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2012年4月 8日 (日)

第501話 「トリプルデッカー」

野村アセットマネジメントから「野村グローバルREITプレミアム(通貨選択型)」が新たに設定されます。この投信、従来の通貨選択型に加えて、更に複雑になっています。どういう投信からいうと、3階建てです。1階は、世界のREITに投資します。REITは、リーマンショック以降、パフォーマンスが好調です。2階は、カバード・コール戦略です。これは、以前にも書いたのですが、保有する株式のコールオプション(ある価格で買う権利)を売りつないで、オプション料を得るものです。REITの株価が上昇するとオプションが行使されるので、ある価格からの値上がり分を払わないといけませんが、一方でREITを保有しているので、チャラになります。最後の3階は、通貨選択です。これは、金利の高い国の通貨を買い持ちすることで、金利差を得るものです。これにより、高い分配金をねん出しようという作戦です。

野村は、最近、「プレミアム・シリーズ」と銘打って、カバード・コールと通貨選択を組み合わせた3階建商品に力を注いでいます。今までは、通貨選択だけの2階建てでしたが、3階建に増築したわけです。海外では、通貨選択型のことを「ダブル・デッカー」とロンドンの2階建てバスを比喩に使って、表現していました。今回の3階建ては、さしずめ、「トリプル・デッカー」ということでしょうか。

しかし、個人投資家は、こうした3階建てまでして、あるシンクタンクの調査では、多くの人が、2~3%でいいから、堅実に運用したいと思っているとの調査結果もあります。すなわし、販売会社の思い込みと、複雑にして、販売会社と運用会社が運用報酬を高く維持したいだけなのではないでしょうか。実際、この野村の投信も、4%の販売手数料という高額なものになっています。

しかし、リスクという観点では、カバード・コールは、一定の効果は上げているかもしれません。このひとつ前に設定された「野村豪ドル債オープン・プレミアム(毎月分配型)」を調べてみます。当該ファンドは、豪州債券に投資する一方で、豪ドルのコール・オプションを売却するプレミアム戦略です。この商品を、シンプルな豪ドル債券ファンドである「野村豪州債券ファンドDコース」で比較してみます。プレミアムという商品が最近のために、3月からの日次基準価額で比較してみます。期間が短いのであくまでも参考程度ですが、3月1日から4月6日までの期間で、リターンは、プレミアムが▲1.32%、通常の豪州債券は▲3.82%でした。また、1年を260日と仮定して、年率標準偏差を計算すると、プレミアムが10.3%、通常の豪州債券は17%でした。

このようにカバード・コール戦略が悪いわけではありませんが、やたらとスキームを複雑にし、報酬を得ることには、賛同しかねます。

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