投資一般

2008年12月21日 (日)

第234話 「再びブラジル債券ファンド」

12月21日付け日経ヴェリタス60面の金融商品・サービスの紙面で、ブラジル債券ファンドについて記事が掲載されています。ブラジル債券ファンドは、夏以降も各社からの設定が続いているが、ブラジルレアル通貨の下落により、期待通りの販売額に至っていない例が出ているとのことです。このブログでも、以前、ブラジル債ファンドについて取り上げましたが、http://fundbuster.cocolog-nifty.com/blog/2008/09/166-67e8.html 結局、同じことが繰り返されていたことに失望します。しかし、これは、販売会社だけの問題ではなく、投資家側の投資動機にも影響を受けています。特に、富裕層や投機志向の強い投資家、こうした顧客は、証券会社の顧客に多いのですが、非常に値動きの軽さを求めます。極端な言い方をすれば、損してもいいから、どんと上がる商品を持ってこい、といった要求を販売会社に伝えます。すると、販売会社(特に、証券)は、それに沿った商品しか作りません。特に、今は、素人投資家に投信を売るのは、金商法的に恐いので、セミプロ投資家に依存する体質が強まっています。今後の市場環境から想像すると、こうした値動き重視の商品提供は続くと考えられます。しかし、決して、それは運用会社や販売会社にとって、中期的に正しいことを行っていないので、自滅への道を進むことになるのではないでしょうか。

2008年12月20日 (土)

第233話 「原油相場とドルの価値」

12月18日付けのブルームバーグ・ニュースによると、スイスの調査会社ペトロマトリックスは、ドル相場の下落で投資家が原油の買いを再開し、原油相場が上昇する可能性があるとみているそうです。今日のチャートは、対ユーロのドル相場は今週に入って8%下げているにもかかわらず、4年ぶりの安値近辺にある原油先物相場が、ドル相場の下落に対し、依然として反応していないことを示しているとのことです。ペトロマトリックスが原油相場とドル相場の相関関係を算定した結果、原油相場の適正水準は89ドル近辺となっています。確かに、原油価格は、基軸通貨であるドル建てです。ドル安は産油国にとって、原油高が起きないと価値を維持できないわけです。一方、ドル高であれば、原油価格が下落しても価値は維持できることになります。言い換えれば、今年前半の原油高は、方向性としてドル安と合致したものでしたが、あまりにも原油価格の上昇幅が大きすぎ、ドル安のペースと乖離しすぎたと言えます。従って、現在の原油価格の調整が必ずしもドル安の動きと完全に相関していなくてもそれほど問題ではないと思います。また、世界的な需要の低迷と代替エネルギーの移行が進み、原油価格は構造的に下落基調であると考えます。ということは、程度はともあれ、ドルの価値の下支えの動きになるかもしれません。FRBのドルインデックスを見る限り、一時的に過去20年間のレンジの下限である80を切ったものの、その後は、回復し、その下限近辺を持ちこたえています。世界的に金利差もなくなっており、これ以上のドル安(これは、対円という意味ではなく、ドルインデックス)の可能性は低いのではないでしょうか。

2008年12月18日 (木)

第232話 「BNPパリバにも逆風がきた」

12月17日付けのブルームバーグ・ニュースによると、17日のパリ株式市場で、仏銀最大手BNPパリバ株が急落し、17%安で終了したそうです。証券部門が10月以降に2008年1-9月期の利益を上回る損失を出したことが嫌気されたとのことですが、1999年に合併で誕生して以来で最大の下げとなりました。また、12日にブリュッセルの裁判所がベルギーの金融サービス会社フォルティスの事業買収を凍結したなど、悪いことが重なったわけです。しかし、日本から見ていると、BNPパリバがこうした金融混乱の中で、意外と順調であるように見えていました。一方で、アーバンコーポレーションの問題やサイゼリヤの問題など、BNPパリバの不適切も言える金融取引で両社の問題が発覚したことを考えると、相当に際どい商売を行って、儲けを得ていたのかもしれません。こうしたことをするのは、過去、リーマンなどが十八番でしたが、今は、パリバに移ったのでしょうか。また、最近では、マドフ氏の詐欺事件でも、BNPパリバは損失を発表しておりました。面白いもので、こうした悪い話は連続して発覚することがよくあります。ある種の自浄作用でしょうが、間違った方向に経営が行った後に、逆の力が働くわけです。これ以上の、大きな問題をBNPパリバが起こさないことを祈ります。

2008年12月17日 (水)

第231話 「超低金利時代」

12月16日付けのブルームバーグ・ニュースによると、FRBは16日、FOMCの定例会合を開き、フェデラルファンド金利の誘導目標を現行1%から0.75ポイント以上引き下げて、0%- 0.25%の範囲に設定しました。また、さらに声明で「弱い経済状況は一定期間にわたりFF金利の異例な低水準を正当化する可能性が高い」と表明することで、「時間軸効果」を狙っているとニュースはコメントしています。これにより、米国10年国債の利回りは、2.4%と歴史的低金利となりました。何か言った後に、「あの時、私が予想した通りです」と自己満足に陥るのは本意ではありませんが、このブログの8月19日付け第132話「マネーサプライが示す米国の将来」http://fundbuster.cocolog-nifty.com/blog/2008/08/132_3040.htmlで、米国長期債金利が未経験の領域まで低下するのではとコメントした事態が発生してしまいました。その時には、秋以降に株価と不動産が崩落するとの海外記事の紹介もしています。すなわち、日本で起きたデフレ経済に米国は突入したわけです。ここからの回復は容易ではありません。複合不況と評されたバランスシートの整理がこれから、会社、個人のレベルで起きるわけです。2009年も厳しい経済情勢が予想されます。あの時のブログに書いたように、M3の動向をフォローしなければいけません。

2008年12月15日 (月)

第230話 「クラブ・ディール」

先週金曜日に取り上げた詐欺事件、元ナスダックの会長であるマドフ氏のねずみ講問題、いくつかのメディアで、各金融機関の損失が発表されています。日本でも野村ホールディングが、275億円のエクスポージャーがあることを公表しました。そのほか、BNPパリバが3億5千万ユーロの損失、スペインのサンタンデール銀が顧客のポジションが23.3億ユーロだと公表しています。しかし、なぜ、こうした詐欺事件が発生したのでしょうか?これは、米国での「クラブ・ディール」が影響していると考えます。海外では、知り合い、仲間内でビジネスのやり取りをすることが多々あります。日本では、最近は、そうした知り合い同士のビジネスを敬遠する傾向がありますが、米国は逆です。一種の特権階級の思想が残っているのかもしれません。加えて、マドフ氏は、ナスダックの会長を務めた著名人です。彼が、一声かけただけで、資金は集まるでしょう、それも審査なしに。こうしたいい加減なことがまかり通るのが、米国資本主義の実体なわけです。確かに、あおぞら銀行に勤めている人から聞いたことがありますが、外人の役員が、突然、別の知り合いの外人から案件を取ってきた、日本人に「これを、やれ」と命令してくると言ってました。結果的に損になることがあったとのことですが、裏返せば、その知り合いの外人が儲けているということです。こうしたモラルハザードが起きる温床が、この「クラブ・ディール」なわけです。もう、米国型資本主義を真似る人はいなくなるでしょう。

2008年12月14日 (日)

第229話 「著名ストラテジストは間違う?」

12月14日付け日経ヴェリタス26面のマーケットアイのコーナーで、ゴールドマン・サックスのシニア・インベストメント・ストラテジストであるアビー・コーエン氏が、米株価に対する楽観的見通しを載せています。内容的には、売り圧力も弱まっており、また、政策当局も歴史から学び適切な対応を取ることが期待されるので、来年には米国株価は回復基調に戻るというものです。私も、個人的には、このブログでも表明しているように、10月末で株価は買える水準まで下落したと認識しています。従って、この意見に真っ向から反対するものではありません。しかし、米国の著名なストラテジストの多くが非常に楽観的な立場を持ち続けていることに非常な違和感を感じます。彼らは、昨年のサブプライム問題が勃発した時から楽観的でした。私は、2007年7月にこれも著名なストラテジストであるバートン・ビックス氏の講演を聞く機会がありました。ここで、ある金融機関の方が、サブプライムのこと懸念していると質問したところ、それほど大きな問題ではないと、一蹴したことを覚えています。もちろん、同氏に限らず、多くの米国のストラテジスト、アナリストは楽観的でした。今回のコーエン氏のコメントも、政策当局が適切な対応を取るというのは、あまりに過大評価しすぎではないでしょうか?グローバル化が進み、または、金融市場が実物経済に比して肥大化した現在では、そう簡単に政策が効果的に利くとは思えません。やはり、相当な時間と、幸運(IT革命が起きたように)が伴わないといけません。この幸運が難物です。いつ、この幸運が現れるか?いくら著名なストラテジストにも、分からない話です。

2008年12月13日 (土)

第228話 「マドンナも被った金融混乱」

12月12日付けのブルームバーグ・ニュースによると、5カ月間で豪ドルが米ドルに対し31%下落し、公演の契約額がオーストラリアのプロモーターの手の届かない額に膨らんだ結果、マドンナはシドニーとメルボルンでのコンサートを見送ることになったそうです。国際的なアーティストへの支払いは90%余りが米ドル建てで、米ドルは世界ツアーの基軸通貨のように扱われているのが、原因のようです。他にも、交渉中だった歌手ニール・ダイヤモンドの公演も豪ドル安の影響で中止に追い込まれたということです。確かに、今回の金融混乱は、様々な業種に影響を与えてきました。エンタテーメント分野は最もコスト削減の影響を受ける一つです。その他にも、スポーツの分野などスポンサーを必要とするところも、相当厳しいものになるでしょう。景気後退は、水面を輪が広がっていくかの如く、伝わっている感じです。個人的予想としては、豪ドル相場の下落が終わったとは思えませんので、当分、オーストラリアで、有名アーチストを見ることはできないでしょう。DVDでお楽しみ下さい。

2008年12月12日 (金)

第227話 「5兆円の詐欺事件」

12月11日付けのブルームバーグ・ニュースによると、ヘッジファンドや銀行向けマーケットメーカー(値付け業者)、バーナード・マドフ証券投資会社の創業者バーナード・マドフ社長(70)が、500億ドル(約4兆6000億円)に上る詐欺を働いた罪で米連邦捜査局(FBI)に身柄を拘束されたそうです。米証券取引委員会(SEC)もこの日、マドフ社長が「顧客に対し、巨額のねずみ講まがいの詐欺を働いた」と主張する訴えを、マンハッタンの連邦地裁に起こしたことによります。バーナード・マドフ証券投資会社は1960年創業で、10月時点でナスダック市場で23番目に大きなマーケットメーカーでした。このマドフ氏は、ヘッジファンド運用会社も運営していました。このヘッジファンドは、なぜか、パフォーマンスが安定的に良かっただけに、業界では、何かあるのではないかと、疑われていたそうです。噂では、ヘッジファンドで買ってから、値付け業者として、顧客の発注を執行していたのでは(フロントランニング)との話もあります。しかし、いずれにせよ不適切に運営が行われていた可能性が高いので、このヘッジファンドへの投資は返金されない可能性があります。このヘッジファンドの入ったヘッジ・ファンド・オブ・ファンズ(フェアフィールドやトレモントなど)を日本の投資家も持っているとの話もあり、問題が日本に広がる可能性もあるわけです。しかし、ヘッジファンドは、パフォーマンス低迷により、資金流出が止まらない状況にあるわけですが、こんな事件が起きると更に投資資金が逃げることとなります。やはり、ヘッジファンドは、ブラックボックスで、何をしているか分からない存在です。加えて、悪い事をするファンドかどうかを事前に見極めることも非常に困難なのでしょう。一番良いのは、投資しないことになってしまいます。

2008年12月10日 (水)

第226話 「日興コーディアル証券のリストラ」

12月10日付けのブルームバーグ・ニュースよると、日興コーディアル証券が実施した早期希望退職制度への応募者数が約1000人に上ったことが10日分かりました。約7000人いる社員全体の1割以上に当たり、経営難にあるシティが世界的に進めているリストラの一環として40歳以上の社員を対象に11月21日から募集していました。 この早期希望退職は、24カ月の割り増し退職金を支給するなどの内容だったため、予想以上の応募があったようです。24ヶ月という水準は、業界的にも破格かもしれません。2年間、働かなくて給料が貰えるのと同じですから。もちろん、その間、会社の健康保険も、また、厚生年金保険も入れませんが。しかし、昨今の、金融機関、特に外資系の金融機関の話を聞く限り、3ヶ月~12ヶ月ぐらいが割増の相場からして、24ヶ月に応募しようという気持ちは分かります。加えて、日興コーディアル証券の場合、シティに買収され、外人文化の中で、従業員のモチベーションも下がっていたと思われますので、当然かもしれません。しかし、これで、シティや日興は復活するでしょうか?おそらく、過去の事例を見ても、そもそも会社の文化や従業員を”ないがしろ”にして良くなった会社の例は少ないと言えます。ルノーの支援を受けて復活した日産、しかし、トヨタやホンダに比べ、いつも苦しい立場にあります。昨日、リストラを発表したソニー。外人社長でリストラして、また、今回もです。従って、こうしたリストラは、現経営陣や主流派の従業員の延命措置となるだけで、一時的に良くなっても、最終的には、また、悪くなる、そういう運命を辿ると考えます。皆さんは、この意見の賛成ですか?反対ですか?

2008年12月 9日 (火)

第225話 「実体経済と金融市場」

12月9日付けのブルームバーグ・ニュースによると、世界的な不況で業績が悪化しているソニーは9日、液晶テレビなど主力のエレクトロニクス事業のコスト削減策を発表し、2010年3月期末までに正社員と派遣労働者らを合わせて1万6000人以上を削減すると発表しました。同期末までに年間で総額1000億円以上の費用削減効果を実現できる体制構築を目指すとのことです。サブプライムから端を発した金融市場の混乱は、実体経済の急激な悪化という形で、影響を及ぼし始めました。最近、マスコミネタにされている派遣切りにせよ、こうした正社員のリストラは、多くの企業に波及してきています。度々、株式市場は、実体経済を6ヶ月から1年、先を見越して動いていると言われます。確かに、こうした傾向が過去見られたと思います。しかし、元々、これは、「にわとりと卵」のような議論で、金融市場が本当に効率的、実体経済の動きを予見して動いているとは、思いにくいと考えています。特に、今回の金融危機の場合、明らかに、金融市場が暴走し、それが実体経済を悪化に陥れたと言っても過言ではありません。例えば、CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)です。これは、社債などに投資した投資家が、信用リスクをヘッジするために、CDSを保有するわけですが、ある例では、その基となる社債が、繰上げ償還でなくなってしまったものなどがあります。すると、デリバティブであるCDSが、一人歩きするわけです。金融市場が一人歩きし、勝手に崩壊し、実体経済に悪影響を与える。今回の不況の処方箋がなかなか見つからないのも、こうしたことが原因ではないでしょうか。

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