« 第431話 「注目のASEAN株式投資」 | トップページ | 第433話 「高齢化、資産運用そして心」 »

2011年2月20日 (日)

第432話 「通貨選択型投信に潜む販売リスク」

2月20日付け日経ヴェリタス57面に「通貨選択型投信に潜む販売リスク」という記事が掲載されています。高齢の母親が米国ハイイールド債ブラジルレアル建て投信を証券会社から勧誘されそうになった人へのインタビューのような形式の記事です。この人が問題視しているのは、証券会社の販売する側がきちんとリスクを説明できないことだということです。説明もできない商品を売りつけていること自体が問題だと語っています。まさしく、その通りだと思います。証券会社は、「適合性の原則」を守らないといけません。すなわち、ある投資商品を紹介しても良い対象の顧客かどうかを、その人の投資経験などから判断した上で、勧誘しなければいけないというものです。しかし、実際は形式的なものになっているのが実態です。金融商品取引法が施行されて以降、商品説明には慎重な対応が見られますが、「ちゃんと説明を受けました」という書面に判子を押させることで、証券会社は、販売責任から逃れられると考えています。しかし、実際には逃げられません。判子を押した書面があっても、かなり高齢なお年寄りで通貨選択型投信など理解できる方は非常に少ないはずですから、仮に裁判になった場合には、売った側の責任は問われる可能性が高いと思われます。さすがに、最近、少しそのことが分かってきたのか、証券会社側もほとぼりが冷めるまで少し静かにしようとの考えが見え隠れします。

通貨選択型投信の問題点は最近よく新聞等にも取り上げられたいます。例えば、野村グローバル・ハイーイールド債券投信(バスケット通貨選択型)という投信を見てみます。これは世界のハイイールド(格付けが低いが金利の高い社債)債券に投資するとともに、資源国通貨にも投資するという二階建て投信です。昨年4月に出されましたが、最も残高の大きい資源国通貨バスケット(毎月分配)を見ると、基準価額(2月18日付け)は、9007円、また、過去の分配金は毎月140円が9回、分配されています。単純に掛け算すると、1260円が投信から投資家に払われたことになります。基準価額と今まで支払われた分配金を足すと10,267円になります。仮に、分配金を出していなかったらどうなったいたでしょうか?これは、同シリーズの資源国通貨バスケット(年2回分配)の基準価額が参考になります。同ファンドはまだ分配金を払っていませんので。同じ日のこの基準価額は、10,391円です。すなわち、この差額、124円が毎月分配することによる損失(コスト)となっています。また、140円ということは、9回の分配で12.6%の利回り(対1万円)になりますが、実際には、3.91%しか値上がりしていませんから、分配することの1.24%の損失と合わせて約10%分を元本から喰っていることになります。したがって、投資家は自分で払いこんだ資金のお10%を単に受け取っただけを有難く感じているだけなのです。

証券会社側や運用会社側は、「こういう合理的でない行動を個人は喜ぶという行動ファイナンスに則った商品だ」と自慢していますが、単に素人を騙しているだけだと思います。こういう商品が運用だと言われないような、真っ当な世の中になってほしいものです。

« 第431話 「注目のASEAN株式投資」 | トップページ | 第433話 「高齢化、資産運用そして心」 »

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/512329/50920929

この記事へのトラックバック一覧です: 第432話 「通貨選択型投信に潜む販売リスク」:

« 第431話 「注目のASEAN株式投資」 | トップページ | 第433話 「高齢化、資産運用そして心」 »

最近のトラックバック

無料ブログはココログ