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2011年7月

2011年7月31日 (日)

第461話 「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」

今回も、今流行の毎月分配、通貨選択ではありません。直販ファンドでは、さわかみ投信の次に頑張っているセゾン投信の看板ファンドです。セゾンは、セゾンカードの100%子会社で、セゾンカードの顧客向けに投信を販売しようと始めた会社です。ただ、聞くところによると、セゾンカードの顧客というよりも、一般顧客が問い合わせをしてきて投資を開始する方が多いようです。会社としては、「長期的な資本形成」という方針を掲げ、直販、ローコストの商品を投入しています。当該ファンドの純資産額は、6月末で約370億円と、非常に検討していると思います。当該ファンドは、バランス型ファンドで、世界の債券と株式に50:50で配分し、実際の運用は、ローコスト・パッシブ運用で有名な、米国バンガード社の投信を組み入れいます。実質的なコストは、0.74%程度で、かつ、購入時の手数料のないノーロード型です。セゾンの中野社長は、マネー雑誌や講演会にも登場し、長期資産形成の重要性を訴えるなど、その志は、素晴らしいと思います。

しかし、ファンドの評価となると異なります。まず、50:50というアセット・アロケーションですが、何か根拠となっているのでしょうか?資料等読みましたが、何も記述がありません。長期資本形成において、まず、アセットアロケーションの決定は非常に重要です。正解など、運用の世界にはありませんが、少なくとも、「私たちの考えは」、とか「こういう理論に基づくと」などの根拠示さないといけません。2つめに各資産内での地域配分です。6月末の実績配分から推察すると、株式は、MSCIオールカントリー・ワールド指数の時価総額配分に沿っているように見受けられます。一方、債券は、米国債、欧州債、円債を2:2:1のざっくり系で決めているようです。この「ざっくり」の決め方も根拠が示されていません。債券の位置づけは、リスク調整であれば、為替を含め、円債の比率はもっと高くて良いと思います。シティの債券指数と比較しても、10%強、円債が少なく、米国債が多くなっています。高い志があるわりに、理論的な裏付けのない、「ざっくり系」であることは残念です。

最後に、会社の存続可能性です。同社は、設立後、赤字を垂れ流しており、繰越損失も約8億円になっています。もちろん、親会社が当期利益170億円も出している会社ですから、安心している方も多いと思いますが、経営者として赤字を垂れ流す子会社を何年も放置しておくのでしょうか?日本の厳しい経済環境の中、そんな悠長な話が通るわけがありません。その点も、大いなる懸念です。

結局、志の高さを考慮しても、「中の下」という評価になるでしょう。

2011年7月24日 (日)

第460話 「フィデリティ・日本成長株ファンド」

今回は、オーソドックスな投信を取り上げます。1998年に設定されていますから、世の中でも多く語られ、投資している人も多いのではないでしょうか。純資産額も、2011年6月末現在で2,670億円と、日本株ファンドとしては有数の投信です。運用実績は、設定来で、年率+5.7%と、TOPIXの▲20%を大幅に上回っています。直近3年でも、▲26%とTOPIXの▲32%と上回っています。長期で良好なトラックレコードを維持する日本株アクティブ運用ファンドは、本当に貴重な存在です。

フィデリティは、世界的に投信運用で有名な米国のアクティブ運用会社です。特に、投信が主力な会社は、組織で運用するというよりも、1名のスター・ファンド・マネジャーに完全に任せています。もちろん、企業調査は、アナリストが行うわけですが、スター・ファンド・マネジャーは、アナリストの言う意見を必ずしも受け入れる必要がありません。従って、運用結果は、この個人の能力に依存しているわけなので、他人が運用能力を評価するのは、頭の中を分析しない限り、非常に難しいと言えます。加えて、フィデリティという運用会社の投信を買っても、担当ファンドマネジャーによってパフォーマンスが変わりますので、お客様にとっては、運、不運が発生してしまいます。しかし、言い換えれば、結果の良いファンドマネジャーの商品を選んで買えますから、良いことだと思うのですが。

2007年に、フィデリティはそうした運用結果のばらつきを減らすために、「マルチ・マネジャー方式」を採用しました。これは、同じく米国運用会社のキャピタル・インターナショナルが採用して手法ですが、一つのファンドを、複数の個人が、勘定を分けて運用するものです。これで、個人間の運用結果のばらつきは、平均値へと変わるわけです。

こうしたマルチマネジャーは、機関投資家の顧客には必要かと思いますが、すでに述べたように個人には、必要ないと考えます。「運用者を投資家が選ぶ」、これが今後の個人ビジネスのキーワードだと、私は信じています。

とは言え、この投資の評価としては、「上」と考えます。日本株の低迷と、運用商品数の減少の中、中長期投資に耐えうる良い投信だと考えます。

2011年7月16日 (土)

第459話 「みずほ・ブラックロック グローバル農業関連株ファンド」

毎月分配系のファンドが続いてので、今回は、ちょっと、違った商品を取り上げてみました。当該ファンドは、新光投信が設定している国内投信ですが、実際には、米国運用会社であるブラックロック社が運用する外国籍投信をただ購入しているだけの商品です。言い方を変えれば、「器(うつわ)貸しファンド」というものでしょうか。なぜ、このファンドを取り上げたかというと、①ブラックロックが今まで経てきた会社の歴史、②みずほフィナンシャルグループとブラックロックとの提携、③テーマ型投信に、関心があったからです。さて、ブラックロックですが、この会社自体は、債券運用で有名な中規模ぐらいの会社でした。ところが、メリルリンチの運用会社を買収し、そして、英国バークレーズ銀行からも運用会社(BGI)を買収したことで、あっという間に世界の大運用会社に変身してしまったのです。メリルの運用会社は、これも、メリルがウォーバークという英国を運用会社を買収していますから、買収の歴史のような会社です。従って、ブラックロックの株式運用は、基本、このメリル-ウォーバーグ時代の商品です。ちなみに、BGIは、コンピューターモデル運用(クオンツ運用)の会社で、1つの会社としては、「ちゃんこ鍋」状態になっています。当然、そうした歴史から、運用会社としては厳しい評価を受けています。日本法人は、リストラの嵐で、安定性にかけています。

そうした中、日本では投信ビジネスで食っていく必要があり、みずほフィナンシャル・グループと資本提携を結びました。投信ビジネスで、ブラックロックは出遅れており、自社で設定した投信は、1600億円強しかありません。他社と比較すると異常に低い数字です。そこで、こうした「器貸しファンド」で、他社ブランドに頼ったのでしょう。

運用ですが、農業関連というテーマ型運用です。こうしたファンドは評価は非常に困難です。運用としては、分散投資をわざわざ抑えるわけですから、理にかなっていません。しかし、農業関連が上がると信じている人には合った商品となります。このファンド、もとは、「Blackrock Workd Agriculture Fund」というもので、ベンチマークが、「DAX Global Agribusiness index」となっています。パフォーマンスは、設定来、当該外国籍ファンドが年率21%で、ベンチマークの24.5%を下回っています(USD建て、2011年5月末現在)。70%近く米国株に投資し、また、上位10銘柄で約60%弱を占めています。そういう意味で、非常に偏ったリスクを取っている状況にあります。

ブラックロックは、確かに、債券運用で有名ですが、株式では、過去の買収先の遺物を使っているだけで、力を入れていません。最近のリストラの動きを考えると、今回の投信、厳しいですが、「下」の評価が、妥当だと思います。

2011年7月10日 (日)

第458話 「日興アシュモア新興国財産3分法ファンド」

最近の売れ筋が各社似通っているので、ここで取り上げるファンドもどうしても同じようなものになるのは、残念です。今回は、日興アセットの日興アシュモア新興国財産3分法ファンド毎月分配型です。これも通貨選択型になっていますので、各通貨型コースに分かれています。一番資産が多いのは、ブラジルレアル型で、約4300億円の純資産額があります。分配金も毎月190円と、おそらくトップクラスの金額だと思います。基準価額が直近9251円ですから、年率24.6%となります。ちょっと、クレージーとしか言いようがないですが。

アシュモアは、1992年に英国で設立されたエマージング投資を専門とするブティック型運用機関です。受託資産額は、500億ドル(約4兆円)と十分に成功を収めた運用機関です。どちらかというとヘッジファンド的なビジネスモデルで、運用目標も高い、一方で、運用報酬も、機関投資家に対しても1%以上を求めるといった具合です。日本では、日興と以前から投信ビジネス的な関係があり、このファンドもこの流れの一環です。

さて、この財産3分法は、日興のお得意のシリーズです。債券、株式、不動産にお金を3つに分けて投資しましょうしょうという古典的な考え方です。個人には、この分かりやすいメッセージが重要なのでしょう。しかし、当該ファンドも、エマージング諸国の債券、株式、不動産に分けるというコンセプトですが、実際には、不動産には投資しているわけではありません。それではREITかというとREITにも投資していません。大半は、不動産会社、不動産開発関連の債券に投資されています。従って、3分法ではなく、ざっくり、債券7割、株式3割という資産配分ですので、厳密に言えば、「看板に偽りあり」という商品です。運用では、アシュモアは、エマージング債券運用で評判が高い運用機関です。過去実績でも、業界平均を大幅に上回っています。一方、エマージング株式運用では、評判は高くありません。過去実績も、業界平均を下回っています。3分法という商品性のために、無理やり、株式や不動産関連債券を組み入れたのだと思います。総合点では、7割のエマージング債券部分を評価して、「中」ということしたいと思います。

2011年7月 3日 (日)

第457話 「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド」

かつて、国際投信のグロソブに対して、「グロイン」と呼ばれた人気投信です。2007年のピークには、3兆円弱まで資産総額は増加しました。しかし、その後、リーマン・ショックや、通貨選択型ファンドの台頭で、5月末では8700億円強まで資産は減少しました。分配金も月50円で、基準価額に対する利回りも10%程度で、最近に売れ筋の20%近辺に届きませんから、販売でも苦戦しています(分配金利回りは、それでも高すぎると、私は思いますが)。さて、ピクテは、有名なスイスのプライベートバック系の運用会社です。そもそもスイスのプライベート・バンクは、富裕層に対して、秘匿性の高い金融サービスを提供しています。例えば、社内でも顧客名は、暗号で呼んでいたり、とか、結構、徹底しているそうです。ただ、ピクテが、運用業界において、特別に評価が高いという話はあまり聞いたことはありません。一部、エマージング株式など、評価が高い商品もあるそうですが。今般のグローバル・インカム株式は、世界の公共株など配当利回りの高い株式に投資する投信です。2005年2月28日に設定されて、今年5月末までの設定来騰落率は13.9%です。一方、外国株式のベンチマークで有名なMSCI国際株式インデックスの当該期間の上昇率は、8.6%ですから、配当利回りに注目した株式投資は、悪くなかったということになります(為替の基準日など必ずしも評価日は一致していませんが)。従って、ピクテがどうこうというよりも、テーマ投資(高配当株式)という観点で、良い商品であったと言えると考えます。もちろん、基準価額が5600円ですから、無理して分配金を出してきたことには問題はありますが。まあ、ここでの評価は、運用会社というよりもテーマ投資商品という視点で、「中の上」を与えたいと思います。なお、最近、三菱UFJ投信から、通貨選択型のピクテ・グローバル・インカム株式が、設定されています。

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