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2011年11月 6日 (日)

第477話 「ノムラ日本株戦略ファンド」

久しぶりに思い出した投信、「ノムラ日本株戦略ファンド」を取り上げます。このファンドこそ、ITバブル崩壊の最後のあだ花のような商品です。設定は、2000年2月。野村証券が無理して個人、事業法人、金融機関にはめ込んで、1兆円を超える大型ファンドにしました。しかし、IT銘柄の崩壊とともにパフォーマンスは悪化、多くの顧客が含み損に苦しみました。その後、残高は、1千億円を割り、現在、800億円程度です。野村アセットも運用者や運用体制を変更し、運用改善に努力しましたが、一度、沈んだファンド、残高は減少を続けるのが日本の投信市場です。

月次報告書(9月末現在)を見ると、設定来パフォーマンスは、TOPIX▲55.2%に対して、当該ファンドは▲57.4%と負けています。TOPIX指数自体、時価総額の大きな銘柄である金融などが多く含まれますので、指数の中でもパフォーマンスが相対的に悪いのですが、更にそれも下回っています。直近5年では、TOPIX▲13.9%に対して、当該ファンド▲12.7%ですから、1%程度アウトパフォームしています。いつものように、リターンベースのスタイル分析をすると、長期の期間でも、直近5年でも、大型グロースで6割程度、小型グロースで1割程度、合計グロースで7割程度説明がつきます。また、大型株で8割以上、説明がつきます。すなわち、先週も書きましたが、バリュー・小型の原則からは外れています。

運用としては、大・中型グロース、大・中型バリュー、小型ブレンドの運用チームが個々に運用して、その3つの組み合わせはトップダウンで決定するとしています。この考え方、非常によくありません。運用業界の長い歴史の中で、スタイルローテーション(スタイル毎のパフォーマンスを予想して、都度、組み合わせを変更していくこと)で成功したことを聞いたことがありません。そもそも、スタイルの分散は、リスク管理からきている考え方なのです。スタイルローテーションがパフォーマンス向上にどのように有効か、または、高い確率で達成可能かも考えずに、スタイルローテーションを採用することは間違いです。また、仮に、個々の運用チームが良い運用結果を出しても、全体では、スタイルの組み合わせが下手で、運用が悪化するかもしれません。まず、運用者が考えることは、何に注目することが確率高く、市場をアウトパフォームできるかを考えるべきです。

結局、運用の基本的な方針で迷いながら行っているために、安定した成果を挙げることができず、結果的に、指数との連動性が高くなってしまう商品に成り下がってしまうのです。実際、この投信のトラッキングエラー(指数との連動性を標準偏差で表したもの)は、3%程度と非常に低くなっています。3年毎のパフォーマンスは、最初悪化しつづけ、2003年頃から回復し、2006年頃で回復のピークとなり、2009年前半まで再び悪化し、現在まで回復基調にあります。これは、運用力というよりも、市場の傾向に基づき、シクリカルにただ変動しているだけと言えると思います。

ということで、このファンドの評価、過去の汚名を晴らしきれず、「中の下」とします。

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