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2012年3月 1日 (木)

第496話 「総合型年金って何?」

AIJ投資顧問の報道によって、よく分かったことがあります。つまり、世の中で年金というものを理解している人が、非常に少ないということです。多くの報道で、あたかも中小企業がAIJに直接預けた年金がなくなったかの報道、などなど、ハチャメチャな報道がたくさんあります。それも、どこかの大学の先生が解説したりするから、悲しいです。

まず、今回、AIJ投資顧問で被害を被った顧客の多くは、「総合型の厚生年金基金」でした。厚生年金基金とは、企業年金の一種で、いわゆる三階建ての三階部分にあたります。一階は国民年金、二階は厚生年金で、ここまでは公的年金と言われる部分です。厚生年金は会社と従業員が折半で保険料を支払います。三階部分の厚生年金基金は、イメージでは2階半みたいな制度です。すなわち、公的年金である厚生年金の一部を国に代わって企業年金が運用し、支払いを行います。これは、純粋な企業年金部分が小さくても、公的部分の一部を合わせると規模の経済を享受できるという厚生省様の温かい心遣いだったのです。この一部分を「代行部分」と言います。確かに、この制度ができたときの国債金利が7%ぐらいで、予定利率と呼ばれる年金で必要とする利回りが5.5%でしたから、この差の儲けで、「○○年金会館」などを建てたところも多くあります。

こうした特権のある厚生年金基金ですから、誰にでも特権をあげるわけにはいきません。ある程度の規模がないと設立を認めませんと厚生省様は決めたわけです。したがって、大企業、もしくはグループ会社を含めると大企業になるところだけが特権を得ました。しかし、中小企業にもチャンスをあげようと、同業種、同地域、例えば、トラック輸送業とか建設業で中小企業が集まって、一定の規模になったら、特権をあげますよ、という制度ができたわけです。これが、「総合型の厚生年金基金」です。しかし、これには、厚生省様の天才的な仕組みが組み込まれていて、総合型は、烏合の衆の集まりで、特定の会社から専任の人を配置できません。そこで、お役人(社会保険庁の人)の天下り先にしました。加えて、天下り先を増やすために、先程の「一定規模」の基準を下げて、総合型厚生年金基金の数を増やしたのです。その結果、AIJに騙されるような、厚生年金基金の担当者が一杯いるわけです。

天下りが一概に悪いとは言いませんが、正直、こうした人が主に騙された理由の一つに、役人固有の問題があります。役人同士では、先輩後輩関係などネットワークが重視されます。その結果、AIJのように積極的な営業攻勢と、表面上の高い利回り、そして、それを他の総合型年金に紹介するという、魔の連鎖が広がったわけです。

最近、年金基金の中では、今回のAIJの問題は、監督官庁がしっかりチェックできなかったからだと、責任転嫁を開始しています。一部では、損失を公的資金で穴埋めできないかと言っている人もいます。やれやれ、呆れて、何も言えません。

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コメント

全くおっしゃる通りです。総合型基金の常務理事の運用に対する理解度のレベルの低さは目を覆うばかりでした。株式の個別投資ぐらいしかやったことのない連中ですから、運用の中身など把握できるわけがありません。また善管注意義務があることなど全く念頭にないようです。監査もOBでまわしていますから機能していない。基金の運用についての外部監査制度導入が必要です。

東○○基金で常務理事だったI氏については、当時NHKをはじめとするマスコミも、時代の寵児として祭り上げたような記憶があります。コンサルを設立されるとは、何か勘違いされてきっと舞い上がったのでしょうね。社会保険村、原子力村…既得権益を貪る役人OBとそれをうまく利用する政治家や企業・・・。規制で守られた業種、業態にはつきものです。電力も含め公共性の高い業界ほどその傾向が強いようです。

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