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2011年8月

2011年8月27日 (土)

第465話 「大和住銀日本バリュー株ファンド(愛称)黒潮」

前回、上の評価のファンドも見たいとのご意見がありましたので、今回は、結論ありきですが、上のファンドです。商品は、大和住銀の黒潮という愛称のある日本株バリューファンドです。大和住銀は、この前、豪ドル短期債で辛口を評価をしましたが、こういう良い商品もあります。運用は、1999年7月からですから、12年ぐらい経ちます。大和住銀は、以前も書きましたが、大和投信があるために、投信よりも投資顧問業務に力を入れてきました。大和住銀は、この投資顧問業務で、バリュー・マネジャーとしての高い評価を得ています。

さて、ここで日本株の運用の歴史ですが、私の理解では、1990年代後半まで、日本では、運用というとバリュー運用が主流でした。バリューとは、割安株という意味で、PBRやPERなどのバリュー指標に注目している運用会社が大勢でした。しかし、2000年にかけてのITバブルで、成長株(グロース)が急上昇し、バリュー運用は散々な目にあいました。そのため、顧客からの解約も増え、多くの日本株運用会社は、バリュー運用を閉じて、グロース運用を開始しました。しかし、これまた、売れ目で、ITバブルの崩壊以降、再び、バリュー運用が回復しました。

実際、ラッセル野村の日本株スタイル指数を見ると、過去5年、10年、20年の大型バリュー指数と大型グロース指数のリターンは(年率、平成23年7月末現在)、▲9.4%対▲10.5%、▲0.4%対▲3.9%、▲0.6%対▲3.9%と、どの期間でもバリュー指数が上回っています。すなわち、日本では、バリュー運用の有効性が非常に強く、安定しているということです。従って、頑固に、バリュー運用を守っていれば、市場指数以上の良い結果が出る可能性が高いのです。

そして、この黒潮ですが、平成23年7月現在で、過去1年でTOPIXが▲1.0%下げる中で、+6.7%でした。過去5年でも、TOPIX▲46.5%に対して、▲37.3%と上回っています。また、業界平均でも上位にあります。これは、大和住銀が、シンプルな運用ながら、バリュー運用を変えなかったことが、この結果をもたらしたわけです。運用では、そうした一貫性が重要なのです。で、繰り返しですが、評価は、「上」です。

しかし、こういうファンドの純資産額が、たったの150億円弱。「日本には、本当の資産運用会社は無い」と言われる所以です。日本の投信会社は、仕組み商品の企画・販売会社なのです。

2011年8月20日 (土)

第464話 「グローバル・ソブリン・オープン(グロソブ)」

今回、売れ筋ではなく、売られ筋の商品です。皆様よくご存じのグロソブ。売られ筋といっても、まだ、2兆円3千億円の純資産額を誇る巨大ファンドです。このブログでも、昨年12月5日に、3兆円を切ったという記事を書きました。それから、8か月、7千億円の資産を失ったことになります。8月18日現在の基準価額も5100円と、グラフを書くと、ずっと右肩下がりと非常に厳しい状況です。色々と要因はあります。①分配金競争に遅れをとり、資金流出が止まらないこと、②欧州債務問題による一部欧州債券の値下がり、③超円高、これらがすべてマイナスに働いて、こうした事態に陥っています。分配金は、現在、月35円。基準価額に対する利回りは、8%強、一方、保有債券の直利は4.3%、最終利回りは2.4%です。資金流出に加えて、低相対的に低いと言っても、分配金が資産減に拍車をかけています。

運用助言は、ウェスタン・アセット・マネジメントという債券専門運用会社です。しかし、世界的な金利低下はアクティブ運用にマイナスに作用し、また、先進国どこを見ても債務問題があるので、先進国の国債に投資を限っていては、正直、どんな運用機関が運用しても結果に大きな差は出にくくなっています。

投信業界では、一度、人気がなくなった投信の残高が復活することはないといジンクスがあります。この環境下では、運用そのものにも期待できず、このままのペースで資産が減っていくとすると、来年の秋ぐらいには、1兆円を割っているかもしれません。そうした環境下、評価は、「中の下」とさせていただきます。

2011年8月13日 (土)

第463話 「短期豪ドル債オープン(毎月分配)」

再び、売れ筋商品に戻ってまいりました。当該ファンドは、大和住銀投信投資顧問のヒット商品で、1兆円1300億円程度の資産額を誇っています。そもそも大和住銀投信投資顧問は、大和証券系の大和投資顧問と住友銀行系の住銀投資顧問が合併してできた会社です。ただ、大和証券系には、大和投信委託会社があるので、大和住銀投信投資顧問は、投資顧問業を中心に、年金などの機関投資家を顧客対象とするという住み分けがあったのです。加えて、親会社が更に複雑な提携関係を結び、住友銀行は、三井住友銀行となり、日興証券買収後は、大和証券と別れました。従って、大和証券と三井住友銀行がつながっているのは、ここぐらいになっています。また、運用会社として、三井住友銀行系には、三井住友アセットマネジメントもあり、更に更に、複雑です。いつ、大和住銀が、昔の大和投資顧問に戻ってもおかしくない環境です。

そうした環境下で、成功したのがこの投信です。銀行が、預金の代替ような位置づけ販売したようです。内容的には、豪ドル建ての短期債券をただ購入しているだけで、正直、運用商品と呼ぶのを躊躇します。デュレーション(債券の平均満期のようなもの)は、0.53年です。すなわち、6か月。直利は、6.1%、最終利回りは、5.2%ですので、高金利時に発行された額面100を超えた債券を組み入れているのが分かります。こうした債券は、満期時には、償還損が発生します。

配当は、毎月100円です。基準価額が7847円ですから、基準価額利回りは、約15%となります。組み入れられたいる債券の利回りと比較すると3倍近いですから、毎月受け取っている配当の3分の2は、元本となります。運用手数料(信託報酬)は、0.9%で、短期債券としては、これだけの手数料を払う必要があるのか感じます。加えて、グロソブのように、販売会社が売れば売るほど、販売会社への配分率が高まるようになっています。

以上から、この商品、シンプルさが受けているのかもしれませんが、高分配型の悪いところを持ち、また、このシンプルさに0.9%の運用手数料を取るなど、評価的に低いとしかいいようがありません。従って、「下」とさせていただきます。

2011年8月 2日 (火)

第462話 「脱 高分配金」

番外編です。世の中、「脱原発」が注目されていますが、投信業界でも、”脱”話があるそうです。ある大手証券の方の話で、「脱高分配金」を掲げて、現在、投信販売戦略を実行しているとのことです。このブログでも取り上げましたが、20%前後の高分配金利回りで投信を売ることに、証券側も、「ちょっと、やりすぎた」との感想があるそうです。しかし、そうした途端、投信の売り上げが落ち、現場からは、やっぱり高分配金が必要とのクレームが来ているそうです。

何でしょうね、この状況。売る方も売る方なら、買う方も買う方ということでしょうか。高分配金投信は、ニューマネーが入ってこない限り、純資産は減る一方ですから、運用会社にとっても、喜べない商品なのです。早く、麻薬のような商品から足を洗い、まともな商品に買う方も売る方も、戻ってくることを期待します。

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