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2011年11月

2011年11月27日 (日)

第483話 「年金問題を難しく語るな」

11月26日のジム・ロジャーズ氏の講演で、同氏は、「私は、子供を持つことは、お金と時間の無駄だと思っていた。実際、子供がいる人について、不幸な人だと思っていた。しかし、それは、100%、自分が間違っていた。みなさんも、子供を作りなさい。休暇を取っても作りなさい。休暇が取れないなら、ランチの時間に帰って作りなさい。日本は人口が減っていくという大きなリスクがある。これは、出生率を上げるか、移民を受け入れるしかない。しかし、これは非常に重要なことである」、と語っていました。なかなか、朝から大胆な内容でしたが、正しいことを言っていると思いました。

現在、社会保障問題が大きな議論となっています。制度の問題、資産の運用の問題、色々と難しいことを言う「専門家」なる人は大勢いますが、そういう専門家にかぎって、少子化の原因だったりもします。人口を増やさずして、この国の現在の年金制度を維持することは無理と言っても過言ではありません。

第482話 「リセッション懸念」

先週、某都市銀行の業務を専門に請け負っている司法書士事務所の司法書士さんとお話したところ、住宅ローンに絡んで抵当権設定などを請け負う業務が、最近、激減しているとのことでした。どれぐらい減っているのですかと聞くと、「過去2番目に悪い」との回答。「ちなみに、過去1番目は、いつですか?」と聞くと、「リーマン・ショック後」だったとのことでした。住宅ローンを借りる人が激減しているということは、住宅が売れていないということです。最近、耐震、免震のマンションを見に行く人が増えているようなニュースを見ましたが、全般的な傾向を表わしてはいなかったということです。特に、一戸建ては、相当に厳しいそうです。この話からすると株価は間違っていないなと感じました。世の中は、リーマン・ショック後の二番底を試しています。欧州危機、米国財政問題、日本の増税問題を考えると、「グローバル・リセッション」のリスクは、非常に高いのかもしれません。

2011年11月26日 (土)

第481話 「ジム・ロジャーズ講演会」

11月26日10時からのジム・ロジャーズ講演会に出席しました。発言内容は、以下の感じです。

1、現在の大局感

ロング:商品、為替

ショート:米国、欧州、新興国

今後2~3年 世界経済および株式市場には、弱気。ただし、日本株だけは保有する

2、各論

①日本の投資家は、海外に運用先を探してきたが、円高が続き損失を被り、円資産は日本に戻る。しかし、金利が低すぎるので、日本で商品や株式を購入する。日本は、アジア(中国)の成長の恩恵を最も受ける。日本株は、28年前と同じ株価で、非常に割安。震災後にETFを購入したが、現在、値下がりしてしまった(苦笑い)。ただ、下げれば下げるほど、割安と感じる。

②円に対しても強気。円をロングにしている

③今後は、農業に注目。日本だけでなく過去30年間で世界の農業は悲惨だった。米国、オーストラリアの農民の平均年齢は58歳、日本は66歳。世界的に農民の自殺者も多く、後継者も不足している。こうした中、世界的な食品需要は高まり、今後、食品価格、農産物の価格は値上がりし、農民の生活が改善する方向に向かう。

④世界的にインフレに向かう。農産物と貴金属に投資を振り向ける

⑤アジア経済には強気だが、中国株には弱気。売ってしまった。インド株にも弱気で、ショートしている。他のアジアでは、ミャンマーが良い1978年当時の中国に似ている(ただし、米国人である私は買うことを禁止されている)。その他、スリランカや北朝鮮にも投資妙味がある

⑥金の調整はまだ続くかもしれない。過去11年間も上昇してきたのだから当然。ただし、下がれば、もっと買う。貴金属よりも農産物の魅力が上だが。

⑦欧州と米国には弱気。欧州はショートにしている。米国の世界的地位は、今後低下していく。

といった感じです。

しかし、驚いたのは、Q&Aで、同氏がミャンマーに魅力があると言ったら、ある個人投資家が、近々、ミャンマーに行って、現地で株を買いに行く計画があると話していました。すごいぜ、日本の個人投資家!

2011年11月20日 (日)

第480話 「コモンズ30ファンド」

毎週、取り上げるべき投信を探すのに、苦労します。全く、最近の投信市場は、通貨選択や分配型など、運用とは言えない仕組債のような投信ばかりになってしまいました。販売会社である証券会社も、そうした商品ばかり投入することが、自ら市場を壊し、顧客の資産を傷めていることに気付かないと、決算は悪化するばかりです。

その中で、個人投資家に長期投資を根ざすために、起業を行った投信信託会社がいくつかあります。たとえば、鎌倉投信やコモンズ投信。今日は、コモンズ投信のコモンズ30ファンドを取り上げます。ただし、これらのファンドは純資産額が10億円前後とまだ小さく、果たして、彼らが目指す運用が実際のファンドに反映されているのかどうか疑問でもあり、評価も難しくなります。

コモンズ投信の発起人は、澁澤健氏です。しかし、同氏の経歴を見る限り、投資銀行の債券やデリバティブのトレーディングが長く、株式アクティブ運用に精通しているとは言い難いと思います。実際の運用は、吉野永之助氏が中心のようです。吉野氏は、50年を超える経験を有する超ベテランです。以前は、米国系のキャピタル・インターナショナルで運用を担当してきました(一時、社長でもありました)。このキャピタルという会社、歴史ある有名なアクティブ運用会社です。しかし、同社は、運用の歴史の教科書を作るなら、栄光と没落の両方を味わった非常に典型的な会社として紹介されるでしょう。2000年前半まではパフォーマンス良好で、資産が急激に増加しましたが、その増加を無制限に許してきたことから、巨額の資金をうまく運用できなくなり、パフォーマンスが悪化。そして、資産はどんどん流出していったわけです。この影響は今でも続いており、キャピタルは一時代を終えた没落の象徴となっています。

そのキャピタルで中核であった吉野氏ですが、キャピタルの日本株運用のパフォーマンスは、中ぐらいといった結果です。ベンチマークに対しては若干上回っていますが、特段目立った数字でもありません。運用スタイルもコアという言えます。コモンズ30ファンドは、2009年1月に設定されていますが、当初残高も小さく、徐々にポートフォリオを構築していったでしょうから、正直、過去実績云々を語るには早すぎます。しかし、2010年1月以降を見ると、日経平均に対する上昇相場での平均月間超過収益は▲1%、下げ相場では+1%と、下げ相場に抵抗力のあるポートフォリオを構築している傾向が見受けられます。

ここの哲学は、「30年目線の長期投資」で、30年たっても継続して繁栄する会社(30銘柄)に集中投資するというものです。気持ち的には分かりますが、運用哲学としては、あまり充分ではありません。このブログでも、バリュー、小型銘柄が有効であることを何度も訴えてきました。運用哲学とは、「なぜ、その視点に注目すると、世間を上回る投資成果を挙げられるか」を語る必要があります。コモンズ投信は、非常に叙情的な哲学で、「義があっても、理がない」という印象です。私は、個人に長期投資を根付かせるためには、理と義の両面から明確にすることが重要だと考えています。そうした面から、当該ファンドに対する評価は、現時点では、「中」とします。

2011年11月16日 (水)

第479話 「グロソブ 2兆円割れ」

11月16日基準価額で、ついにグロソブの残高が2兆円を割り、1兆9,880億円になりました。8月に取り上げて、約3か月で3千億円落ちましたので、やはり、来年の秋ごろまでには1兆円を割るペースで来ています。イタリア国債をすべて売却したとの記事も出ていましたが、分配金の見直しを行わないと、ポートフォリオの悪化は更に加速度的に進行すると思われます。

(おまけ)

野村ホールディングスの株価が242円と大暴落しています。直近の下げは、オリンパスがらみですが、それは、きっかけであって、やはり、今後も業績悪化が続くと市場が予想しているのだと思います。大和証券は、11月16日に、管理部門の人材を営業に更に配置転換することを発表しました。一見営業重視に思えますが、経済雑誌にも出ていたように、不慣れな部署に配置して、自主的に退職していることを期待しているとの噂もあります。おそらく、野村証券も、近々、大和証券と同様の配置転換を実施するのではないでしょうか。モチベーションの悪化は、更なる株価下落につながりそうです。

2011年11月 6日 (日)

第478話 「証券大手の厳しい現状 2011年9月中間期」

第443話で、3月決算での証券大手の厳しい決算内容について、コメントしました。

http://fundbuster.cocolog-nifty.com/blog/2011/05/443-3e51.html

そして、2011年4月~9月の半期業績が出そろいました。残念ながら、第443話で取り上げた傾向が継続しています。むしろ、考えていたときよりも、早いペースで悪化しています。「オーバーインベストメントバンキング」が世界的に現実化してきています。野村もリーマンを引き受けたことが、本来の野村の底力を阻害するまで悪化してきています。国内営業部門の日本人が努力して稼いだ利益を投資銀行部門の外人が搾取しているという構図です。これは、「ロイヤリティー(忠誠心)」の破壊行為であり、成長を目指す企業ベースが脆弱になってきていることを示唆します。株価も300円前後で、無残な状態です。本来ならCEO、CFOなどは交代なのですが、そこはなぜか日本企業の良いところ(?)が残っていて、無風のようです。従って、当面、野村の苦悩は継続することでしょう。

大和証券も全く道が見えません。一説には、営業店への強引な人事異動で、実質的な人減らしを行っているとの噂もあります。国内営業部門強化を意図しているのでしょうが、困難です。元々、大和と日興の顧客層は近かったのですが、SMBCの力が加わった日興の方が一枚上手になっています。すると、大和は、かつての中小証券会社のように自己資本を使った自己売買での収益を追求するかもしれません。しかし、MF Globalの破綻もあり、そうした戦略に舵を切るのも困難かもしれません。

こうなると、野村も日興も、メガバンクとの提携を模索するのは、必然となるでしょう。実際、そうした思惑記事も増えてきています。思惑が事実になる日も、近いかもしれません。

第477話 「ノムラ日本株戦略ファンド」

久しぶりに思い出した投信、「ノムラ日本株戦略ファンド」を取り上げます。このファンドこそ、ITバブル崩壊の最後のあだ花のような商品です。設定は、2000年2月。野村証券が無理して個人、事業法人、金融機関にはめ込んで、1兆円を超える大型ファンドにしました。しかし、IT銘柄の崩壊とともにパフォーマンスは悪化、多くの顧客が含み損に苦しみました。その後、残高は、1千億円を割り、現在、800億円程度です。野村アセットも運用者や運用体制を変更し、運用改善に努力しましたが、一度、沈んだファンド、残高は減少を続けるのが日本の投信市場です。

月次報告書(9月末現在)を見ると、設定来パフォーマンスは、TOPIX▲55.2%に対して、当該ファンドは▲57.4%と負けています。TOPIX指数自体、時価総額の大きな銘柄である金融などが多く含まれますので、指数の中でもパフォーマンスが相対的に悪いのですが、更にそれも下回っています。直近5年では、TOPIX▲13.9%に対して、当該ファンド▲12.7%ですから、1%程度アウトパフォームしています。いつものように、リターンベースのスタイル分析をすると、長期の期間でも、直近5年でも、大型グロースで6割程度、小型グロースで1割程度、合計グロースで7割程度説明がつきます。また、大型株で8割以上、説明がつきます。すなわち、先週も書きましたが、バリュー・小型の原則からは外れています。

運用としては、大・中型グロース、大・中型バリュー、小型ブレンドの運用チームが個々に運用して、その3つの組み合わせはトップダウンで決定するとしています。この考え方、非常によくありません。運用業界の長い歴史の中で、スタイルローテーション(スタイル毎のパフォーマンスを予想して、都度、組み合わせを変更していくこと)で成功したことを聞いたことがありません。そもそも、スタイルの分散は、リスク管理からきている考え方なのです。スタイルローテーションがパフォーマンス向上にどのように有効か、または、高い確率で達成可能かも考えずに、スタイルローテーションを採用することは間違いです。また、仮に、個々の運用チームが良い運用結果を出しても、全体では、スタイルの組み合わせが下手で、運用が悪化するかもしれません。まず、運用者が考えることは、何に注目することが確率高く、市場をアウトパフォームできるかを考えるべきです。

結局、運用の基本的な方針で迷いながら行っているために、安定した成果を挙げることができず、結果的に、指数との連動性が高くなってしまう商品に成り下がってしまうのです。実際、この投信のトラッキングエラー(指数との連動性を標準偏差で表したもの)は、3%程度と非常に低くなっています。3年毎のパフォーマンスは、最初悪化しつづけ、2003年頃から回復し、2006年頃で回復のピークとなり、2009年前半まで再び悪化し、現在まで回復基調にあります。これは、運用力というよりも、市場の傾向に基づき、シクリカルにただ変動しているだけと言えると思います。

ということで、このファンドの評価、過去の汚名を晴らしきれず、「中の下」とします。

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