRは、広告のような発想で、資料の見てくれを良くしようとか、証券会社に頼んで、適当にアポの入る内外機関投資家に会いにいくだけです。私の友人が、ちょっと違ったIRコンサルティング会社を経営しています。例えば、何か新しいお菓子を売る場合、どの年齢層に売れるのかなどの消費者の動向調査を行うことは普通に行われています。しかし、IRでは投資家の行動や嗜好を調査することをしている会社はほとんどありません。例えば、企業の成長力に注目する投資家に、収益の安定性や割安性が自慢の会社がIRに行っても、投資してくれる可能性はかなり低いと言えます。また、仮に、その会社について、投資家がROEに注目していたとしいたら、IR的には、ROEの改善や将来見通しを伝えることが重要ですが、全くことなる経営指標を強調しても的外れになります。こうした面を補強するため、私の友人の会社は、世界の機関投資家の投資行動を調査し、また、対象となる日本の企業の株価特性を分析し、株価に直結するIRコンサルティングを提供しています。こうした努力もしないと、日本から投資マネーが逃げていくことを止めることはできないでしょう。頑張れ、ニッポン。

2009年11月15日 (日)

第382話 「インサイダー事件」

またまた、本業で忙しい1週間を過ごしました。ブログのアップも滞りぎみで、心苦しいです。とは、いいながら、市場は、横ばいを続けており、ニュースを見渡しても、あまり興味深いものが見つからないのも正直な感想です。1年前の大混乱で谷底に落とされ、山道を一所懸命に登って、今、ちょっと、平地にたどり着いた感じでしょうか。この1週間で、幾つか気になった情報では、米国公的年金のカルパースが、1年前に投資したクレジット投資を利喰ったとの話がありました。クレジットもそろそろ正常状態に近いということです。一方で、モノラインが経営に対して改めて懸念が出ています。最後に、ここ2週間ぐらい注目されているのが、インサイダー事件です。11月15日付けの日経ヴェリタス48面において、「米インサイダー事件拡大、ヘッジファンド業界打撃」という記事が掲載されています。ガリオン・グループに続き、インクレメンタル・キャピタルというトレーディングキャピタルによるインサイダー事件で、逮捕者がでたことです。しかし、米国操作の凄いところは、盗聴という手法が用いられていることです。これで、インサイダー情報を入手したところを押さえてしますわけです。ヘッジファンドは、マドフ事件のような詐欺に続き、またしても信用を失墜してしまう自爆行為を行ってしまいました。これは、2000年代に入って、機関投資家の大きな資金が入り、収益チャンスが欠乏したことが、大きなリスクや不正に走らせる一つの要因になったのかもしれません。「適応的市場仮説」というものがあります。ダーウィンの進化論のように市場を説明するものですが、まさしく、ヘッジファンド業界はこの仮説に当てはまるものです。一方、日本でも、PEファンドのユニゾン・キャピタルのパートナーによるインサイダー事件が話題となりました。当該パートナーはすでに死亡しており、当局による捜査は行われていないようですが、ユニゾン独自の第三者委員会調査が年内ないしは年明けまでに終わるそうです。同社は、取引禁止銘柄は指定していたものの、従業員の株式取引は禁止していなかったとのことです。おそらく、このパートナー、金銭的には比較的恵まれていたのではないかと想像しますが、なぜ、こうしたことをしたのか理解に苦しみます。個人的なことですが、私は、投信またはETF以外の取引を自粛しております。運用の世界に関わるものは、それなりの自己規律が求められるのだと思います。非常に、悲しいかぎりです。

2009年11月 6日 (金)

第381話 「失業率と配偶者控除廃止」

11月6日付 Yahoo USのfinacial newsによると、日本時間11月6日午後10時30分に発表された10月の米国雇用統計では、失業率が1983年4月以来26年半ぶりの最悪である10.2%に上昇しました。非農業部門雇用者数も19万人の減少と市場予想を下回りました。雇用は景気の遅行指数とも言われますが、二桁の失業率は、改めて末端での経済情勢が厳しいことを物語っています。これでは更に消費抑制効果が働くことになりますし、経済にはマイナスの影響となるでしょう。さて、こうした失業率の悪化ですが、日本でも更に悪化することが予想されます。加えて、ご存知の方が教えて欲しいのですが、現在、配偶者控除廃止の議論があるのですが、これは失業率悪化を助長しないでしょうか?すなわち、配偶者控除を維持するために、配偶者が103万までのパート収入で抑えてきた家庭が、配偶者控除廃止ということで、パートから正規の雇用を探し始めます。すると、求職者数の分母が増えますが、現在の経済環境からして、雇用される数が増えないと失業率が高まるように思うのですが。これは、まさしく負のスパイラルの予感です。失業率の動向に注目したいと考えます。

2009年11月 1日 (日)

第380話 「JAL再建問題。余談ですが」

11月1日付け日経ヴェリタス14面に「日航再建、既存株主に痛みも」という記事が掲載されています。タスクフォースの資産査定によると実質債務超過ということですから、100%減資も理論上ありうるというこです。JAL再建問題は、チーム前原と呼ばれるJALタスクフォースから企業再生支援機構に委ねられました。結局、タスクフォースは何も結果を出さなかったなどと一部で批判もされています。もちろん、法的根拠があいまいなタスクフォースでしたから、仕方ないと言えばそうなんですが、割り切れないものもあります。ちょうど、昨日、夕方に銀座のスターバックスにいると、隣に30才ぐらいの独身男性3人が座りました。どうもこれからハロウィンパーティーという名の合コンに行くらしい。近況を話し合う3人のうち、どうも2名がJALの社員らしく、「タスクフォースの資産査定に協力して、結局、何もなし。高木さん(タスクフォースのヘッド)も怒っていたよ。この後、支援機構がまた独自の資産査定に入るから、また、一から協力しなければ、ならない。従業員のこうした時間も考慮してほしいよね。」と話していました。外でこんな話をしているのは、いかがなものか、という気持ちになりながら、聞き続けてしまいました。「俺たちも、年収カットされて、大変。世間でいう負け組なのかな。でも、自分達は、金よりも、これだけの大きな仕事に立ち向かっているわけだし、やりがいもあるよ」。最後に、良い発言を聞いたのでホッとしました。どういう支援を受けても、立ち直るには、従業員の努力が必要。若い世代で、是非、JALを再建してください。

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