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2011年12月

2011年12月25日 (日)

第487話 「リスク・オフの時代」

2011年も残すところ1週間。厳しい市場環境であったことは言うまでもありません。昨年末から先週末の市場別騰落率を見ると、日経平均は▲17.9%、TOPIXは▲19.5%と大幅なマイナスです。海外に目を向けると、欧州危機の中にあるドイツDAX指数は▲15%、フランスCAC指数は▲18.5%とほぼ日本並みの下げ幅です。また、欧州金融機関からの資金引き揚げが話題になっているアジアのうち、香港ハンセン指数は▲19.1%とこれも同じくらいの下げ幅です。一方、米国株は景気回復の兆しが見られることから、SP500指数で+0.6%、ダウ指数は+6.2%という結果です。ちなみに英国FTSE指数は、▲6.6%と欧州と米国の中間のような存在となっています。

これだけを見ると米国だけが好調のようですが、一方で、米国国債の利回りは年末の3.3%から2.0%まで低下しています。景気やインフレに対する見方が弱い証拠であると私は考えますので、株式指数がプラスの上昇率でも確信は持てません。逆に、投資家は懐疑的で、引き続き、リスクを取ることに慎重になっているのではないでしょうか。

今年流行った言葉、「リスク・オン」、「リスク・オフ」があります。欧州危機が騒がれる度に、投資家はリスク資産を売って安全資産にお金をシフトし、逆に、政府からの対策が出るとリスク資産に戻っていくというものです。確かに、短期的な投資家はこうした行動を取るのでしょうが、今考えるべきことは、構造的に投資家のリスク・オフ行動が恒常化するのではないかということです。

最も典型的なのは、日本です。少子高齢化に伴う年金不安、健康保険制度不安、雇用不安、など将来不安はそう簡単に解決しません。投信からの資金流出、銀行預金へのシフト、公的、私的年金による資産取り崩しとそれに伴う株式換金売りなど、リスク資産の買い手が減って、売り手が増大する構造は、おそらく今後のトレンドとして定着するはずです。こうなると一時的な相場の反転よりも、恒常的なリスク・オフという構造変化に対応して資産運用を考えなければなりません。

イメージとしては(もちろん、私個人が考える)、インカム系(預金、債券、不動産投資収入など)を90%程度、リスク系(小型株、バリュー株、ヘッジファンド、など)を10%程度が妥当ではないかと考えています。債券では、個人向け国債10年(変動金利)も、金利低位安定と、悪い金利上昇の両方の可能性に備える上で、良い商品だと思っています。なお、金については、私個人としては無理して持つ必要はないかと思っていますが、世間的にはリスク資産に対する分散効果として重要視されていますので、否定するものではありません。

2011年12月18日 (日)

第486話 「好配当株式ファンド」

大震災、欧州危機、米国国債の格下げなど荒れた2011年も終わろうしています。資産運用は、増やす時代から守る時代などとも言われてきています。そんな時代に、少しでも確率高く、良い成績を残す投信は何かというテーマを掲げてきました。そんな一つに、「日本株は、バリュー、小型」ということをこのブログでも書いてきました。その大きな方向性の一つかもしれませんが、今回は、「好配当株ファンド」を取り上げたいと思います。

「好」とは、実際、「高」の意味ですが、投資家を誤解を与えるような表現がダメなので、最近は、好分配とか、「好」の字がよく使われます。好配当とは、すなわち、、配当金が多い会社の株式を選んで購入するファンドです。私がこのファンドに興味を持つのは、以下の理由です。

①世界的に低成長時代が続くする恐れがある。すなわち、本来的な企業成長にあまり期待できない可能性がある

②企業は、多くの現金を抱えている。ビジネスに投資しても高いリターンを得ることが期待しづらいのであれば、配当や自社株買いなどに現金を使用するだろう

株式のトータルリターンは、成長率+配当率と示されます。前半の部分が期待できないと後半に期待をかけるわけです。世界の機関投資家の間でも、高配当株式運用は注目されつつあります。

そこで、再びモーニングスターのHPからスクリーニングして、日本の好配当株ファンドを探してみました。まず、残高10億円以上の日本株ファンド(除くインデックスファンド)が270ファンド抽出されました。そこから、目視で、「好配当」の名前のある銘柄を抜き出しました。目視ですから、見落としファンドがあることお許しください。その結果、18ファンドが残りました。11月末現在の過去3年間の年率リターンは、単純平均で▲0.5%、純資産加重平均で▲1.26%となりました。加重平均が悪いのは、資産の大きい、大和投信の「ダイワ日本好配当株ファンド」と大和住銀の「日本好配当株オープン」が足を引っ張ってしまったからです。中央値も▲0.4%ですので、これが傾向を見るには妥当かと思います。一方、その間のTOPIXは、▲4%と大きくマイナスです。日経平均は▲0.5%ですので、TOPIXが悪すぎたのではありますが。

このように、好配当に注目するだけで、それなりのパフォーマンスが期待でき、この傾向が将来も続くのではないかと考えます。ちなみに、好成績の中に、岡三アセットの「日本好配当リバランスオープン」というファンドがあります。過去3年の年率リターンは、+3%強です。これ、1か月毎に、高配当株をスクリーニングして購入するという単純なものですが、これが良い成績を残していることが、この考え方が最近有効に働いていることを示しています。

2011年12月11日 (日)

第485話 「投信のコスト」

会社で入っている確定拠出型年金の運営管理機関のサイトを見ましたところ、その中のお知らせに、野村アセットが提供する新興国株式と債券のインデックスファンドの運用報酬(正確には、信託報酬)が、来年4月が引き下げられると書いてありました。新興国株式インデックスは、現在の0.76%から0.56%に、新興国債券インデックスは、0.69%から0.55%になります。

確定拠出型年金向けの投信は、一般に提供されている投信とは異なります。報酬も、一般投信よりも低めに設定されています。例えば、同じく野村アセットのTOPIX連動型インデックスファンドは0.19%、MSCI Kokusai型は0.22%になっています。これを、個人にも人気がある住信アセットのSTAMシリーズと比較すると、TOPIX型は0.45%ですし、MSCI Kokusai型は0.60%です。ちなみに、新興国株は0.65%、新興国債券は0.60%でした。このように、確定拠出型年金向け投信は、より機関投資家に提供される商品の報酬に近くなっていることが分かります(新興国株と債券については、野村アセットの場合、ちょっと高すぎたことに気付いて下げたのかもしれませんが)。

これ、逆の言い方をすると、個人は高い運用報酬を払わされていることを示しています。平均的な株式投信は、1.50%だと思いますが、これは、昔から変わっていません。しかし、世の中はデフレで、10年国債の金利も1%、そんな時代になぜ投信のコストだけが、昔から変わらないのでしょうか?これは、金融というものの硬直性が影響しているものと考えます。そもそも1.50%自体が根拠のあるものではありません。メーカーのように、材料費がいくら、人件費がいくらなどの、算出根拠など、金融の世界では考えたことがないのです。あるのは、「とにかく儲けて、自分たちの高い給与とボーナスを維持したい」だけなのです。しかし、時代は大きく変わろうとしています。米国でさえ、金利が下がったことから、高い運用報酬に対する引き下げ論が出始めています。

「高い投信は絶対に買わない」ぐらいの気持ちを持つことは重要です。そうすれば、需給関係から下がっていくはずです。

2011年12月 5日 (月)

第484話 「通貨選択型投信の販売規制強化」

この週末は、久しぶりに風邪で熱をだし、寝込んでおりました。病み上がりで、読んだ日経新聞に、金融庁、証券業協会、投資信託協会が通貨選択型投信の販売規制を強化するという記事がありました。正直、やっと着手したかという印象です。このブログでも、今年5月の第447話と第449話で、

http://fundbuster.cocolog-nifty.com/blog/2011/05/447-cc08.html

http://fundbuster.cocolog-nifty.com/blog/2011/05/449-ab92.html

規制の必要性を語ってきましたが、半年以上経ってのアクションでした。当局は、昔から問題がおきないと対応しないという姿勢ですので、この秋の欧州危機からブラジルレアルが大きく下げ、通貨選択型の投信基準価額が大きく下げたことで、何かしないといけないと感じたのでしょう。遅すぎですが。

さて、規制強化の内容は、顧客が商品内容を理解しているかどうか、書面で確認することが柱とのことです。この方法は、書面に判子さえ押させればよいので、問題解決にならないという意見もあるでしょう。しかし、販売会社にとって、この説明をして、書面をもらうという手間が非常に抑制効果に繋がるという考え方もできます。特に、銀行窓販では効果的です。証券会社は、昔から詐欺まがいの営業姿勢ですから、抑制効果は限定的でしょうが。しかし、銀行が預金から安易に通貨選択型に誘導できづらくなるだけでも、今回の措置は良かったと受けとめています。

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