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2011年6月

2011年6月26日 (日)

第456話 「ラサール・グローバルREIT(毎月分配)」

前回に続き、国際REIT型の投信です。できるだけ、最近注目されていそうな投信を選ぼうと考えていますが、資金流入上位には、REIT型ばかり。仕方ないと言えば、仕方ないですが。さて、この投信は、不動産投資で有名なラサール・インベストメントが運用し、日興アセットが投信設定会社となっています。ラサール社は、こうした上場投信よりも、実際の不動産に投資する私募型不動産ファンドの方が有名かもしれません。設定は、2004年3月で、2011年5月末での資産額6784億円と、これもリバイバル型の投信です。裏話をすれば、もともと、設定当時の日興証券の主力国際REIT型商品は、「日興・AMPグローバルREIT」でした。しかし、この商品は、あくまでも販売会社である日興証券主導の商品だったために、日興アセットが独自にラサールを探してきて設定したのがこのファンドです。しかし、当初は、販売会社が注力していたAMPのファンドの残高が売れていました。当初の資産額は、AMPのファンドが1000億円超、一方、ラサールのファンドは、1000億円未満という状況でした。しかし、今は、大逆転。AMPのファンドは、1400億円程度で横ばいです。ラサールファンドは、販売会社も分散されており、最近のREITブームに乗ったのでしょうか。分配金は、毎月70円で、また、基準価額は、5月末で4521円ですから、年率分配金利回りは、18%以上と、このファンドも相当無理な分配を行っています。ちなみに、報告書によると、当該ポートフォリオの利回りは、3.79%となっています。ラサールのグローバルREIT運用自体は、悪くはありません。2008年に大幅に悪化しましたが、それを除けば、ベンチマーク程度ないしはそれを上回るの運用成果となっています。特にこの2年間のパフォーマンスは非常に好調で、逆の動きをした前回紹介の新光US-REITを運用するインベスコ社と組み合わせることにより安定した運用結果になるように思います。評価ですが、運用は、「中の上」、スキームは、「中の下」で、総合は、「中」ということでしょうか。過去、100円の分配金の時期がありましたが、今の70円に下げた実績を考慮し、今後も下げる可能性を期待しています。将来、基準価額が、3000円台、2000円台になるのは見たくありません。

2011年6月19日 (日)

第455話 「新光 US-REITオープン(ゼウス)」

今回取り上げるのは、新光投信の「US-REITオープン」で、愛称ゼウスと呼ばれる投信です。文字通り、米国のREITに投資する投信です。この投信、2004年9月に設定された比較的6年以上歴史ある投信ですが、最近、残高を増やし、注目されている「リバイバル型」の投信です。実際、残高は、ずっと100億円以下で低迷していて、2009年3月には、株価下落もあって13億円まで減少していました。ところが、その後の米国REIT市場の急回復と、そして、最も戦略的に効果があったのは、2010年8月に毎月の分配金を60円から90円に増やしたことです。販売会社の増加も加わり、一気に残高は急増し、直近では、5900億円を超える残高に成長しました。これだけを見れば、投信会社、販売会社の戦略勝ちという、超サクセスストーリーと言えます。実際の運用は、米国のインベスコ社が行っています。インベスコ社のREIT運用に対する評判は高く、実績も中長期的に好調です。しかし、2009年、2010年と2年連続で不調です。インデックスを下回り、業界下位に低迷しています。この点を考慮すると、運用だけでは、「中の上」というところでしょうか。しかし、商品性では大きな問題があります。毎月90円の分配金ということは、1万円に対して年率10.8%の利回りです。しかし、当該ファンドの5月末基準価額は、5476円です。すなわち、基準価額に対する分配金利回りは、約20%となります。最近流行りの通貨選択型投信が年率20%の分配金で残高を増やしているので、十分に対抗するために、この水準にしたことが成功の鍵だったと思われます。しかし、5月末現在の米国REIT指数の配当利回りは3.28%です。すなわち、20%の利回りを賄う収入など全くないわけです。すると、REITの値上がりか円安による為替益がない限り、元本を喰っていくことになるわけです。値上がり益についてが、5月末の米国10年債利回りが3.05%ですから、米国REITは魅力的な水準にはなく、値上がり益を期待することが非常に難しいと考えます。一方、円ドル為替も、円高に推移しています。とすると、この分配金を維持することは困難ですし、運用にもマイナスに影響します。普通なら、運用会社は、運用自体にマイナスに影響するような商品性に反対するのですが、目先の収益を追ったために、こうした配当を容認しているのでしょう。商品性では、「下」の評価です。従って、「中の上」の運用評価+「下」の商品性で、総合評価は、「中の下」と考えます。

2011年6月12日 (日)

第454話 「ノムラ・グローバルトレンド(バスケット通貨選択型)」

今回取り上げるのは、4月26日に設定されたノムラ・グローバルトレンドという投信です。バスケット通貨選択の部分は、以前にもその問題点を指摘していますので、今回は、本来の運用部分のみ取り上げます。この投信は、MAM-AHLというヘッジファンド大手が運用するマネージド・フューチャーズという分類のヘッジファンドです。様々な先物をプログラム取引で頻繁に売買することで、絶対収益を目指します。ヘッジファンドは、そもそも、月次、四半期など、解約時期が制限されている場合が多いのですが、これは、毎日、設定解約ができるという個人向け投信に必須の特徴を持たせたヘッジファンドとなっています。そういう点は、この商品の画期的な点かもしれません。マネージド・フューチャーズは、主に相場のトレンドを捉えることで、高い収益を得ることができます。たとえば、リーマン・ショック。この時は、一方的に株式市場は暴落しました。こうしたトレンドが現れると、プログラムは株式のショートを取るようなサインを出しますので、儲けられます。従って、世間では、株式と逆の相関があると言って、マネージド・フューチャーズに投資すべきという人もいます。しかし、実際には、株式の暴落の際にこうした傾向が現れるだけで、長い期間で見ると、逆相関とは言い難い状況です。また、相場の反転時に弱い傾向があり、今年5月初めに海外で銀などの商品価格が暴落した際には、マネージド・フューチャーズは大きく下落しました。その結果、野村のこのファンドは、設定早々、大きなマイナスに苦しんでいます。運用機関であるMAN-AHLは、確かに大手ではありますが、運用成果は目立って良くありません。過去数年を見ても、マネージド・フューチャーズ全体で、平均以下の運用実績の年が多くなっています。その程度の運用成果でも資金が集まるのは、ブランド力というほかありません。なお、このファンドの問題点は、コストです。まず、購入時手数料が4%かかります。また、毎年、ヘッジファンドに2.3%+成功報酬と国内投信のコスト0.95%という、恐ろしいほどのコストです。このコスト以上の運用成果を期待できる可能性は、当然に下がります。それでも、2000億円近いお金が集まったのは、野村証券の販売力としか言いようがありません。結論的には、日々で解約できる仕組みは評価しますが、運用会社、およびコスト面を考慮すると、「中の下」の商品との総合評価です。

2011年6月 6日 (月)

第453話 「東証の斉藤社長は、責任をとるべき」

投信シリーズとは、別に、本日はこのニュースに頭にきましたので、取り上げます。6月6日付のブルンバーグニュースによると、東京証券取引所グループの斉藤惇社長が、東電の再建は法的整理によるものが望ましいとの見解を示した、と一部報道で伝えられたことから、東電株は、法的整理、上場廃止の可能性を警戒した売りがかさみ、一時ストップ安(値幅制限いっぱいの下落)に当たる前週末比80円(28%)安の206円まで下げ幅を広げました。結局、207円で6日の取引を終えました。しかし、何とも罪深き発言でしょうか。一人の発言によって、どれだけの時価総額を失ってしまったことか。そして、その発言が証券取引所のトップから出ていることです。この斉藤社長ですが、野村証券出身で、副社長まで務めた人です。その後、住友生命系の投資顧問会社の社長となったものの、そもそもアセットマネジメント業務に精通していなかったことから退任。しかし、野村証券副社長の経歴から、産業再生機構の社長にたまたま役割が回ってきました。産業再生機構は時限性のある組織でしたが、東証の社長の座が用意され、今に至っているわけです。野村証券の知り合いに、今回の斉藤社長の発言について聞くと、野村OBは、勘違いする人が多いとのことです。すなわち、日本でトップの証券会社に所属していると、最も、証券市場のことが分かっていると勘違いし、現在の自分の立場も考えずに、安易な発言をしてしまう傾向があるとのことです。政府も本件については非常に問題視していると思われますので、、斉藤社長の責任論が出てくることになるのではないでしょうか。

2011年6月 5日 (日)

第452話 「ダイワ/ハリス世界厳選株ファンド」

告知通り、今後は、ある投資信託を取り上げ、評論していきたいと思います。今回は、「ダイワ/ハリス世界厳選株ファンド」を取り上げます。当該ファンドは、今年の4月19日に設定されたグローバル(除く日本)の株式に投資する投資信託です。直近の純資産額は、877億円となっており、通貨選択型しか売れない時代において、非常に資金を集めた株式ファンドです。投信会社は、大和投信委託ですが、実際の運用は、米国のハリス・アソシエイツ社が担当します。ハリス社は、すでに日本で朝日ライフアセットで世界株ファンドを設定しています。さて、今回、ハリス社の商品を大和証券が販売したことは非常に思惑を呼ぶものとなっています。ハリス社は、自分たちの運用する別のファンドを大和証券の株式を10%程度保有している大株主です。経営に口を出さないとは言っていますが、大株主の商品を販売しているわけで、どういうビジネス上の話があったのか、気になります。このハリス社ですが、1976年に設立された米国のバリューマネジャーです。特に、米国大型バリューを得意とする運用会社で、米国の評判は高い方だと思います。バリューでも、買収するような目線での株式評価を得意としていています(買収価値)。PERバリューとかPBRバリューとはその点が異なります。バリューマネジャーですから、株価のフェアバリューから大きく割安に取引されている銘柄に投資し、3年~5年保有してその回復を待ちます。今回のグローバル株式は、1999年から運用を開始しています。バリュー以外の特徴として、集中投資が挙げられます。30~40銘柄に絞って投資します。その中には、やや小型よりの銘柄が含まれていることが伺われます。運用成績は、時々、馬鹿勝ちします。過去の成績を見ると、2004年、2006年、2010年/3月期において、世界指数や世界バリュー指数を大幅にアウトパフォームしています。そのときを除くと、世界指数並みないしは、世界バリュー指数並みです。集中投資ということで、こうした馬鹿勝ち時期が生ずるのだと思います。運用は、2名のポートフォリオマネジャーと17名のアナリストによって行われます。投資にあたっては、承認リストという銘柄リストに入った銘柄にだけ投資します。世間的な評判としては、米国バリュー運用で高い評価をしているコンサルティング会社が多くあります。また、世界的なファンド・オブ・ファンズの運用会社である米国ラッセル・インベストメント社が、彼らの世界株ファンドのバリュー担当として、このハリス社を採用しており、評価が高いものと推察されます。以上から、最近出た世界株式ファンドとしては、このハリス社のファンドは、非常に良質な部類に入るファンドだと思います。

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