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2011年5月

2011年5月29日 (日)

第451話 「Sell in May」 Part 2 および 次回告知

5月30日は、米、英市場とも休場ですので、5月相場もほぼ終了です。先週末までの、米国S&P500指数は、2.4%の下落でした。Sell in Mayにしては、小幅な下げに留まりました。一方、このブログでも取り上げた逆相関を示す米国10年債金利は、3.3%から3.06%に0.2%強低下しました。金利の世界で言えば、それなりに低下した感はあります。すなわち、印象としては、金利は、景気の三番底のリスクを織り込み始め、株は、業績回復とM&A話で、何とか持ちこたえたというところでしょうか。Sell in Mayの動きは、どうも6月相場に持越しのような様相です。すなわち、米国長期金利がさらに低下し、3%を切って2%台に突入すると、株式市場も安穏としていられないでしょう。また、QEⅡの終了や、ギリシャ問題など6月は重要な月になります。「Sell in June」という、可能性ありと考えます。

さて、このブログ、次回以降からは、今話題の投資信託を都度取り上げ、論評するような内容に変更していこうかと考えています。よろしくお願いします。

2011年5月21日 (土)

第450話 「ムーンライトキャピタルへの業務停止命令」

5月21日付の日経新聞によると、金融庁は20日、投資運用業者のムーンライトキャピタル(東京・千代田)に対して1カ月間の業務の停止と改善命令を出したそうです。純財産額が法定の5千万円を大きく下回っているためです。同社は、投資信託の運用などを行う会社ですが、赤字続きで、約4億円あった資本金が目減りし、この処分となったようです。今後は、増資を引き受けてくれる投資家を探してこないと、廃業ということにもなりかねないと思います。実は、この会社、平成19年にも、業務停止命令を受けています。投資一任の免許取得前に、投資一任契約を締結していたというものです。言ってみれば、問題児だったということです。しかし、日系のヘッジファンド会社という点や、竹村さんという女性社長を広告塔にその後も営業活動を続けていたようです。投信も2ファンド設定しましたが、合わせて5億円程度しかありませんから、収益的に厳しかったのでしょう。最近、金融庁も、こうした小規模な運用会社への監視の目を強めています。どうも、個人投資家を惑わして、良からぬことを考えている人が増えているからなのでしょう。こうした金融庁の姿勢は、評価できるものと考えます。個人投資家も、きちんと調べないで、安易に投資をしないよう、慎重に対応してほしいと思います。

2011年5月15日 (日)

第449話 「投信販売と毎月分配ファンド」

5月15日付の日経ヴェリタス50面に「証券大手、投信販売に苦戦」という記事が掲載されています。2011年3月期決算から、野村、大和、SMBC日興の合計で昨年度の投信販売額は、前期と比較して3.7%減となりました。この数値から、「苦戦」というタイトルになっているようです。しかし、募集手数料から見ると、野村は+0.8%、SMBC日興は+11.5%と増えています(大和は▲5.4%でしたが)。つまり、販売額は減ったが、販売時に得る募集手数料は増えたということです。これは、単純です。募集手数料の高いものを売ったということです。例えば、野村のグローバル・ハイ・イールド債券(通貨選択型)は、募集手数料が4%と業界で話題になるほど高い手数料率です。他社も通貨選択型で3.5%程度の募集手数料を得ることで、販売額の落ち込みをカバーしようとしています。この傾向は今後ますます強まると考えます。すなわち、投信はこれから売れなくなります。個人投資家は、守りの姿勢が強まると考えるからです。そうなると、証券会社は、手数料の高い商品を売りつけることで、帳尻を合わせようとします。これは、個人だけではなく、機関投資家の世界でもそうです。株式とか債券で運用する投資家が減っているので、ヘッジファンドなどの手数料の高い商品で、受託資産が少なくとも、収入が減らないように運用会社は戦略を変えているのです。しかし、こんなことが長続きするわけがありません。一時的に帳尻があっても、結局、残高の減りをカバーすることができなくなります。そして、手数料稼ぎのために、リスクの複雑な商品を売りすぎて、個人投資家を傷つけ、結果、将来的な市場を自ら壊すことになっているかもしれないのです。

この前、「毎月分配型ファンド」の問題点を書きましたが、その時、このブログのアクセス数が急に増えました。世間の関心の高さが分かりました。しかし、上記に書いたような販売会社の帳尻合わせに自分の大事なお金が使われていることを、是非、個人投資家には理解していただきたいと思います。

第448話 「福島原発と今後の株式市場」

5月14日付の読売オンラインによると、東京電力は、福島第一原発の1号機に加え、2、3号機においてもメルトダウンの可能性を認めました。さて、3.11以降、国民は原発問題に妙に詳しくなりました。テレビでは連日、大学の先生が圧力容器と格納容器の図を示して楽観的な説明しています。しかし、テレビに出てくる先生は、大半が原発推進派です。一方、原発反対派の先生は、非常に悲観的な説明を行っています。私としては、両者の話を聞いて、自分の立ち位置、世論の立ち位置を判断するようにしています。しかし、今、東電が発表している内容は、この反対派の説明に近いものです。特に、最近、東電は明らかに事態の深刻さをなし崩し的に認める傾向を感じています。言い換えれば、そろそろ情報操作は難しい状況まで来たと考えているのでないでしょうか。先週、1号機でのメルトダウンを認めたことは、衝撃的でした。これで、何を世論の立ち位置も大きく、原発反対に動き始めたのではないでしょうか。となると、浜岡原発以外のその他原発の停止さえも現実味を帯びてきます。そして、明らかに投資マインドはネガティブに傾くことが予想されます。これで、ますます「Sell in May」の傾向が強くなりそうです。今週も、我慢の日々が続きそうです。

2011年5月11日 (水)

第447話 「毎月分配型ファンドに対する規制の必要性」

以前に通貨選択型ファンドの問題点について書きましたが、それに加えて、最近の主流である毎月分配型ファンドについて、取り上げたいと思います。毎月分配型が悪いと言っているわけではありませんが、近年、販売実績を上げるために、無理をして高い分配金を毎月支払っている投信が多く見受けられます。しかし、これは、いわゆる「タコ足」配当といって、単に、元本を食っているだけなのです。それを知らず、喜んでいる個人投資家の皆さんには、この問題に気づいていただきたいのです。そもそも、日本の投信の会計基準では、分配金は、投資した株式や債券の利息や配当金までしか、支払いに回せないことになっています。また、値上がりして額面の1万円を超えてくれば、その分も分配金に回せます。しかし、最近のハイイールド債券やブラジル・レアルを用いても、毎月、安定的に高い分配金を出せるわけがありません。すると、その裏に、何か、悪い仕組みがあるわけです。それは何か?最近の流行は、外国籍投信を利用した「ファンド・オブ・ファンズ形式」の投信です。外国籍投信とは、まさしく、海外で設定された投信です。海外で設定された投信には、日本のような投信の分配金に関するルールがありませんので、適当に分配金を決めることができます。極端な話、1万円の投信を買って、いきなり9,900円を分配金として払うこともできるのです。これに目を付けた運用会社は、国内の投信の中で、この外国籍ファンドを買うような仕組みの投信を作りました。これによって、何%でも、好きなだけ国内投信で分配金を出せるようになったのです。しかし、これは、国内のルールの脱法行為です。こういうことを許し、「タコ足」配当で見た目上の分配金利回りを高め、結果的に、何も知らない個人投資家をだましていることになっている現状で良いのでしょうか?通貨選択型、および海外投信を使って高分配ファンドに対する当局の早期の規制を望みます。

2011年5月 8日 (日)

第446話 「まちがいだらけの年金運用」

5月8日付の日経ヴェリタス11面に、「年金の国内株運用低下‐3月末18%、外国株やヘッジ外債増える」という記事が掲載されています。これは、JPモルガンアセットいよる、119の企業年金に対する聞き取り調査で分かりました。その理由としては、①過去の国内資産への偏重の是正、②国際会計基準(IFRS)導入への備え、が挙げられています。今後は、オルタナティブ投資のような絶対収益追求型商品を増やしたり、エマージング株式、債券を増やしたりする一方、クオンツ運用やインデックス運用を減らしていくそうです。さて、企業年金とは、公的な年金とは別に、企業が従業員のために独自に提供し、資金を積み立てている年金制度です。当然、企業独自の制度ですから、各企業が独自の判断で運用方針を決定します。しかし、会計制度の変更から、年金の運用結果が企業の業績に影響するようになってから、非常に保守的な運用に変更していっています。加えて、そもそも、企業年金の担当者は、資産運用に関しては当然に素人なので、非常に横並び主義で、かつ、運用会社など大手金融機関の言うとおりに意思決定を行ってしまう傾向があります。その結果、いつも相場の最後の方で、アクションを起こす傾向があり、業界では、年金が動くと、もう相場も終わりだという捉え方があります。また、金融機関も、「年金は、ラストリゾート」という呼び方をしているようです。すなわち、銀行や生損保に金融商品を持ち込んでも、もう買ってくれないような時期になると、年金に持ち込んで買ってもらうという意味です。リーマンショックの時に、多くの年金は、ファンド・オブ・ファンズで損をしました。しかし、大手の生損保などでは、すでに売っていたケースもありました。言い換えが、年金は、”鴨ねぎ”というわけです。さらに、年金でも、声の大きい、新し物好きの人は、オピニオン・リーダーとなって、新しい商品を紹介すると、横並びで、投資したりします。

以上、いろいろと書きましたが、結論的には、年金の投資傾向は、過去の経験では間違っていることが多いと考えます。従って、「日本株」、短期的な相場観は別として、相対的に魅力的ではないでしょうか。私は、世界の中で、最も魅力的な市場の一つを感じています。理由としては、一つ、「割安」です。これだけ、出遅れている国ありません。一方で、震災はありましたが、世界経済の回復を恩恵は、日本企業も十分に受けています。それなのに、日本以外は株高で、日本だけ1万円以下で推移しています。なお、短期的に株式には警戒的という意見に変わりはありませんので、次の局面では、海外より国内株という意味ですので、あしからず。

2011年5月 3日 (火)

第445話 「通貨選択型ファンド」

日経新聞のサイトに、PRという広告が掲載されています。その中の一つで、野村アセットマネジメントの広告に、「通貨選択型ファンド 進化論」が掲載されています。これは、同社が自社の通貨選択型ファンドの広告として、美人(?)評論家の逢坂ユリさんと同社の部長さんとの対談形式で、当該ファンドの良さを宣伝しているわけです。これは、あくまでも広告、宣伝で、アピールするのが目的ですから仕方ないのですが、内容的に問題があるので、このブログで取り上げました。すなわち、同社の部長が、通貨選択型のリスクを「二階建て」と言われるのは、間違いだと断定していることです。彼の言い分は、例えば、米国ハイイールド債券のブラジルレアル建ての通貨選択型ファンドの場合、所詮、米国ハイイールド債券に投資するには、円をドルに換えないといけない、すなわち、米ドルのリスクを負っている。これを、米ドルからブラジルレアルに置き換えただけなのだから、元々とるべき為替リスクで通貨が変わっただけです、というのものです。暴論です。この商品は、そもそも、投資家にとって、どのリスクを取りたいのかが不明確です。仮に、米国ハイイールド債も投資したいのなら、ブラジルレアルのリスクを本当に取りたいと想定しているのでしょうか?また、ブラジルレアルに投資したいのなら、余分に、米国ハイイールド債のリスクを取りたいと想定しているのでしょうか?明らかに、この商品は二階建てのリスクを含んでいます。外人の間でも、「ダブル・デッカー(英国の二階建てバス)」と呼ばれています。いくら宣伝とは言え、リスク所在を曖昧にすることは、コンプライアンス上、問題がある広告の疑いがあります。加えて、最近は、日本株に通貨選択を組み合わせるなどのファンドが登場しています。これは、正直、ひどいです。また、この商品は、通貨を選択したのは、顧客の責任で、運用会社や販売会社には、責任は無いとの構造になっています。従って、投信の運用報告書には、為替に関する記述がありません。言い換えれば、通貨は運用対象ではなく、単に、投資時に顧客が選んで余計なリスクを選択したという、顧客との仕切りを巧妙に設けているのです。しかし、高齢者にこうしたリスク所在が理解できているとは思えません。知り合いの証券会社の人に、こうした売り方に問題はないのか聞きましたが、その人いわく、「クレームが来ても、責任問題が発生するような、下手な売り方はしていない」とのことでした。本当に、この商品を野放しにしていて良いのでしょうか?監督官庁の対応を期待したいものです。

第444話 「Sell in May」

ブルンバーグ・ニュースによると、5月2日の米株式相場は下落し、S&P500種株価指数は2008年6月以来の高値水準から値下がりしました。しかし、下げ幅は、0.2%で、終値は、1361.22でした。一方、米国国債市場は、小幅高で、10年債利回りは、3.28%と6週間ぶりの低水準となりました。この2つのニュースは、全く逆に米国経済見通しを示しています。株は、業績相場、そして、債券は、弱い景気回復です。過去、株と国債利回りは、綺麗な相関関係を示してきています。すなわち、株高・金利上昇、株安・金利低下です。しかし、最近は、株式市場が力強い上昇を続ける中、金利はどちらかというと低下傾向にあります。果たして、これらは、何かを語っているのでしょうか。米国は、過剰流動性と政策的なドル安で景気回復を演出していますが、ドル安政策が招いたエネルギー価格の上昇などから、景気回復の遅れが指摘され始めています。債券市場は、そうした動きを先取りしているように思います。以前にも書きましたが、世界の株式市場、特に、米国株式市場は、すでに過去10年間の高値近辺に入っています。一方で、過去2回の高値と比較して、企業業績、金利水準など株価を取り巻く環境は、特別に改善しているとは思われません。「Sell in May」という格言があります。5月には一旦株式を売って様子を伺うというものですが、その格言に沿った動きになるのではないかと考えます。

2011年5月 1日 (日)

第443話 「証券大手の厳しい現状」

5月1日付の日経ヴェリタス15面に、証券大手の3月末決算に関する記事が掲載されています。全5社が前期赤字・減益に落ち込んでいます。何とか黒字を確保したのが、野村とSMBC日興で、大和、みずほ、三菱UFJは、赤字となっています。この記事で、「オーバー・インベストメントバンキング」という言葉が使われています。すなわち、日本のビジネス規模に対して、投資銀行業を行う会社が多すぎるということです。まさしく、言いえて妙だと思います。投資銀行業で手数料を稼ごうとしても、競争が激しいのでダンピング競争となり、結局、儲からない。仕方ないので、①海外に行く、②自社でポジションを取って儲ける、の戦略しかなくなったわけです。①は、野村の戦略で、現時点ではまだ期待される結果は出ていません。②は三菱UFJで、これはご存じのように、悲惨な結果となりました。②は、以前にも取り上げた中小証券会社の戦略と同じなわけです。赤字会社の中で、特に、気になるのは、大和証券です。ここは、SMBCと別れて、最も収益的に影響を受けています。やはり、SMBCの企業取引が本当に重要であったことが明白になりました。これが日興に流れえしまい、大和証券には何も残らなかったわけです。大和証券は、大きな決断が必要になるのではないでしょうか。例えば、SMBCに頭を下げる。何とか、日興と並列でも良いので、再度、グループ企業に入れてもらう。または、外資に身売りする。大和を手に入れられるなら、大手外資系は動くかもしれません。いずれにせよ、大手証券を取り巻く環境は非常に厳しいです。野村にしても、リーマン効果が花咲かない限り、未来はありません。日本の個人ビジネスでごまかせるのは、あと数年です。残された時間は短いのです。かつて、英国から自国資本の金融機関(特に、証券)が消えていきましたが、日本もその道筋を辿っていると考えます。

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