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2010年11月17日 (水)

第400話 「投信の分配金競争」

11月17日付けの日経ニュースによると、投資信託の運用収益を還元する分配金利回りを巡って、運用会社の競争が過熱しているとのことです。リスクの高い海外不動産や外債などで運用して高額の分配金を出す投信が急増しており、公募投信全体の10月の平均利回りは7.0%と、約3年ぶりに過去最高を更新しました。投信の高分配競争が激しくなるなか、過去の運用益の取り崩しや元本の払い戻しなどで「実力以上」の高分配を維持している商品もあるそうです。

私の業界に身をおく一人として、いささか現状は異常だと思います。通常、投信は、1万円の額面に対して、いくら払うという表現を使いますが、主流である毎月分配型で100~150円ぐらい出さないと売れないと言われてきています。年率利回りは、10%台半ばということになります。ゼロ金利の状態からすると異常に高いと言わざるを得ません。どうしてこのような分配金を出せる仕組みになっているのか?それが、これまた、最近流行の通貨選択型投信です。すなわち、高金利のブラジルレアルや豪ドルなどの通貨を買う、いわゆるキャリートレードを行って、金利差を稼ぐわけです。この通貨選択型と実際の有価証券の投資対象で、ハイイールド債やREITなどを購入するわけです。しかし、ハイイールド債など、投資する証券は何でも良いのです。とにかく通貨選択型に仕組んで、分配金を高くすることが運用会社の狙いです。

今や、通貨選択型にして、分配金を100円超にしないと売れません。証券会社も普通の投信からこれらの投信に乗り換えを勧めていると聞きます。投資家、これはお年寄りに限らず、毎月、分配金が入ったという証券会社からの通知を見ると嬉しいと感じるので、売る側と買う側の利害が一致しているという不思議な状況なのです。

しかし、実態は、タコ足配当になっているファンドもあります。日本の投信会計では、分配原資内でしか配当できませんが、最近では、構造上、外国籍投信を使って、いくらでも配当できるようにしている投信もあります。また、売り手である証券会社や投信会社も、電卓片手に、「100円×12ヶ月÷10,000円」は何%になりますか?などと、分配金利回りの高さだけを売りにしている、営業が横行しています。

何も知らない個人のポートフォリオは、ブラジルレアルなどの偏った通貨だらけになっている可能性があります。売り手側は、歴史を繰り返さず、もう少し顧客のポートフォリオ構成を考えた投信営業を行うべきだと思います。自ら、市場を壊すのも、いい加減にしてほしいものです。

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» 高分配金ファンドに資金集中 [金融起業家 河合圭のオフショア投資ブログ]
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