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2010年12月

2010年12月29日 (水)

第422話 「年金担当者のモラル」

年金情報という専門誌があります。その最新号(ウェブ版)に、長野県建設業厚生年金基金に係る横領事件の記事が掲載されていました。まず、厚生年金基金について説明します。サラリーマンの皆さんは、国民年金と厚生年金という公的年金に入っています。それに加えて、働いている企業から独自の企業年金が上乗せされる場合があります。この制度、50年ぐらい前から始まったのですが、最初は、年金を始める企業を増やすために、何かインセンティブを与えようということで、公的年金である厚生年金の掛け金の一部を企業年金と一緒に合わせて運用できる制度にしました。これが厚生年金基金です。したがって、厚生年金基金は、国の年金と一部と企業年金を合わせて、企業側が運営するものです。厚生年金基金は、単独の企業で設立する場合、ある企業とその子会社等で設立する場合と、同業種の中小企業が集まって一緒に設立する場合があります。厚生年金基金は、企業とは別の組織として設立されます。

さて、今回問題となった長野県建設業厚生年金基金は、上記の分類では同業種の中小企業が集まって設立したケースです。組織自体は、非常に小さくて、通常は、常務理事と呼ばれる常勤の役員さん、事務長という実務責任者と、事務員で運営しています。しかし、年金資産の額は、通常、数百億円となり、この場合でも、200億円程度の資産があったそうです。正式な意思決定は、理事会や代議員会といった母体となる中小企業の代表者の参加する会で決定しますが、ほとんど、追認程度で、実権は、この常務理事や事務長が握っています。今回のケースでは、この常務理事を置いていなかったので、事務長のやりたい放題でした。そして、21億円もの大金が消えて、そして、この事務長も行方不明になっています。1割の資産がなくなったために、将来の年金を支払うことができるか、混沌としています。

しかし、21億円もの大金が誰のチェックも受けずに自由にできるとは、本当にずさんな体制だったことは言うまでもありません。また、年金の運用は、投資顧問会社や信託銀行に委託するのですが、この事務長、その運用機関の選定でも、賄賂を受け取っていたのではないかという疑いを持たれています。近々、警察の調査が入るでしょうが、この基金に採用されている投資顧問会社の担当者は、今頃、眠れない夜を過ごしているかもしれません。特に、最近は、過剰な接待を年金基金担当者に行う例をよく聞きます。キャバクラ、そして、*****(書けません)という、信じられない話です。従業員の大切な年金を使って、こうしたモラルに欠けたことが横行していることに憤りを感じます。

この事件をきっかけに、年金担当者と金融機関のもたれあいが改善されることを祈ります。

2010年12月26日 (日)

第421話 「Twitterと株式投資」

12月23日付けのGlobal Pensionsという英語ニュースによると、ロンドンにあるダーウェント・キャピタル・マネジメントという新興のヘッジファンドが、Twitterのつぶやきを投資判断に用いるという手法を採用しています。Twitterの相場に関するつぶやきから、いくつかの言葉に注目し、市場が弱気、強気というセンチメントを把握するというものです。仮に、強気のセンチメントであれば、悪いニュースが出ても相場は意外と堅調な動きをします。同社によると、通常、センチメントの変化は、2日~6日後に、市場の動きに現われるという傾向があり、87.6%の確実性で、市場の動きを予想しているそうです。

これに似たニュースをテレビで見ました。海外では、アルゴリズム・トレーディングで、Twitterのそうした言葉を瞬時に集計して、活用するプログラムが開発されているそうで、多くの金融機関が導入を検討しているとのことです。非常に興味深い進歩だと思います。Twitterという誰でも、今の気持ちを伝えるツールが生まれたのが、大きな要因です。少なくとも、当面は、この手法を活用することで、利益を生み出すことが可能なのでしょう。しかし、これも最終的には、このまた裏をかく手法を思いつくのですから、効果が薄れていく日は早晩来ると思います。

それにしても、高速、情報、システムは、成功の鍵と言えそうで、個人投資家には、やりづらい環境かもしれません。

2010年12月23日 (木)

第420話 「為替相場」

日経ニュースによると、22日のニューヨーク外国為替市場で円相場は小幅に3日続伸し、前日比20銭円高・ドル安の1ドル=83円50~60銭で取引を終えました。根強い欧州の財政・金融不安などを背景に円が対ユーロで上昇し、対ドルでも円買いが優勢となったとのことです。

最近、ある年金基金の担当者と話した際、先方は、「米国の長期金利も上がってきたし、金利差から考えれば、80円台のドル円は、底と考えていい。為替ヘッジを外すのが得策だ」とおっしゃっていました。私自身が、為替のプロではありませんので、この見通しが正しい、正しくないとコメントできませんが、この金利差だけに注目したコメントはいかがなものかと思います。確かに、為替専門家は、日米2年債金利差とドル円レートのチャートを出して、もっともらしく解説される方がいます。しかし、金利差で説明つかない時期も明らかにあるのですが、その時は、別のチャートを用意して、また、もっともらしく説明します。結局、常に市場の動きを説明できるものはないと考えるべきです。事実、最近は、この2年債金利差でうまく説明ができていません。

基本的に重要な要因は、需給だと考えます。やはり、量的緩和の度合いが圧倒的に米国の方が大きいので、ドル安傾向だと考えるべきではないでしょうか。今は、年末の特殊要因や、欧州不安のあるユーロ安の影響で、ドル円は静かですが、個人的には、ドル安傾向は変わっていないと考えています(外れたら、ごめんなさい)。

2010年12月20日 (月)

第419話 「年金の物価スライド制」

政府は20日、5年ぶりに2011年度の公的年金の支給額を引き下げることを決定しました。消費者物価指数(CPI)の低下に伴い、来年度6月支給分から0.3%程度引き下げられる見通しです。これによって、国民年金で年間2400円程度、支給額が減ることになります。年金生活者にとっては、たとえ小額の減額でも、反対したくなる内容でしょう。しかし、これは、ルールとして決まっていることです。おそらく、インフレによる年金額を目減りを防ぐ方が、本当の主旨だったのでしょうが、現在のデフレ下では仕方ないことです。仮に、物価スライドをしなかった場合には、300億円の追加的な財政負担が必要だったとのことです。

しかし、年金問題は、全く解決の糸口は見えません。民主党も年金を本当に分かっている人がいないようです。このまま現在の制度が維持できないことは明白なのに、何の案も出てきません。年金は、新制度以降に時間がかかるので、早急に具体的な案を専門家を交えて議論しないと、結論が出るまでに破綻決定になってしまうかもしれません。

そこで、抜本的解決の前に、その場しのぎとして、こういう案はどうでしょうか?

①一時金払い:年金で払うのではなく、60才や65才で、今の制度の下、将来もらう年金の現在価値分を一時金で支払います。これで、予定利率コストを減らすことができます

②年金支給の外貨選択性:円で支払われる年金を、受給者が事前に登録した通貨で受け取れるようにします。例えば、私は、将来、海外で生活したいからドルで受け取りたいとという具合で、最近は、ニーズが多いと思います。外国の金利の方が高いですから、それで運用してそのまま支払いに回すことで、運用が楽になります(現在も外国債券などに投資していますが、最終的に円に戻す必要があるので、為替損やヘッジコストで、利回りが低下しています)

是非、厚生労働省の方、検討してみてください。

2010年12月19日 (日)

第418話 「J-ボンド」

日本経済新聞社は投資家の人気と運用の効率で2010年に最も健闘した投資信託を選ぶ「日経ヴェリタス投信番付」をまとめました。首位は、国内の債券で安定運用する商品として、ニッセイアセット・マネジメント社の「"J-ボンド" ニッセイ日本インカムオープン」が選ばれました。この投信、分配金は月15円と、最近流行の通貨選択型には到底及びませんが、円建てであるとことや、日本の債券であることから、銀行定期預金の代わりとして評判が高く、特に、銀行で取り扱うところが増えています。

さて、このJ-ボンドですが、これからも買っていいでしょうか。答えは、"う~ん"だと考えます。この投信は、①投資対象は、国内の社債、国債等。ただし、直近のレポートでは、90%は社債(公団などの特殊債券を含む)に投資しています、②ラダー型のポートフォリオを構築。すなわち、1年、2年~10年満期といったぐあいに、満期毎に均等に購入します。11月のマンスリーレポートによると、平均格付け、AA-、平均デュレーション4.78年、平均最終利回り0.76%、平均クーポン1.81%、平均直利1.71%となっています。また、信託報酬は0.85%(税前)です。

これらの情報から、①毎月15円、年間180円の分配金、すなわち1.8%の平均クーポンを得るために、オーバー・パーの社債でポートフォリオを作っている、②しかし、この平均クーポンだけでは、信託報酬の0.85%は賄えないので、金利が低下してキャピタルゲインを得るか、元本を喰わないと帳尻が合わない、③オーバーパーの債券なので、満期時に償還損が発生する。これは、後々、基準価額を引き下げる、④ラダー型運用なので、満期になるごとに、債券の入れ替えを行わないといけない。現状のように債券利回りが低下してきているので、入れ替えると利回りが低下してしまう。したがって、平均利回りが低下する。

こうした観点から、①金利の穏やかな上昇を願う。急激に上がると基準価額が一時的に大きく下がるが、徐々に上昇することで、見た目を傷つけずに、利回り維持ができるかもしれない、②分配金を下げて、安定運用を目指す、の2つの可能性を考えます。低金利下で、リスクを取らずに、ミラクルを起こすことはできません。

2010年12月16日 (木)

第417話 「相続税の増税」

日経ニュースによると、2011年度税制改正大綱は相続税について、2600億円超の増税を富裕層に求めることとなりました。遺産から差し引いて税負担を軽減できる基礎控除の額を4割削減し、最高税率も現行の50%から55%に引き上げるそうです。一方、贈与税は減税されます。

菅内閣は、低支持率で大苦戦中です。なんとか、経済を盛り上げて、支持浮揚のきっかけにしたいところです。前回取り上げた法人税減税もその一環です。そして、今回の相続税の増税です。実際、基礎控除を手厚いために、相続税を払っているのは、全体の4%程度と言われています。今回の相続税の基礎控除の削減によって、相続税を支払わなければならない人が、相当増えることになるでしょう。そして、贈与税の減税です。消費意欲が比較的高い若年層への資産移転を促すことが、これでできるのではないかと期待されます。藻谷浩介氏の著書「デフレの正体」にあるように、消費の減少がデフレを引き起こしているとすれば、資産移転によって、デフレ克服が進展するかもしれません。デフレを克服できれば、経済が良い方向に転がり始めます。金利も、ゼロから脱出できます。企業業績と株価が回復します。すべてうまくいくような書き方は、過剰かもしれませんが、低支持率の裏で、意外と、ファンダメンタルズが好転していくかもしれません。とりあえず、目先の財政問題は、赤字国債でしのいでください。

2010年12月13日 (月)

第416話 「法人税引き下げ」

各紙のネットニュースによると、菅直人首相は13日、首相公邸で野田佳彦財務相と玄葉光一郎国家戦略相と会談し、来年度税制改正の焦点である法人税率の引き下げについて、国と地方を合わせた法人実効税率を5%幅引き下げるよう指示したそうです。

これで、株価はどう反応するのでしょうか。片方で、小沢元代表の話もあって、マイナス面もありますが、やっぱりプラスと考えるべきでしょう。現在の法人実効税率が大体40%とすると、今後35%になるということですが、当期利益ベースでは、(1-0.35)/(1-0.40)-1で、8.3%の増益となります。仮に、PERが変わらないとすれば、8.3%株価が上がるという計算になります。もう市場はそれを織り込んでいるとかいないとかの、曖昧な議論は置いておいて、素直に、プラスと結論づけたいと思います。

2010年12月12日 (日)

第415話 「騰落レシオ」

日経ニュースのスクランブルに「騰落レシオ上昇が示す強気相場の兆し」という記事が掲載されています。先週、騰落レシオは、計測来、最高の163%を記録したのですが、それでも、市場には強気派が多いとの内容です。

さて、騰落レシオですが、一般的には、東証1部のある期間における値上がり銘柄数を値下がり銘柄数で割った値(%)です。120%以上は買われ過ぎ、70%以下は売られ過ぎと言われています。値上がり銘柄数が多いと、物色の広がりから過熱感が出て、その後、調整局面、逆に、値下がり銘柄数が多いと、弱気が支配しているために、その後、反発局面と考えるわけです。いわゆるオシレーター系の指標です。

しかし、騰落レシオは、以下の弱点があります。①強いトレンドが出たときに間違いやすい、②銘柄数だけの指標であり、上昇率、下落率なので値動きの幅を考慮していない、③したがって、軽めの調整で終わっても、騰落レシオは妥当な水準に下がる場合がある、などの点です。今回も、見誤る可能性があると思っています。なぜなら、現在、日銀によるPKO(プライス・キーピング・オペレーション)の最中で、それを市場指数(ETF)ベースで、行っているわけです。市場指数で買えば、物色が広がるのは当然です。投資にあたっては、中長期的な見通しと短期的な見通しを両方持つ必要があります。短期的な見通しとしては、市場に逆らわない方が妥当だと考えます。今起きていることが真実と受け止めることも大切です。

2010年12月11日 (土)

第414話 「企業のカネ余り」

12月11日付けの日経新聞13面に、「企業のカネ余り、一段と」という記事が掲載されています。2010年9月末の手元資金が64兆円超と2000年以降で最高水準になっているとのことです。また、実質無借金の会社が半数を占める状態にあります。

こうした守りの姿勢は分からないでもないですが、この状態非常に危険です。村上ファンドなどが登場した頃のことを思い出してしまいます。キャッシュリッチの会社の株を買いまして、非効率だから配当に回せなどの要求をしていました。まさしく、日本企業は、こういう要求をする絶好のターゲットです。企業は、再び、こうしたファンドの干渉を受けないよう、投資を考えるべきです。

最近、海外のバリュー系運用機関が、日本株を買い増しています。こうしたキャッシュリッチな会社です。こうした会社は、財務体質が健全で、前向き投資も可能ですし、借入れも行って、ちょっとレバレッジをかけただけでも、収益性が大きく上方に改善する可能性があるわけです。マクロレベルでの日本経済の改善は望み薄ですが、こうした健全で、キャッシュリッチで、事業に対する変化を起こそうという考えを持っている経営者のいる会社は、かなり有望と思われます。俗にいう「買い」です。

2010年12月 6日 (月)

第413話 「冬支度 急ぐ三菱モルガン」

日経ニュースのスクランブルというコラムで、大手5社の一角である三菱UFJモルガン・スタンレー証券の最近の動きが話題を呼んでいるという記事が出ています。まず、法人営業やトレーディングなど主要部門が入居している丸ビルから、来春に文京区目白台に移転するということです。ご存知にように丸ビルは、三菱地所のビルですし、丸の内は、三菱村と呼ばれるところです。そこを離れるということは、かなり思い切った決断だと言えます。そのほかにも、恵比寿ガーデンプレイスに支店を開設すると同時に、周辺8支店を閉鎖するなど、コスト削減に大きく舵を切りました。

しかし、その背景は、三菱証券とモルガンスタンレー証券の合併効果が、まだ、見えていないということでしょう。したがって、コストを削減できるところは削減し、苦境に耐えることができる体質しようというもので、非常にもっともな判断だと思います。

三菱モルガンに限らず、日本の証券会社は、どこも苦しんでいると言えます。野村など大手証券も、投資銀行部門では儲かっていないので、結局、昔ながらの個人業務の収益に頼っています。その個人部門(支店ですね)も、10年ぐらい前に、株式の売り方を忘れてしまいましたから、今は、投信を売ることしか頭にありません。通貨選択型のように、うまく騙せて、申し込み手数料の高い商品をどれだけ売るかで、その支店の成績は左右されます。野村では、グローバルハイインカムの申し込み手数料が業界最高の4%だったことで、支店の営業員にとって、成績を上げるのに、非常に美味しい商品になったと思われます。昨年で言えば、資金のいらないような会社にもエクイティファイナンスを無理やり行わせることで、法人部門が手数料を稼ぎましたが、今年はさすがに息切れで、その分、個人部門へのしわ寄せが大きくなっているわけです。

こうした収益の傾向は、構造的なもので、市場の回復で一時的に持ち直しても、トレンドを変えることはできないでしょう。このトレンドを変えるには、効率的に海外業務を伸ばせるかが、鍵となると思います。現時点で、この成功への鍵を持っているところが、見えてきません。もしかして、国内系は、ゼロかも。

2010年12月 5日 (日)

第412話 「グロソブの人気の没落」

12月5日付けの日経ヴェリタス60面に、グロソブの3兆円割りの記事が掲載されています。グロソブ、すなわち、グローバルソブリンという投資信託は、国際投信投資顧問が設定している毎月分配の投信で、5兆円を超える資産額を誇っていました。日本中のどのお年寄りも投資しているとも言われました。

しかし、先進国の国債に投資するだけに、昨今の欧州危機などで運用成果は低迷し、毎月の分配金も35円程度になっているようです。一方、最近流行の通貨選択型投信は、100円以上が普通ですから、グロソブの資産が減るのも仕方ありません。特に、販売会社が、分配金だけで顧客を勧誘しますから、そうした売り方も、マイナスに影響しています。

グロソブを運用する国際投信投資顧問は、正直、これ1本に頼った経営をしてきたので、大変です。販売会社も、グロソブが残高が増えると販売会社の手数料が増えるという体系になっていたことから、残高の減少は、逆インセンティブに作用します。日本では、一度、ブームの去った投信は、決して、残高を戻さないという経験則があるそうですから、次に話題になるのは、「グロソブ 1兆円割れ!」というニュースの時かもしれません。

第411話 「GPIFの資産取り崩し」

日経ニュースによると、公的年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は2011年から、保有する国内債券と国内株式を売却した場合の市場への影響について研究を始めるそうです。09年度から積立金である運用資産の取り崩しを始めており、市場に影響が少ない売却方法を検討する必要があると判断したためです。

GPIFは、約120兆円の年金資産を管理する世界最大の年金ファンドです。しかし、高齢化に伴う年金給付の急増で、入ってくる年金保険料よりも、年金給付が多くなってしまうことから、こうした資産取り崩しが今後、どんどん進んでいくことになります。すると、最も影響を受けるのが、日本国債です。資産配分の半分は国債ですので、新規で買わないだけでも大変なのに、一部でも売りに出ることは、金利上昇につながるかもしれません。日本国債は、国内のこうした固定投資家に引き受けられることで、順調に消化され、金利を低水準に保てたわけですから、そのバランスを狂わす可能性があります。

また、日本株は、10%程度配分していますので、これもそこそこの金額です。一度に売られるわけではありませんから、上値を抑える程度の影響は否定できません。

しかし、GPIFの資産取り崩しは、今後、予想以上に加速するかもしれません。基礎年金の国庫負担で財源の目処がたたないことから、2分の1の負担が維持できないということです。当面は、こうした部分も資産取り崩しで賄うことになるでしょうから、資産はますます減っていくわけです。今まで、増える局面での資産運用しか経験のないGPIF。全く逆の局面で、きちんと運用管理ができるのか心配です。

2010年12月 1日 (水)

第410話 「エマージング債券投資」

11月30日付けのブルームバーグ・ニュースによると、11月の新興市場債相場は、月間ベースで2年ぶりの大幅安となりそうだとのことです。。欧州債務危機の悪化懸念や朝鮮半島の緊迫化が、高リスク資産の需要を低下させたことが原因です。ドル建て新興市場債の指標、JPモルガン・チェースのEMB+指数は前月末に比べ2.9%低下し、リーマン・ブラザーズ・ホールディングスの破たんが世界的な信用逼迫(ひっぱく)につながった2008年10月以来の大幅な下げとなっています。また、今年これまでの上昇率は13%。国別ではベネズエラの債券が5.2%下落。ブラジルとロシアも3%下がりました。

先週、ある海外運用機関が、エマージング債券投資のセミナーを開催し、出席しました。先進国に比して、財政状態が良好で、益々、魅力的だとの内容でした。一方、こうしたパフォーマンス。世界的な金余りで、投資資金は少しでも利回りの高い資産に向かっています。エマージング債券も同様です。しかし、この状況、すでに経験したような。そうです、2006年に、信用リスクに対するリスクプレミアムが無くなってしまい、リスクに見合う収益が消え去ってしまったときです。その後、サブプライム問題やリーマンショックが起きたことは記憶に新しいことです。債券市場は、また、同じ過ちを繰り返そうとしています。皆んが魅力があると言ったり、年金への売り込みが積極的になった頃が、相場の終わりに近いことが経験済みなのです。興味が薄いと思われたJ-REITが活況なのも、理解していただけるのではないでしょうか。

エマージング債券(新興国債券)に、そう簡単に、投資してはいけないことを、お勧めします。

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